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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

北の大地の散歩道

試合の遠征とはいえ、せっかく北海道まで来たので後泊して散歩しようと最初から決めていた。
(これで月曜仕事じゃなけりゃなあ~!)
有休使うって手もあったけど、貴重な有給はタイミングを見極めて使いたいと思って結局申請しなかった。
昨日は昼にラーメン、夜にサッポロビールからの締めパフェ。今朝はスープカレーを食べてとうきびをつまみ、お昼はジンギスカンと食いたいもの全部食ってきた(もちろん観光もした)
そうして札幌を満喫して、最後にやることと言えば。
「お土産だよなあ」
札幌遠征の話をしたら『うちの妹にお菓子買って来てくれないか?』って先輩に頼まれてたから部レイブルーパス先輩とうちの親兄弟の分は確定。
ブラックラムズ先輩にも釜石遠征行くって言うから瓶ドン頼んじゃったので買っていくべきだろう。
誰に何を買っていくか?と言うのは案外難しい。
「ブラックラムズ先輩はまあコーヒーに合わせるわけだし、ロイズかなあ」
ポテチにチョコをかけたやつをかご3つ放り込む。あ、2つはうちの家族の分ね。
あの人は食い物の嗜好が割とわかりやすくてコーヒーに合うものなら割と喜んでくれるんだよな。チョコとカレー系はコーヒーに合うしどこにでもある。
「問題は先輩なんだよなあ、先輩の妹さんとかよく知らんし……」
先輩には血の繋がりはないけど可愛がってる妹さんがいる。確かブレイブルーヴ、だっけ。
顔は合わせたことあるけどあんまり話したことはないんだよなぁ。
それに先輩って嗜好が酒と肉に寄ってて甘いものを自主的に食べる人でもないから、先輩の妹さんの嗜好が全く予想できないのだ。
うろうろとお土産物コーナーを見て回ると、サーモンチップスなるものが目につく。
「へえ、チップス状の鮭燻製……ワイルドナイツ好きそうだな」
先輩はつまみは最悪塩でいいって人だからつまみにこだわらないけど、ワイルドナイツは結構つまみ系が好きらしく飲みに来た時にちょっといい乾物とか出すと喜ぶんだよな。
誰かが飲みに来た時にさっと出せるおつまみにもなりそうだ。
「これも買ってこ……うん?」
先輩からラインの着信があって開いてみれば『お前に頼んだお土産の件だけど、うちの妹が食べたがってたお菓子分かった』と言い出した。
『教えて』
『ハスカップジュエリーってやつ』
『テレビで見たことある、売り切れてたらハスカップ系の別のやつでいい?』
『それで頼む、あと俺に酒を』
了解のスタンプを送ってから小さくため息が漏れた。
「……ここで自分のお土産は酒って指定するのが先輩だよなあ」
とりあえずサッポロクラシックと地ビールでいいかな。



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サンゴリアスの札幌遠征。お土産は大体実在してます。

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新しい名前

「またお前さんがうちの名前を背負う日が来るとはなあ」
釜石さんがしみじみとそう呟いた。
手元にはリーグに送る名称変更に関する書類で、最後の署名捺印を済ませれば東京に送るだけとなっている。
「まあそれもまた人生って奴なんでしょう」
捺印した書類を軽く乾かす間に次の書類に目を通す。
その書類は次シーズンで使う新チーム名が日本製鉄釜石シーウェイブスであることをほかのチームに告知するためのファックスである。
ここにも自分の署名を入れておけばいたずらではない事が伝わるはずだ。
「D2以外のチームにも告知するのか」
「10月以降にプレシーズンマッチやるとこだけですけどね」
「ああ、確かにそこんとこは伝えた方が良いか」
納得したようにつぶやくと乾いた書類を封筒に入れて糊付けしていく。
これが届けば正式な名称変更が完了となる。
「そうだ。リーグの方針無視して企業名入れるんですから、資金弾んでくださいね」
「お金のことはまだ八幡と相談中でなあ、ブレイザーズもお前さんと同じこと言ってるらしいから増やせる可能性はあるが」
「頼みますよ」


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海波さんと釜石。急なチーム名変更はちょっとビビった。

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「わ」と「は」

*どうでもいい小ネタです

八幡「最近ずっと考えてることがあるんですけど聞いてくれます?」
釜石「まあ別にいいぞ」
八幡「私の名前、ちょっと呼んでもらえます?」
釜石「やはた?」
八幡「……やっぱり釜石もはなんですね」
釜石「そういやお前昔はやわただもんな」
八幡「ええ、ここ50年くらいやわたって呼ばれた記憶がないなと思って休憩時間に調べてみたんですよ」
釜石「調べるってのは?」
八幡「まずは一般の辞書で読み仮名を確認してみたんです、そしたら大辞泉 もブリタニカもweblioもやはた表記なんです。ちなみにWikipediaは併記でした」
釜石「うん」
八幡「次にNHKを確認してみると、これも振り仮名はやはた」
釜石「こう考えてみると今結構やはた表記が主流かもな」
八幡「ついでに知り合いにアンケート取ったら約8割がやはた呼びなんですよ」
釜石「今はもう完全にやはたで定着してるよな」
八幡「そうなんですよ!それで記憶を掘り返してみたんですけどいったい私はいつからやわたからやはたになったのか、一切思い出せないんですよ……!」
釜石「それを考えてたのか。ちょっと待て(ガサガサ)」
八幡「?」
釜石「あった、登記簿だ。少なくとも八幡製鐵はやわたって振り仮名になってるな」
八幡「それに今でもパンフレットの振り仮名はやわたなんですよね。一応公式にはやわたのままなのに世間ではやはたで定着しちゃってますよね」
釜石「そうだな、それにわしもいつからお前をやはた呼びしてたのか記憶にないな」
八幡「……言葉は変化すると言えど気づくと愕然としますね」
釜石「本当にな。ちなみにお前さんはどっちで呼ばれたいとかあるのか?」
八幡「日常においてはどっちでもいいんですけど、やわたって呼んでもらう方が地名と混ざらないのでやわた呼びのほうがいいですかね」



