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コーギーとお昼寝

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真夜中の焼き鳥とビール

金曜日の夜だから、という理由でちょっとお高いビールとやきとりを買って遊びに来た兄に思わず驚きの声が漏れる。
「……にっちゃん、いま何時か分かってる?」
現在の時刻は午前2時。立派な真夜中だ。
ほろ酔い気分なのだろう、英国紳士然とした銀の瞳を甘く蕩けさせて「なんじだっけ」と笑ってくる。
「お迎え呼ぼうか?」
「やだ、ひさしぶりにきょうだいみずいらずでさけのみたい」
「酔ってんじゃん」
「そう?」
「十分酔ってるよ」
ああでもこの調子じゃあ帰らなさそうだなあと諦めて家にあげることにした。
ふわりと甘辛い焼き鳥の匂いがして思わず食欲がかき立てられて、ぐうっとお腹の虫がなる。
「びーるよりやきとりのほうがいいか?」
「食べる」
やきとりの入った箱を開けて、玉ねぎと肉の刺さったやきとりを一串づつとる。
ちょうど6串入っているから夜食にはちょうどいい量だ。
「おとうとのぜんとようようとしたみらいをねがって、Cheers!」
酔ってても発音はきれいなクイーンズイングリッシュだ。
とんと軽くやきとりを重ね合わせてから、ぱくりと口にほうばる。
室蘭やきとりらしく豚の油と玉ねぎ、それとたれの甘みが口に広がり練りからしがピリッと味を引き締めてくれる。
ここ室蘭のやきとりはやきとりという名前に反して豚肉と玉ねぎが標準で(八幡に言わせれば詐欺らしい)個人的にこの味が一番なじみ深い。
「わにし」
「なに、にっちゃん」
「むこうでいじめられたらおれにいえよ、やはたにガツンといってやるから」
「今更いじめる訳ないでしょ?」
「のちのしゅしょーもおいはらったこのおれがガツンといえば!」
「大丈夫だから、ね?」
「……わかった」



そうして、兄と弟の夜は更けていく。


室蘭兄弟の話。

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雨の日と名前の話

奇妙な取りあわせになってしまったな、と思わずため息が漏れそうになる。
毎年のように訪れる奥出雲の地で秋の通り雨に降られて雨宿り。
それ自体はいいのだが一緒に雨宿りする相手が問題なのだ。
隣にいた少女がちらりとこちらを見やるとチッと舌打ちを漏らす。
日立金属安来、たたら場の血を引き継ぐ日本で唯一の存在。
出雲は古来から日本有数の製鉄の地であったが、明治以降量産に不向きのたたらは高炉による近代製鉄にとってかわられ今や正当なたたら場の地を引き継ぐのは彼女ばかりとなった。
「……日立金属、「そんな風に呼ばせん」
ぎろりとした彼女の三白眼が突き刺さる。
安来訛りをきつく響かせてこちらを睨まれると妙な凄味があって思わず腰が引ける。
「すまん、ただこの雨がいつ止むかと思ってな」
「知らん」
懐に入れていた携帯が鳴ると八幡からの電話だった。
『釜石、今どこです?』
「林道で雨宿り中じゃが……」
『わかりました、迎えに行きますからそこにいてくださいね』
「ああ、それなら傘一本多めに持ってきてくれ」
『は?』
「頼むぞ」
電話を切ると安来はやはり先ほど以上に不機嫌になっていた。
「ここでずっと雨宿りしとっても仕方なかろう?」
すると安来は思い切りこっちの脛をけ飛ばされて雨の中を走り出す。
さすがに骨は折れなかったが結構痛い。
「釜石なんで蹲ってるんですか?!」
「脛蹴られた」
「……また安来ですか、あんな手負いの野良猫みたいのに構う必要ないでしょう」
「言うてもなぁ。出雲来るたびに敵意むき出しにされるのもしんどくてな」
「安来のことは佐賀関辺りに丸投げしておけばいいんですよ、ああいう手合いは構わないのが一番です」
「そうかねぇ?」
蹴られた向こう脛を引きずりつつ、雨の林道をゆらりと歩き出す。
まだ雨はやみそうにない。





