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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

さよならの代わりに

アスリートがアスリートで居られる時間は短い。
それは自分の感覚でたとえるなら桜が咲いて散るような儚さで、時にそれを見送り時に違う形で残ってほしいと頼んだ。
それでもここを去る人の事を止められたことは一度だってない。

「トムさんもどうせならうちで復帰してくれたらなー……」

液晶画面の向こう側。
日本ラグビー界への電撃復帰とシャイニングアークスへの入団を報告すその人は、俺が泣きながら見送った人だった。
本人から電話でアークスんとこに行くと報告されたときは正直ちょっと泣いた。
あんまり悲しくて『日本のラグビー恋しなったんならうちで復帰したらええやん』という事も出来なかった。
だってわざわざスタッフだけやのうて俺にも報告してくれたんやぞ?俺何の権限もないのに。つまりそれは本人なりの誠意な訳で。
そんなもん見せつけられたらもう何も言えへんやん、俺。
うちとの契約解除文章を出して一時間も経たんうちに入団会見やるシャイニングアークスの根性は正直どうかしてると思うけどな?まあ俺がギリギリまで出したなかっただけやけど。
臙脂と青のユニから青と黄色のユニフォームへ。それだけなのに全然違う人に見える。
今更泣いても仕方ない。ただせいぜい、シャイニングアークスの所で大事にされてくれという祈りを込めてこうつぶやくのみだ。




「シーユーアゲイン、ミスター・トンプソン・ルーク」

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ライナーズの独り言。しゅーひがさんの記事読んでて思いついたネタ。

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がおにゃっ!

仕事と練習の合間の短い時間に打ち合わせをすることになった。
「シーウェイブスお疲れさん、元気しとった?」
『何とか無事にな』
「とりあえず確認したいんやけど、お前俺との試合の日にマスコット発表ってホンマなん?」
『ああ、ちょっと事情があって報告が少し遅くなったがそのつもりだった』
「あー……せやったらうちもコーロクン連れてこれるか考えんとな」
そうぼやきつつメモを取る。
コーロクンの予定もあるので色々詰めておく必要がありそうだ。
「というか、お前んとこに虎のマスコットおったやん。あの子らは?」
『なかぴーのことか。あれはもともとファンが自主的に準備してくれたマスコットで所属はうちじゃないぞ?』
「せやったん?!」
『所属は地元の薬局で、あくまでうちのサポーターだ。今度出すフライキーはうちの所属で選手志望だぞ?』
詳細の乗った公式サイトのページを送ってくれたので確認したら本当だった。
なんか試合会場で大漁旗振って応援してくれてるイメージしか無いわ、と思いつつ一通り目を通す。
「そういう感じやったんか」
『ああ。それにずっと手弁当で応援してくれたなかぴーにこれ以上無理はさせられんしな。
自前でマスコットを持ったほうがこの先活動の幅も増やせるし、グッツのレパートリーも増やせる』
「せやなあ、俺も需要あればコーロクングッツとか作ろかな」
『いいな。コラボグッツも機会があれば作れるな』
「マスコットどうしのコラボグッツか、女子受けしそうやしええな。今からやと少し急すぎて納期きついか?」
メモを取りながら『それは来年でええじゃろ』とシーウェイブスが言う。
まあさすがに急よな、という事でこれは来年以降に後回しにする。
『マスコット人気も侮れんものがあるよな。ラムまるくんとか』
「あー、アレすごいよな。あのデカいぬいぐるみめっちゃ目ぇ引くし次世代のサポーターの涵養に一躍買うてくれるもんな』
『うちもあれぐらい人気のマスコットにしたいし、デカいぬいぐるみ作るか検討してみるか』
「でも着ぐるみ作ったばっかやろ?意外にぬいぐるみもって高ぉつくって言うてたで」
『じゃあ検討程度にしておくか』
マスコットを巡る話し合いはもうしばらく続きそうだ。



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スティーラーズとシーウェイブス
新マスコット楽しみですね

