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コーギーとお昼寝

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夜明けまで語れたら

外出自粛のこの頃、とにかく人との雑談が恋しくなりがちで気づくと誰かに連絡してしまう。
特に酒が入るといやに寂しくなっててきとうに連絡をつなげてみる。
今日は西宮と神戸のほうと連絡がつながって「ひさしぶり」と声をかける。
『久しぶりって程じゃないわよ、3日ぶり』
「そんな頻繁に連絡してたっけ」
西宮が何かを確認すると『今月半ばからほぼ3~4日おきに連絡もらってますね……』と言う。
人恋しくなってる自覚はあるがそこまでやってたのかと思うと「なんかごめん」としか言いようがない。
『そういえばお気に入りの飲み屋が閉まってるとか言ってたわね』
「緊急事態宣言出てすぐに閉まっちゃって、いちおう配達はしてくれるんだけど人と話さないと飲んだ気しなくて」
『今いろんなもので前で頼めますもんね』
「ほんとになー、西宮いまなに食ってるの?」
『お取り寄せした北海道のカチョカバロと山梨の無添加ワインです、これがすっごい美味しくて……』
液晶画面に映されたワインの瓶と焼いたチーズの画像はいかにも美味しそうだ。
『ホットプレートでお野菜も一緒に焼いてるんですけどこのお野菜もおいしいんですよ』
『完全に酒飲みねえ』
「神戸は?」
『木曜は休肝日にしてるのよ。代わりにチャイを淹れてもらってるとこ』
そう言ってると神戸の横から小さめのマグを持った手が伸びてきた。
『スティーラーズ、挨拶』
『ああ、いつもお世話んなってますー』
いつもの赤毛をナイトキャップにしまい込みゆったりしたパジャマのスティーラーズがへらりと笑って手を振った。
「スティーラーズか、こっちは本格的に久しぶりだな」
『そうですねえ、姐さんがここでお茶する時しかお会いしませんもんねえ』
「ラグビーも休みだし暇してるだろ」
『そりゃーそうですよぉ』
「サッカーも中止だしなあ、千葉とかも泣いてるだろ」
『うん、本当はこの連休に遠征がてら顔見に来てくれる約束だったんだけど試合が中止になっちゃったからやっぱりさみしいわね』
『ラグビーも中盤のいいとこでリーグ戦終わっちゃったからほんと嫌よね』
『こればっかりはどうにもなりませんって。お二人もお体気を付けて、俺はここで退散さしてもらいますねー』
そう言ってスティーラーズが画面から消えていくのを手を振って見送れば『ま、あの子がすねてこないぶんましなのかしらね』と神戸が言う。
「拗ねてるのは神戸のほうだろ」
『べつにすねてないわよ』
『そういう人のほうがすねてるように見えたりしますよね』
「西宮もこう言ってるぞ」
『すねてないわよ』
不機嫌そうに神戸がチャイを飲むと、西宮がそういえばと話を切り出す。
『私チャイって飲んだことないんですけどスパイス入ってるんですよね?』
『そうよ、生姜とシナモンとカルダモンを紅茶と煮だして牛乳と砂糖を入れてね。生姜入ってるから指先の冷えに効くし、寝る前に飲むとよく寝られる気がするのよね』
『へえ、私も試してみようかな』
『茶葉はニルギリで作ると美味しくできるわよ、水も硬めのミネラルウォーターを沸かしてね。
スパイスは粉末のを使うんだけど私は粉を買っても使いきれないから普通のひね生姜を薄切りにして使っちゃうのよね。あ、シナモンとかカルダモンも買ったやつ余ってるから今度あげるわ。
あとはー……「長いな!」
思わず私が渾身の突っ込みを淹いれると『いいじゃない別に』と不満を漏らす。
「ほんとに紅茶好きだよな」
『そうね、此花はあんまり飲まないわよね』
「出されれば飲むけど高い紅茶を少量より安い麦茶がぶ飲みしたいだけ」
『あなたそういうタイプよね、量より質というか』
『それはちょっとわかりますね』
「西宮ー……もどっちかと言えば神戸タイプか」
『そうですね。私たくさん食べるタイプじゃないですし多少高くてもおいしいもの食べたいじゃないですか』
『一人だからこその自由ね』
「味方がいない……」
『まあそういう日もあるわよ』
終わりのない雑談をグダグダと続ければちょっとは寂しさも消えていく。
新しい酒に口をつけてると神戸がおすすめの茶葉の話をしだすので、それをぬるく眺めながら終わらない夜を過ごしている。


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