午前5時前、まだ薄暗い部屋のカーテンを開ければ初夏の日差しが布団の上に落ちた。
いつものようにやかんに温度計を指してからお湯を沸かし、昨日の残りのごはんも温め直しておく。
80度のお湯でお茶を淹れ、温めたごはんには塩昆布と梅干を一つ。
あとは兄さんを起こしてご飯にお茶をかけるのみだ。
食卓の上にはお茶漬けと昨日貰った漬物の残りが少し。
「兄さん、朝だよ」
「……なんだ、兄弟か」
「早く着替えて朝ご飯食べよう」
「おう」
2人で朝ご飯を食べることも、まあたまにはある。
この気仙沼の宿舎は僕らが共用で使っている部屋であり、子どもの頃はよくここで一緒に過ごしたものだった。
「「いただきます」」
食卓の上には茶漬けと漬物だけ。
愛想のない食卓だが、大して料理が上手い訳でもない僕らにはこれが限界なのである。
夜なら魚でも焼くけれどさすがに面倒だ。
「……お前の淹れるお茶は美味いねえ」
「そうかな」
「美味いよ」
率直な褒め言葉が、胸に温かく落ちていく。
気仙沼線と大船渡線。
ツイッターで「フォロワーさんの好き要素を詰め込んだ小説をいつか書く」というのをやったら同居してる二人のごはんというリクエストを頂いたので。