「腑に落ちんな」
いつものように黒を纏ったブラックラムズのじーちゃんがそう呟いた。
本当ならファンがつどっていたはずの秩父宮はお詫び文が張り出され、来場してくれたファンには頭を下げるしかできない。
「俺かて腑に落ちんわ、要するに協会のミスやし」
「ミスは誰しも犯すものだが今回ばかりは同意見だな」
特に俺にとって今日は特別な一戦だった。
「きょうがD1でやる最後の試合やったのにな」
再編成によるD3への自動降格が決まっている身にとって、泣いても笑っても今日がD1でする最後のゲーム。
死ぬ訳ではないとしても最後の日にケチついたみたいでけったくそ悪い、というのは飾らぬ本音。
「非公式試合でも組むか?」
「それもええかもな」
魔法瓶から出てきたコーヒーを一口飲みながら、ほうっと軽く一息つく。
ちょっと怒りは落ち着いた気もするが今やるべきことは皆に詫びる事だろう。
「協会への文句は後回しやな」
「ああ、仕事は未だ有るしな」
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レッドハリケーンズとブラックラムズ。
今回の試合中止ホント……協会がクソ……(口癖)