11月の北海道は完全に冬だ。
窓の外にぽつぽつと降る湿った雪を見ながら布団から這いずり出て、ラジオのスイッチをつける。今日の天気予報を聞き流していると今日は一日中この天気だと告げられてため息が漏れる。
「……ほんと、寒いのはやだなあ」
生まれも育てもこの北海道室蘭と言っても寒いのが好きな訳じゃないのだ。
まだ高炉近くの40度を超える暑さの方が耐えられる。
今日の朝食はインスタントのコーンポタージュとロールパンが三つ。質素と言えば質素だが朝は食欲がないのだから仕方ない。
お湯が沸いたころにはラジオは地元のニュースから全国ニュースの時間になり、それを聞き流しながら軽く朝食を済ませる。
使い終わった食器を軽く洗い流して、歯磨きと洗顔を済ませた頃にはちょうどお出かけの時間だ。
愛用のダッフルコートにブーツを履けばいつも通りの仕事の時間。
ラジオは止めたし、戸締りも完璧だ。
「さて、行ってきますか」
今日も寒いけれど、仕事の時間だ。
室蘭の何てことない冬の朝の話。