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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

こんなの絶対おかしいよ!

突然ですが、水戸が部屋から出てきません。
「で、呼び出されたと」
「そう言う事。水戸、生きてる?」
ドア越しにノックをしながら声をかける。
「……生きてる」
「なら良いけど、仕事に来ないって色んな人が心配してたよ」
「だって、寒いんだもん」
「冬用コート着て車で行けばいいでしょ、車なら出すから」
「その冬用コートの場所分かんない!」
「探しとく」
「あとマフラーと手袋も!」
「それも出す」
「あと朝ごはんも!」
「コンビニ寄ればいいでしょ」
「……そこまで言うなら」
渋々水戸が了承する。
棚の奥から冬用コートとマフラーと手袋を引っ張り出して、のろのろと部屋から出てきた水戸に押し付ける。
そしてそのまま車に乗せて、後は県庁に向かうだけだ。
「こんなに寒いのなんて、おかしいよ……」
水戸のつぶやきはその通りだけど、だから部屋から出ないのは別だろうと言う言葉は抑えておいた。


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ここでキスして

ずっと、僕の世界は僕を中心に巡ってきた。
なのに一人だけ、僕とは違う場所にいる人がいる。
「で、直江津にガン無視されてうちに来たと」
「そう!酷くない?!」
「……んな事言っても直江津の事よく知らないから何とも言えねーんだけど」
君津は突っ張った見た目をしている割にこういう風に僕の話を聞いてくれるんだから意外と優しいと思う。
なんせ生粋の民間企業たるうち(住金)とは違って、官営である八幡や釜石がいるからいろいろ厳しかったんだろうと推測する。
「直江津は、自然現象以外で思い通りにならない唯一のものだよ」
ぶすくれてチョコを食べつつ僕がつぶやく。
あの灰色の瞳がじっと僕を覗くたびに欲しいなあと思うのだ。
僕や和歌山や君津の物とは違う、銀にも似た灰色の瞳が。
「恋してるみたいだな」
「……こい?」
「魚のじゃねーぞ?」
「いやそれくらいは分かるけどさ。でも、恋なの?」
「俺がそう思っただけだよ」



君津と鹿島と時々直江津

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照々さんからの頂き物

照々さんがリクエスト受け付けをやっていらしたのでリクエストして頂いた絵です。
許可を頂いたので転載しますよ。


(クリックで原寸大)
なんでなとりでちゃんってこんな性的なんでしょうね?

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どこまでも、どこまでも

「ケーキ買ってきました」
突然、東京まで来たから迎えに来るようにと指定されたのは上野駅の改札口。
そこまで迎えに来て渡されたのは二つの箱に入ったケーキ、どちらも茨城の有名店のものだ。
「……また、なんでだよ」
「いてもたってもいられなかったんですよ、帰りを待つのも億劫でしたから」
一日適当に観光して回って帰ります、と水戸が告げる。
何故水戸がそんな行動をしたのかの見当はついていた。
「全線復旧って言ったって、まだ何年も先の話だぞ」
「それでもです」
常磐線の全線復旧のめどが立ったとはいえど本当に動き出すのは何年も先の話だ。
予定がまた一つ増えたとある意味酷くドライに考えていたのは、取り戻すべき日常がもう一度帰ってくる喜びを爆発されるには今はいささか多忙すぎたのだ。


「あなたの二度目の誕生日ですからね」

「だからケーキ二つか」
「ええ」
どこまでも、どこまでも歩いていく。
そうして帰ってくる場所は、この目の前にいる兄貴分の前でありますように。



常磐線全線再開決定記念

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バレンタインは残酷きわまりない

「ほい」
自宅に戻ってきた第一声はこのチョコの箱だった。
大きめの紙袋に3つ、ぎっしりと詰められたそれに思わず投げやりな目を向ける。
「なにこれ」
「預かり物のバレンタインチョコ」
「なんで牛久が預かってんの」
「今年のバレンタインは竜ケ崎がこっちに居ないから預かっててほしいって」
県のアンテナショップの仕事を水戸に割り振られて東京に行っていたのは事実だ。
しかしそれを牛久に渡すとは随分な根性である。
(投げ捨ててぇな……)
こんな山盛りのチョコよりも牛久がワインの一本でもくれるならそっちの方が遥かにいい。
何時の頃からか屈折し始めた隣人への恋慕はこの世にあるすべての物に殺意すら抱かせるほどの極端さに進行している。
「牛久はくれないの」
「バレンタインは女の子からチョコもらう日だろ?」
驚くほどの純真さでそう答える牛久に何も言わないでおく。
そうだ、こいつはこういう奴なのだ。
「手作りは捨てて高そうな奴だけ残しといて」
「は?!もったいないだろそれ」
「手作りなんて何が混入してるか分かったもんじゃないし、前に見ただろ?」
「ああ……あの血まみれチョコレート?」
テレビでもやたらとカラフルなチョコが紹介されるようになったころ、やけに赤黒いチョコを貰って怪しいから食べないでおいたらつくばが面白半分に材料を調べて赤い色が血液によるものだと判明した事が有る。
「あれ以来他人の手作りとか怖くて無理」
「……まあ、気持ちは分からないでもないな」
「牛久だって他人の血液入りチョコとか怖くて無理でしょ?」
「……責任もって捨てておきます」
牛久がそう言って黙々とチョコを仕分けていく。
高級チョコをひとつ抜き取って、指のささくれを毟って少量の血液を出す。
「牛久」
「うん?」
牛久の口に指ごとチョコを放り込む。
少量でいい、血を飲ませてやろうと思った。
それで自分の方を向くというならいくらでもそうしてやろうと思った。
口から指を抜いた後、何やかんやでチョコを飲むこむ。
「……なんでこうなった?」
「こうしたかったから」
ティッシュで指先を拭く。
牛久の唾液なら舐めとってもいいかなと思ったけど止めておいた。
「チョコ食べ切れないし消費手伝って」
「明日チョコにあう酒持ってくる」






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