「なんか今日まで長かったねえ」
試合会場の開門に向けた準備を終えて、アルコールで手を拭っていた時ぽつりとスピアーズが呟いた。
門の外には開場を待ちわびる人がちらほらいる。
「……一年近く試合しとらんかったけんね」
「中止になったの3月だもんね」
そう思うと今までよりも長いオフシーズンだったことを改めて気づかされる。
本当ならば1月には開幕してたはずのリーグ画延期され、ようやく迎えられた今日の重みは大きい。
「ブルース、俺つくづく思ったんだけどね」
「うん?」
「やっぱ、俺ラグビー大好き!」
「……みんなそうたい」
長い一年は終わった。
俺たちの手元にようやく、ラグビーのある日常が帰ってきた。
遠くのスタッフが開場知らせてくるのと同時に響く足音はどこまでも明るく高らかに響いた。
----
スピアーズとブルース。
ようやく帰ってきたラグビーのある日々に感謝!