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ただ騒がしき土曜の夜更け

土曜日の夜、家を訪ねてきたシャトルズとブルーレヴスがうちに来た。
「……本当に中継のためだけにうちに?」
「中継がWOWOWだけ言う理不尽のせいじゃんね、あん巻き持ってきた」
「僕は浜松餃子と地ビール持ってきたんで台所お借りしていいですか?」
「あー、うん。頼むわ」
手土産のあん巻きを受け取り、ブルーレヴスが足早に台所へ向かう。
今回の日本対アイルランド戦がWOWOWのみ中継のため、見れる環境にないブルーレヴズがテレビを貸してほしいと連絡してきた。
それに便乗するような形でシャトルズまでうちに押しかけて来たのだ。
「シアタールームって地下だら?先行ってるに」
「使用中の看板かけとけよ」
親兄弟で共に使ってるこの家には専用のシアタールームがあり、使ってるときは入り口に使用中の看板を掛けるのが決まりになっている。
今回はこのシアタールームで代表戦を応援する予定になっている。
台所で餃子を焼くブルーレヴズは嬉々としてフライパンで餃子を焼き、良い匂いがする。
「持ってきたビールまだ冷えてませんけど」
「いや、レヴズって今回の遠征に自分とこの選手いないよな?」
「それ言ったらシャトルズさんもでしょ。それに日本ラグビーは代表あってこそですからね、シンさんが育てたスクラムがどこまで通用するか見届けたい気持ちもありますし」
「確かにな」
日本代表はこの数年で大いに羽ばたいた。
アジア初のラグビーワールドカップは日本ラグビーが世界に通用することを証明し、これから強豪へ並び立とうとする気概を世界に示した。
プロチームはそのための人材のゆりかごでもあり、俺たちは日本ラグビーの見届け人でもある。
「まあそれはともかく、楽しみましょうよ。久しぶりに集まって飲みながら応援するんですから」
熱々の餃子がゆでもやしとともに大皿にドンと出される。
餃子とビールを肴に、日本ラグビーの羽ばたきを追うために今日は集まったのだ。
「そうだな、先にやってていいか?」「どうぞ」
大皿の餃子と冷蔵庫に冷やしておいた大瓶のビールとグラスを手に地下のシアタールームにおりていけば、部屋は紅白とラグビーに彩られている。
「準備できたに」
「先に一杯飲ろう」



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本日22時、日本対アイルランド戦!

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真夜中テンションのハロウィンが一番怖い

「先輩、トリックオアトリートです!」
布マスクを外したイーグルスがうちに押しかけてきたのは日付も変わった午前零時すぎ。
妙に雰囲気のいいスーツに謎の棒とそれっぽい牙までつけてきている。
「……Halloweenのコスプレか?」
「移転先の横浜にちなんでネットミームでお馴染みの吸血鬼Y談おじさんです!」
この可愛い後輩の口から猥談という単語が出て来る事に何とも言えない気分になるがまあいい。
あと眼の下に大きめのクマが出来ているが大丈夫なのだろうか。
「因みに悪戯の中身は?」
「口を開くと性癖丸出しになる催眠をかけます!」
「其れは危ういな、寒いし中に入ると良い」
後輩を中に入れた後とりあえずデカフェのホットラテと一緒におからのクッキーを出してやる。
「お菓子はこれらで良いか?」
「はい」
即答だった。善良な吸血鬼で何よりである。
もりもりとクッキーをかじりコーヒーを飲む姿を妙に穏やかな心地で見守っていると、ふとあることが思いつく。
皿の上のクッキーが切れたタイミングで目の前の後輩にこう問いかけた。
「イーグルス、Trick or Treat」
「え」
しばらく考え込むと「ちゅーでいいですか」と聞いてくる。
「然うだな、キスは甘いからお菓子だ」
微かな笑みを零して菓子よりも甘い口づけを一つ。
「然し此れだけでは足りぬな」
「……僕もです」
何よりも甘いものを欲する夜はまだ始まったばかりだ。



