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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

bird's sorrow

*短編集です

・ぱんつのゆくえ(イーグルス)
ここに、優勝したら履くつもりで作った真っ赤なパンツがある。
僕の分も作ってもらってプレーオフ前に受け取ったそれと、僕はじっと向き合う。
「……三位決定戦で履いてもなあ」
これは優勝した時のために作ったんだから三位決定戦で履くのは違う気がしていた。
来年優勝したら履くために残しておくべきか、そんなことをじっと考える日曜日。

・今年は君に会えないけど(ワイルドナイツ+サンゴリアス)
「おつかれ」
サンゴリアスにそう声をかけると「来てたのか」とつぶやく。
スピアーズの前では明るく振舞っていたくせに一人になるとひどく落ち込んで、妙な意地を張ってたらしい。
「今年こそお前から優勝カップ奪い取るつもりだったんだけどなあ」
「だと思ってた」
「思ってたのかよ」
サンゴリアスが子供のように不貞腐れる。
それを可愛いと思いながらも、こんな時に余計に機嫌悪くしてやるほど悪人じゃないので口にはしないでおく。
「今年の優勝カップ持って、来年の決勝で待ってる」

・あと一歩にとどかない(シャトルズ+ダイナボアーズ)
今だけは海老名の曇り空が憎たらしい。
そんなことを思いながら残留を決めたダイナボアーズに視線を向ける。
「ありがとうございました」
「往生こいてここまで来たことに?」
そんな皮肉めいた言葉が漏らすと「いえ、今日のいい試合にです」と素直に答える。
あんまり素直にそんな事を言うせいで「ほっか」としか返せない。
「……もっとちゃっと帰れるつもりやったんにな」
協会にD3に落とされてからすぐに戻るという執念でずっと走ってきた。
けれどまだ帰るための最後の勝利は今この手からすり抜けてしまった。
「ほだら、ちゃちゃっと帰って来季に備えるでの」
「ええ」
来年こそD1に帰るのだ、と言う気持ちがまだ自分の中で渦巻いていた。

・残留と昇格(シーウェイブス+キューデンヴォルテクス)
久しぶりにかかってきた電話の主の声は弾んでいた。
「シーウェイブスとの試合久しぶりやっちゃねえ」
「そうだな、キューデンヴォルテクスも釜石に来るのか?」
「現行制度的になあ」
現在のホーム&アウェイ制度だと必ず一度はアウェイでの試合があるから、一度こっちで試合があるはずだ。
うん、忘れてたわしが悪いなこれは。
「……そうだったな」
「別にええよ。釜石のうまいもん食わしてもらえれば」
「それは別に構わんさ。ただD2はきついぞ?」
「Dロックスとシャトルズ残留しとるもんなぁ、あとレッドハリケーンズもおるんやったか」
「あとグリーンロケッツが落ちてきてる、レメキが来るぞ」
「レメキかあ……ホンダ時代に泣かされた記憶しかないわ……」
どうせシーズンが始まったら敵になるのだ、今だけはラグビー仲間として気ままに話していいだろう。

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