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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

ボードゲームができない

「粗鋼生産量世界第二位、おめでとう」
思ったよりもすんなりと口からこぼれたセリフは宝山の表情を驚かせた。
「……怒らないんですね、老師」
「わざわざ怒るかよ、弟子は師匠を超えるものだろ」
八幡は不機嫌になるだろうが俺としてはそちらの気持ちの方が少しだけ大きかった。
微かに目を細めて「なら良かった」と呟いた。
宝山製鉄所、その日中共同の超巨大プロジェクトは常に政治と民衆に振り回されて複雑で困難で耐え忍ばなければいけないことがあまりにも多すぎた。
だからと言ってこいつ自身を恨んでも仕方がない、あの思い出しただけで頭痛を起こしそうになるような無茶苦茶は時代と政治のせいだ。
「もう、お前が二度と政治の道具にならないことを祈るよ」
政治というボードゲームの駒になってしまったこの弟子が、自らの足で飛ぶ日を待っている。



君津と宝山。

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なぜなにスーパーラグビー

ゆるっとした小ネタ。
書いている人がまだ新米なので間違い・勘違いも含まれている可能性がございます。


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春近く

大都会にも春の気配が近づいている。
ふらっと立ち寄ったビルの片隅にその少年はいた。
「調子はどうだ、サンウルフズ」
「サンゴリアスさん、お仕事サボっていいんですか」
「俺がいなくても父さんたちはちゃんと会社回してくれてるから大丈夫だよ」
それに俺たちなんぞは父さんからすればいてもいなくてもそんなに大差ない、ということは敢えて伏せておいた。
手土産代わりに持って来た甘めの缶コーヒーを差し出してやれば遠慮がちに受け取ってくる。
「開幕戦準備に追われてバッタバタですよこっちは」
「土曜日にホームだもんなあ、よく頑張ってて偉い偉い」
髪を軽く撫でてやれば不満そうにその手を押しのけて「……トップリーグの皆さん全般的に僕のこと年下扱いしますよね」とぼやいた。
「スーパーラグビーにおける日本代表って言われても実際年下だしな」
「まあそうなんですけどそれはそれで大変複雑というかですね……」
「じゃあ今季は全勝して俺たちをアッと言わせてやれよ、みんなで見にいくつもりだしな」
にっと笑ってやれば「……当然です」と呟いた。




サンウルフズとサンゴリアス。
開幕戦見に行こうかなあとぼんやり考えてはいるけど見に行かないで終わりそうな予感。

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梅が咲いたら君の季節

「まあ、そう言うことだから」
「……そういう事ってレベルなの、これ」
自宅のこたつで寝転がっていたところに突撃していくつかの書類と説明をまくしたてて来た水戸に小さく不満を漏らす。
「土浦だってこれ今年で二年目だしもう慣れたでしょ?」
JR東日本水戸支社が主催する人気ソーシャルゲームとのコラボスタンプラリーは今回で二度目だけれど、今回はわざわざ土浦駅の看板にキャラクターのシールを張るという気合の入れようだ。
水戸駅に至っては駅のそこかしこに立て看板を置いたり駅の案内放送を俳優さんにお願いするという。
「やるなら徹底的にしなくちゃね、それに燭台切さんかっこいいじゃん」
このコラボのきっかけになった水戸徳川の刀剣をモチーフにしたキャラの名前を挙げて嬉々としている。
「梅の季節はとうらぶコラボの季節って認知されるぐらいにしたいよね!」
「……ついでにうちの博物館でやる土屋家の刀剣展のアピールもしといてよ」
「気が向いたらね。じゃ、あと取手のところにも説明してくるから」
そう言ってさらりとうちを出て行った県庁所在地を静かににらみつけるしか出来ないのだった。




土浦と水戸。今年もとうらぶコラボの季節が来たよ。

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あの日彼女は希望だった話

「小倉さん、お客さんが喫煙所に来てますよ」
「……喫煙所?」
「小倉さんに会いに来たって言うんですけど、小倉さんなら戸畑の本部事務所にいるって言ったら煙草吸って待ってるから来たら伝えるようにとって言って喫煙所行っちゃったんです」
顔馴染みの職員の様子からして、大方あいつだろうと予想がつく。
やれやれという面持ちで溜息を一つ漏らして「喫煙所行ってくるけん、後は頼んだ」と注げて喫煙所に向かう。
灰皿とベンチだけの喫煙所で新聞片手に座り込んでいたのは予想通りの相手だった。
「よう、久しぶり」
「……やっぱ此花か」
「やっぱって何さ」
「喫煙所で俺を待つ奴なんてお前しか知らん」
「あー、和歌山はいまは吸わないし八幡は煙草呑みだけど人を待つときに煙草は飲まないもんなあ……消去法的にあたしか」
納得したように此花が頷く。
せっかくなので俺の方も一服しようかと煙草に火を灯した。
「……お前さ、八幡や戸畑と一緒にされた事まだ恨んでるか」
「今更な話っちゃ」
「そうだけどお前をうちに迎え入れるとき言った事裏切っちまったなあって」
「『お前に世界を取らせてやる』……か」
「世界どころか日本一も取れなかったしなあ」
住友金属が新日本製鉄と合併した時、住金は国内3番手だった。
他にもあの合併では色々あったので此花なりに思うところがあるのだろうという事は常々感じていた。
「……和歌山がシームレスパイプの技術力で世界に認められとる、それで一応世界を取るって話は果たしたと思っとった」
「お前さんがそう思ってくれてるなら良かった」
此花は本気で世界を取りたかったのか、と今更ながら思い知らされる。
『八幡製鉄もUSスチールも、全部なぎ倒して世界を取る』
そう大ぼらを吹いた此花の手を取ったのは俺自身の意志だった。
浅野の旦那も安田さんもいないが、此花が俺を必要とした。ならばこの女と生きてやろうと、心から思って手を取った。




(やっぱり、あの日この女の手を取った俺は何ひとつ間違いじゃなかったな)


此花と小倉

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