「水戸くん、このお花なあに?」
茨城町がふいに仕事場の窓辺に飾られた花に眼を止めた。
太い緑の茎に黄色の花のようなものが咲いたトロピカルな花はまだ冬の名残厳しい3月の窓辺に鮮やかに生えている。
「極楽鳥花っていう南の方の花、毎年この時期になると八丈島からこれを送って来てくれる人がいるから一本貰って来た」
ホントは全部市民に配布されるんだけどねと苦笑いを漏らすと「でも綺麗だね」と呟く。
「うん、」
最初にこの花を貰ったのは、震災の翌年だったか。いや直後だった気もする。
早くもぼんやりしてきた記憶に自分でも呆れてしまう。
「……極楽鳥花の花言葉は『輝かしい未来』」
「そうなの?」
「輝かしい未来を、生きないとなあ」
水戸と茨城町。公式ついったを見て思いついたネタ。