なお、翌朝正気を取り戻してふたりは恥ずかしさで死んだ。

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ブラックラムズとイーグルスのいちゃいちゃ

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それぞれにそれぞれの土曜日

*本日は短編集です

・大分に行くはなし(レッドスパークス+キューデンヴォルテクス)
先輩の用意してくれた日本代表戦のチケットと往復の特急券を握り締めて待ち合わせた博多駅の改札は、日本ラグビーの色で彩られていた。
「こういうのを見ると華やかでいいですよネ」
「本当にな」
改札を抜けて特急のホームを目指すと同じ方向を目指すらしき人たちもちらほらと見かける。
赤は私の色でもある。コカ・コーラレッドスパークスの色。
その色をまとう人々をもっと見続けて居たかった、という気持ちがじわりと沸いてくる。
「ブルースが来れんのは残念やったなあ」
「練習試合はしかたないデスヨ」
日本代表戦と言えどこんなによく晴れた土曜日の昼下がり、試合向きのいい日だ。
そんな日に試合をサボるなんて絶対にありえない。
青い特急が静かにホームへ滑り込む。
「今日はめいいっぱい楽しんでこな」

・三宮駅前にて(スティーラーズ+神戸)
秋晴れというよりも冬晴れという言葉が良く似合う土曜日の朝だった。
イベントの設営を終えてかいた汗をぐりぐりと拭いながら今日の大分の天気を確認する。
「向こうも晴れか」
試合向きの実にいい日だ。
本当は大分まで応援に行きたい気持ちもあるが今日は地域イベントのほうを手伝う日なので、気持ちばかりを送るしかできない。
姐さんからLINEが届いた。
『昭和電工ドーム着いたわよ、代わりに応援してくるからイベント頑張ってきなさいね』
一緒に届いたのは日本代表のタオルマフラーを巻いてユニフォームを着た姐さんの自撮り。
既にファンが到着して並んでいるのも写真からうかがい知れる。
『うちの奴らちゃんと応援してくださいね』
『当然でしょ?お土産はマッチデープログラムでいい?』
『ついでに何か大分の美味いもんがあると嬉しいです』
ちらりと周囲の様子を伺うとさっそくお客さんが来る。
こういうイベントも大事な仕事だ。神戸にラグビーの花を咲かせるのが俺の使命なのだから。

・充電がない(ブレイブルーパス+シーウェイブス)
「げっ」
隣にいたブレイブルーパスが小さなうめき声をあげたので「なんかあったか?」と尋ねると「スマホの充電がない」と言う。
見てみれば充電がもう一桁しかない。
「スタッフに頼んで充電させてもらうか?」
「チームテント遠くない?」
「テレビスタッフに借りればええ、わしが頼めばコンセント一つぐらいなら借りれるじゃろ」
「じゃあお願いできる?」
スマホと充電コードを受け取って近くにいたテレビスタッフからコンセントを借り、繋ぐとすぐに充電が始まった。
「試合実況に使うのか?」
「いや、代表戦見るのに使う。今日2年ぶりにとくさんが代表ユニ着るからさ」
「確かにそいつは見逃せないな」
自分も同じ状況ならやはり確認するだろうと思えば納得の笑みがこぼれる。
すっかり代表戦などというものは縁遠くなってしまったが、またいつか自分にもそんな縁が降りかかる日が来るんだろうか。
「でも目の前の試合に集中しないと勝てるもんも勝てなくなるぞ」
「……言うねえ」
ブレイブルーパスが笑いながら「でもうちは強いよ」と返すのだ。

・熊谷の秋(アルカス+ワイルドナイツ)
昨日ちょっとばかりの手伝いを買って出てくれたワイルドナイツは、設営が終わっても特に帰る気配もなくぼんやりと試合を眺めていた。
「あんた女子の試合そんなに興味ないんじゃなかった?」
「正午過ぎには帰るよ、代表戦見たいし」
「……暇つぶし?」
「まあ、そうだね」
ワイルドナイツの目にはうら若き少女たちのラグビーはどういう風に見えてるのだろう。
伸びしろがあると見るか、稚拙ととらえるのか。聞いてみたいような恐ろしいような心地だ。
「真剣にやってるんだから真剣に見なさいよ、そうじゃなきゃ追い出すから」
「うん」
何を考えてるのかいまいちよく分からないまなざしだった。

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日本対オーストラリアは本日午後1時半から!

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