「……随分降りましたねえ」
昼寝から目覚めると時計は夜の7時過ぎを指していた。
窓の外には白い綿のような雪が積もり、雪の止む気配は感じられない。
ぐうっとお腹の虫が鳴くので台所に降りて冷蔵庫を開くと、何もない。
作り置きの副菜が二つ三つ。ご飯やみそ汁の類もない。
「しょうがないですかね」
ぽつりとつぶやいて上着とマフラーをつけて雪の街へ買い物に出ることにした。
***
雪解け水と混ざり合って解けた雪を踏みしめながら、ふうっとこぼしたため息が白くなって夜風に溶ける。
こうも寒いと鍋が食べたくなる。鍋を食べるならば私の愛する隣人もいて欲しい。
(……まあ来ないでしょうけどね)
無理やり押しかけてしまおうかとも思ったが足が無いからやめておこう。同居人である水戸線も今日は不在だ。
下館や古河もこの雪では外に出てこないだろう。古河辺りはかつての城主さながらに雪の結晶の観測でもしていそうだ。
ああ、こう寒い日に一人というのは心がざわめく。
結城さん雪の日の話。