シーズンオフは退屈だ。
仕事が嫌いな訳ではないけれど、ラグビーをするために生まれた訳なんだからそれをやらないことがとにかく退屈なのだ。
ワインでも飲もうかと思ったけれどやっぱりいいかと諦めて戻してしまう。
ポケットに突っ込んであった携帯が低い音で着信を知らせてくる。
『サンゴリアス?』
「なんだ、ブレイブルーパス先輩か」
『それが先輩に対して吐く台詞?』
「いえいえ、でご用件は?」
『ドライジン貰ったんだけど一緒に呑まない?』
「行きます」
『じゃあ今から来てよ、あと割り材もよろしく』
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そうして尋ねた部屋には、イーグルスとブラックラムズさんもいた。
「おつかれさまー」
「久方ぶりだな、サンゴリアス」
「ブラックラムズさんもお久しぶりです、イーグルスも」
割り材の入った袋を机に並べれば、あっちこっちに散らばったレコードやCDのなかでレコードプレーヤーの前に座り込むブレイブルーパス先輩がそこにいた。
その傍らにはジントニックの入ったグラスがぽつんと置かれていた。
「……なにしてんですか」
「次なに流すかなって」
「今日はクラブナイトがテーマの飲みらしいですよ」
「へー、それで割り材持ってこいって言ったんです?」
「そういうこと。サンゴリアスも好きなのあったらかけて良いよ」
足元に散らばっていたレコードを一枚取って再生させてやれば、今では懐かしくなったロックの名曲が流れ出す。
「懐かしいですねえ」
「最近の曲じゃないか?」
「僕にとっては懐かしい曲なんですよ」
これならクラブナイトにはぴったりの歌だろう。
「踊ります?先輩」
「サンゴリアスが踊りたいなら」
ただ東京組をキャッキャさせたかった。
あんでぃもりのクラブナイトは東京組の歌だと思うんですよね。