忍者ブログ

コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

雨の日と名前の話

奇妙な取りあわせになってしまったな、と思わずため息が漏れそうになる。
毎年のように訪れる奥出雲の地で秋の通り雨に降られて雨宿り。
それ自体はいいのだが一緒に雨宿りする相手が問題なのだ。
隣にいた少女がちらりとこちらを見やるとチッと舌打ちを漏らす。
日立金属安来、たたら場の血を引き継ぐ日本で唯一の存在。
出雲は古来から日本有数の製鉄の地であったが、明治以降量産に不向きのたたらは高炉による近代製鉄にとってかわられ今や正当なたたら場の地を引き継ぐのは彼女ばかりとなった。
「……日立金属、「そんな風に呼ばせん」
ぎろりとした彼女の三白眼が突き刺さる。
安来訛りをきつく響かせてこちらを睨まれると妙な凄味があって思わず腰が引ける。
「すまん、ただこの雨がいつ止むかと思ってな」
「知らん」
懐に入れていた携帯が鳴ると八幡からの電話だった。
『釜石、今どこです?』
「林道で雨宿り中じゃが……」
『わかりました、迎えに行きますからそこにいてくださいね』
「ああ、それなら傘一本多めに持ってきてくれ」
『は?』
「頼むぞ」
電話を切ると安来はやはり先ほど以上に不機嫌になっていた。
「ここでずっと雨宿りしとっても仕方なかろう?」
すると安来は思い切りこっちの脛をけ飛ばされて雨の中を走り出す。
さすがに骨は折れなかったが結構痛い。
「釜石なんで蹲ってるんですか?!」
「脛蹴られた」
「……また安来ですか、あんな手負いの野良猫みたいのに構う必要ないでしょう」
「言うてもなぁ。出雲来るたびに敵意むき出しにされるのもしんどくてな」
「安来のことは佐賀関辺りに丸投げしておけばいいんですよ、ああいう手合いは構わないのが一番です」
「そうかねぇ?」
蹴られた向こう脛を引きずりつつ、雨の林道をゆらりと歩き出す。
まだ雨はやみそうにない。





日立金属安来と釜石さん。
2人の間にあったあれこれについてはいずれ。

拍手

PR

北陸とらいあんぐるはいいぞ

鯖江「北陸とらいあんぐる1巻が!出ました!!!!!!!!!!」
勝山「あんなにキラキラしたさばばー初めて見たねえ」
三国「ほうじゃな」
鯖江「……というか、なんでこの組み合わせ?」
三国「三国祭りと芝政ワールドと東尋坊が紹介されていると聞いて」
勝山「5話の扉絵が恐竜博物館だからだねー」
鯖江「なあ、気づいたんだけど」
三国「おう」

鯖江「登場する福井要素の半分ぐらい三国に持ってかれてねーか?!?!?!?!」

勝山「二巻でえーじ(※永平寺町)が出るから大丈夫だよー」
鯖江「越前和花ちゃん頼むからもっと俺を……鯖江要素を頼みます……」
三国「鯖江要素あるだろ」
鯖江「どこに?」
三国「和花ちゃんの眼鏡」
鯖江「やっぱりそこなのか!」



北陸とらいあんぐる1巻発売中です☆


という訳で北陸とらいあんぐる小ネタ話です。
1巻で出てきた福井の場所を改めて整理すると圧倒的三国率ですね……うちの鯖江さんはこれからも越前和花ちゃん推しです

拍手

3月の夜に沈む

「『夏から春のすぐ来るやうな、そんな理窟に合はない不自然をどうかしないでゐていださい』」
今日だけでいいから添い寝して欲しいとねだられて数十年ぶりに同じ部屋で寝た翌朝、八幡が唐突にそんな言葉を漏らした。
確かそれは少し前に出た人気の詩集に出てくる言葉だ。
「なんで今それなんじゃ」
「『小鳥のやうに臆病で大風のやうにわがままなあなたがお嫁に行くなんて』」
そういうことか。言いたいことは理解した。
この男は拗ねていてるのだ。
突然訪れた別れを惜しむことなくあっさりと受け入れた事に対して自分はその程度の存在だったのかと子供のように不機嫌になっている。
「『元素智恵子は今もなほわたくしの肉にいてわたくしにわらふ』……物理的に離れたところで精神は離れんさ」
「釜石は、私がいなくても平気そうなのが嫌です」
どこぞの詩人が言うところの≪茶色い戦争≫が終わり、政治の判断により自分たちは別れて暮らすことになった。それを彼は嫌っているのだ。

「一人になったとしても、生きていくしかないからなあ」

そう言った人間らしい感情を持つには自分はあまりにもたくさんの人間の生と死を見過ぎてしまったのかも知れない。
自ら死ぬことの出来ないこの不便極まりない身体を抱えてただ歩くほかないのだ。





戦後の八幡と釜石のある夜の一幕。
引用した詩はこちらを参考にどうぞ。茶色い戦争は書かなくても分かるだろうけど中原中也です。

拍手

にのぜさんからのいただきもの


いただきものはこちらから
にのぜさん(@2_no_ze )から誕生日祝いに室蘭くん頂きました。
少しくせっ毛な感じとか、もっこもこの服装とか、可愛い以外の何物でもないですよね……ありがたやありがたや……



拍手

冬が始まるよ

11月の北海道は完全に冬だ。
窓の外にぽつぽつと降る湿った雪を見ながら布団から這いずり出て、ラジオのスイッチをつける。今日の天気予報を聞き流していると今日は一日中この天気だと告げられてため息が漏れる。
「……ほんと、寒いのはやだなあ」
生まれも育てもこの北海道室蘭と言っても寒いのが好きな訳じゃないのだ。
まだ高炉近くの40度を超える暑さの方が耐えられる。
今日の朝食はインスタントのコーンポタージュとロールパンが三つ。質素と言えば質素だが朝は食欲がないのだから仕方ない。
お湯が沸いたころにはラジオは地元のニュースから全国ニュースの時間になり、それを聞き流しながら軽く朝食を済ませる。
使い終わった食器を軽く洗い流して、歯磨きと洗顔を済ませた頃にはちょうどお出かけの時間だ。
愛用のダッフルコートにブーツを履けばいつも通りの仕事の時間。
ラジオは止めたし、戸締りも完璧だ。


「さて、行ってきますか」

今日も寒いけれど、仕事の時間だ。


室蘭の何てことない冬の朝の話。

拍手

バーコード

カウンター

忍者アナライズ