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コーギーとお昼寝

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階段を踏み外す

イチマルさん(@101_miotxi)の高槻さんをお借りしたBLになりそうなお話。



「まちを見てると俺も誰かと付き合いたくなる……」
「それな!」
大阪・高槻市内のある居酒屋で2人は酒を飲んでいた。
机の上には食べかけの刺身やうどん餃子に空のグラスや御猪口が並んでおり当の本人たちもだいぶ酔いが回りだしていた。
「別に恋がしたいとかあんまり思った事ないけど、こう、幸せそうにしてるの見てるといいなあって思うんだぜ……」
「それなりに長生きしとるのに思った事ないん?」
「友人知人はいっぱいいるし仕事も楽しいからそう言うこと考えたことすらなかったんだぜ」
それは強がりでも何でもなく彼の本心であった。
茨城有数の観光地という土地柄故に仕事はあったし、友人知人には恵まれているほうであったので恋人がいなくても生活は充実していた。
ただ、何かと気にかけていた相手が恋をして頻繁に茨城と大阪を行き来するようになってそれがあまりに幸せそうなので羨ましくなったのだ。
「ふうん……そういうもんなん?」
「そう言うものだと思うんだぜ」
やおら携帯を取り出して町の事を語り始めるので、隣にいた彼はふんふんと適度に話を聞き流しながら写真に目を傾けていた。
町の事は彼自身のことであり、それを楽しげに語る姿を好ましく思っていた。
推しキャラクターを看板娘とするお菓子屋さんの写真を出しながらふいに唇がかさかさに乾いていることに気付く。
「なぁ、」
「うん?」
「唇の端、だいぶ乾いてへん?」
「あー……今朝塗るの忘れてたんだぜ」
「リップとか塗るん?」
「冬場とかガサガサでたまに出血するから塗ってみたら割れなくなってそれ以降ずっと塗ってるんだぜ」
がさがさとバックから小さなプラスチックの入れ物を取り出してふたを開けると、甘いカスタードと焦げた砂糖の匂いが2人の間に淡く広がった。
それが水仕事でささくれた人差し指で掬いとられ、唇に薄く塗られていく。
「なんか、美味しそうな匂いがする」
にゅっと顔を寄せる。
(あ、あかん、)

このままキスできそうな気がする。

アルコールと甘い匂いに酔った男二人の脳みそに同じ言葉が、よぎっていた。

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