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特にオチはない。 アンケートはツイッターでやったやつです

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瀬戸内を眺めて

*今年の春先ぐらいのお話だと思って読んでください

周南からアフタヌーンティに誘われたので一緒に行くことになった。
元は他社ではあるもののの今は同じ会社でしかも近所という事で、たまーにお茶に行くことがあった。
何よりこうしてお茶に誘われるようになってから、意外に趣味も近いことが分かってきたから一緒にお茶しに行くのも苦じゃない。
「でもよくこんなとこ見つけて来たわね」
「こういうとこ好きだからねえ」
今回は瀬戸内海の見えるホテルのレストランが期間限定で行っているイチゴのアフタヌーンティー。
値段は張るけどたまにの贅沢だからいいのだ。
「でも前から思ってたんだけど、呉さんとはこういうところ来ないの?」
「呉は同じ価格帯ならちょっといいご飯食べたいってタイプだから、嫌いではないんだけど値段とか場所で敷居を高く感じちゃうみたいで。
桜島は大阪近辺なら一緒に行ってくれるよ大阪まで行くのがね~」
「あー」
広畑辺りも同じこと言いそうだなあと思いながら最初の一杯を注いでもらう。
話をしていると春摘みのダージリンの香りがふわりと香ってくるのがたまらない。
「かといってこういうところって一人で行くのも味気ないでしょ」
「それは確かに」
「だから最初光が興味あるって聞かなかったらずっと行けずにいたかも」
(コロナが流行る少し前、全社会議中の暇つぶしで紅茶の話になってその流れでアフタヌーンティーの話が出たんだっけ)
記憶を掘り返しながらまずは紅茶でのどを潤す。うん、美味しい。
ついでスコーンにも手を伸ばすと「ジャムとクロテッドクリーム、どっち下にする?」と聞いてきた。
「私はクリームが下かなあ」

「一緒だ。桜島は逆だったんだけど美味しいのって聞いたら『クリームが濃くておいしいって』いうから試したんだけど、クリーム上の方が濃くなるんだよね」
「でもクロテッドクリームって結構こってりしてるから私は下でいいかなあ」
そう言いながらスコーンにクリームとジャムを乗せると「好みだねえ」とつぶやく。
「まあ特にオチはないんだけど」
「こういう話って八幡や広畑は聞いてくれないのよねえ」
「八幡さんとかただダラダラ話を聞かされるの苦手そうだもんね」
「昔から八幡ってそういうとこあるのよね。なんというか、とりとめのない雑談したくても『で?』って聞いて全部終わりにさせちゃう感じ」
「わかる~!呉や次屋は割と辛抱強く聞いてくれるんだけどね」
「2人の事よく知らないけどいい人なのは伝わるわね」
「うん、すっごくいい人だよ」
お茶で喉を湿らせながらふいに思う。
こんなとりとめのない雑談をただただ延々とできるって、きっと幸せなことだ。



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光と周南。この2人が仲いい話を書きたくなったので。

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最後だと分かっていたとして

三連休は呉のところで過ごすつもりでいたのに、ちょっと前倒しになりそうだと聞いたので急遽休みを交代してもらってきょう行く事にした。
「呉!」
愛しい人の名前を呼ぶとその目にすこし光が戻って来て小さな声で名前を呼んでくれた。
「どうしてここに?土曜日に来るんじゃ……」
「休みを交代して貰ったんだ」
「無理を言っちゃったかな」
ポツリと呉が僕を見てつぶやく。
「大丈夫だよ、みんな分かってるから」
東予や桜島・次屋も呉と会って話せるのはこの三連休が最後だろうという覚悟はしていた。
広畑も仕事に大きな支障が出ない限りどこで誰と会おうと咎めない、と言っていた。
だからちゃんと交代して貰った上で来てるのだから大丈夫だ。
「周南、」「うん?」
呉が僕を撫でてきた。
働き者の無骨な手はちょっとざらついていて、でもすごく温かい。
「すきです」
「うん」
「出逢った時から今日のいままで、周南が好きです」
愛しい人の愛の言葉を脳髄の隅々に至るまで染み込ませるように、呉は繰り返し愛の言葉を告げてくれる。
呉の製鉄所としての機能はきょうで終わり、解体が始まればきっともう会うことも声を聞くこともできない。
だからせめて溢れるほどの愛を乞うのだ、

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呉周南の、最後かもしれない日のはなし。

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