さくらの美しい季節になり始めました。
「なあおっさんよ、花見にはちと早くねえか?」
おやおや、このさくらはまだ5分咲き。ですが向こうの木は早咲きなのでしょう、もう花を咲かせています。
「おっさん言うな、下館。あとさくらは満開よりつぼみをめでるのが風流ってもんだろ。」
「ただのせっかちのような気がしますけど?」
さくら、さくら辛辣なコメントは結城、鍋の準備のようです。
「ゆうきにぃ、しーくんお鍋早く食べたいのー」
「桜川、もう少し待ってください。もう少しの辛抱でおいしいお鍋が出来ますから。」
笠間のひざの上でお鍋をせがむのは・・・・・・小さな桜川。
「それにしたって下妻おっそいよなー」
「遅れましたああああああ!」
走ってやってきたのは下妻、その後ろにいるのはたぶん筑波でしょう。(もう既に息切れして、体力無いようですし)
「お、噂をすれば影。遅かったな、下妻ー」
「笠間さん・・・・・筑波さんが朝急にサンドウィッチつくってくれって!何度も念押しで聞いたのに朝になって急に言い出したんですよ!」
手荷物のお花見弁当、4段重ねとサンドウィッチを並べてそう愚痴をこぼす。
「し・も・つ・まー!」
「だあああ、重いっ!飛びつくのをやめろって何度言えばいいんですか!」
このずいぶんと小柄(17なのに150センチちょい)なのが筑波。
そんなに嫌なら縁を切ればいいのに。
「隣だから縁切れないんですよ。」
見事なまでに殺気のこもった呟き、ありがとうございます。
「下妻、鍋はほぼ完成してるので花見を始めましょうか。」
「あ、はい。」
* *
「つくば兄ちゃん、全部貴重なさくらなのー」
「へえ・・・綺麗だね」
「特にこの匂いのするのは『とくべつてんねんきねんぶつ』って言うんだよー」
ついでに言いますと、この花見会場にはほかに10の特別天然記念物の桜が植えられていてかなり貴重なんだとか。
「やっぱり、桜は良いねえ・・・・・・」
「下妻、おっさんくさい」
「しもだて、おっさん臭くても別に良いだろ?」
「おっさん臭くても自分は好きだよ?」
ほわほわ、と謎のオーラをまといつつそう言うつくば。
何でこんなのになったんでしょうね、東京さんよ。
「つくばー、こんなところで告白まがいなことをしない」
「ちょいとおっさん、告白って?自分はそう言う意識が無いでありますが?」
(・・・・・・下妻、俺はこいつを止められません。後つくばよ、おっさん言うな。)
「みんな元気ですねぇ」
「あのさ、結城よ。元気の域超えてる気がするぞ」
「別にどっちでも良かろう。桜は美しいし、みな今年も幸せだろうしな。」
「・・・・・・お前さ、ちょっと下妻がうらやましいと思ったろ」
「イイエゼンゼンオモッテナイヨー」
(おい、ばればれだぞ。)
さて、今年もみな元気です。
おわり