日立金属安来と釜石さん。
2人の間にあったあれこれについてはいずれ。

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冬が始まるよ

11月の北海道は完全に冬だ。
窓の外にぽつぽつと降る湿った雪を見ながら布団から這いずり出て、ラジオのスイッチをつける。今日の天気予報を聞き流していると今日は一日中この天気だと告げられてため息が漏れる。
「……ほんと、寒いのはやだなあ」
生まれも育てもこの北海道室蘭と言っても寒いのが好きな訳じゃないのだ。
まだ高炉近くの40度を超える暑さの方が耐えられる。
今日の朝食はインスタントのコーンポタージュとロールパンが三つ。質素と言えば質素だが朝は食欲がないのだから仕方ない。
お湯が沸いたころにはラジオは地元のニュースから全国ニュースの時間になり、それを聞き流しながら軽く朝食を済ませる。
使い終わった食器を軽く洗い流して、歯磨きと洗顔を済ませた頃にはちょうどお出かけの時間だ。
愛用のダッフルコートにブーツを履けばいつも通りの仕事の時間。
ラジオは止めたし、戸締りも完璧だ。


「さて、行ってきますか」

今日も寒いけれど、仕事の時間だ。


室蘭の何てことない冬の朝の話。

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オリオンを繋ぐ

子どものころ、釜石さんのところにトヨタさんと2人で行ったことがある。
光害のない三陸の真っ暗い夜の海を三人で散歩したのを今でもよく覚えている。
窓の外は大都市名古屋の光の海。
「ほんと、星空みたいだなあ」
トヨタさんに頼まれて名古屋の家の風通しに来ることは何度かあったけれど、そのたびにこうして窓の外の光の美しさに溜息を吐く。
名古屋の空は墨をぶちまけたように真っ黒で星が見えない。
だけれどこの家から見る名古屋の町の光は、子どもの頃に見た三陸の星々にも似た輝きがある。
指先でうっすらと光を繋いでいく。
あのビルの光が北斗星、あの光が冬の大三角形、流れていく車の光はさしずめ流れ星だろうか。
じっと窓の外の光の海を見つめていると、心の奥の棘が少しだけ抜け落ちる気がした。




フォロワさんからリクエストを頂いて書いた名古屋の話。

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ハロウィンを遊ぶ

千葉君から『京浜さん今日暇なら渋谷行ってみませんか』というメールが来た。
『どうして?』
『ハロウィンで盛り上がる町を見てみたいなって』
『そうね、行ってみましょうか。ハチ公像で待ち合わせで良い?』
『了解です』
携帯をポケットに戻してゆっくりと身体をあげ、外出用のコートを引っぱり出した。

ハロウィンを遊ぶ

小雨の渋谷に集う仮装した人々の群れの中で、いつもと変わらない私服で立っている千葉君は少し目立っていた。
ひらひらっと手を振ると「こんばんわ、」と声がかかる。
今夜だけはワインレッドの瞳が血糊のようにも見えてくる。
「こういうバカ騒ぎ嫌いじゃなくて良かった」
気にしないでという風に顔を振る。
幸い池上や渡田の方もこういうバカ騒ぎは嫌いじゃない方なのだ。もちろん私も。
そういった旨をぽちぽちと携帯に打ち込んで見せると千葉君が「ならよかった」と呟いた。
お祭り騒ぎに紛れて歩いていれば、小さな子供がひらっと手を振るので私も振り返す。
≪7つまでは神のうち≫というけれど今の子も見えてたのかしら、なんて考えてしまう。
「子どものときなら、鹿島や君津呼んでたんだろうけどなあ」
『遠慮なんて要らないんじゃない?』
「そうかもしんないんですけどねえ」
他社である二人の事はあまり知らないけれど、私よりも2人の方がよっぽど年が近いのだし気にしなくてもいい気がするけれど千葉君なりに思うことがあるのかも知れなかった。
『次会った時にトリックオアトリートすればいいんじゃない?』
私がそう告げれみれば「じゃあ京浜さん、





trickOrtreat
(お菓子をくれなきゃいたずらするぞ?)



東日本製鉄所コンビがハロウィンの渋谷を歩くだけ

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