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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

ほたるこい

「名古屋君って、蛍見たことある?」
知多さんがふいにそんなことを聞いてきた。
「……ほたるですか?ないですね」
「やっぱ今どきの子は見たことないのかなあ」
「蛍がどうかしました?」
「うちで毎年蛍の鑑賞会やってるんだけどさ、ほんと毎年結構人来るから蛍なんて割とその辺でみれる気がするのにほんとなんでこんないっぱい来るのかなーって」
テレビで見たような、あの黄色の光が暗闇を飛ぶさまを目前で見たことがあるんだろうか。
それはちょっとだけうらやましい。
「一度見たいですねえ」
「うん、見に行くといいよ。綺麗だし」
「……じゃあ、そうします」




知多と名古屋。

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データベース、はじめました。

ある日の本社会議室。
京浜、千葉、水島、福山が小さな会議室に揃い踏みしていた。
「ただいまー」
コンビニの袋片手に戻ってきたのは水島だ。
燃えるような赤い瞳は千葉との血縁を感じさせ、細身のパンツスーツに夏物の薄青のシャツという組み合わせに若々しい容貌も相まって新社会人のようにも見える。
全員分の冷やし中華と麦茶の紙パックを机の上にドンと置くと、ついでに持ってきてくれたらしい紙コップを手渡してくる。
「買い出しありがとう、水島」
紙コップを受け取った福山がにこやかに返事を返す。
ノンフレームのメガネ越しに向けられる視線はどこまでも愛情に満ちている。
「いやいやふくちゃんのお願いならしょうがないよー、千葉に―さんもそう思わない?」
「はいはいリア充リア充」
「羨ましい?」
「別に?」
京浜が千葉を宥めるように麦茶を注いで差し出すと「どうも」と麦茶を受け取ってくれる。
福山と水島は元から幼馴染で昔から仕事がらみでの行き来もあったと聞いているけれど、結婚すると言い出したときはちょっと驚いたがなんだかんだでこの二人はうまくやっているようだ。
「にしても、現品データベースちゃんと動いてるのかな」
「気になるなら確認すれば?」
『8年がかりで作ったんだし大丈夫よ、それにいまのところ特に異常の報告はないようだし』
「扇島姉さんが言うならきっとそうよね」
福山が納得させるように水島に言うと「そうなんだろうけどさー」と納得いかないような声をあげる。
「生まれてからずっと手作業でやって来たことが機械化されるようなのって違和感が……」
「そんなこと言ったら京浜が生まれた頃なんてほとんどの事が手動だよ」
「う゛っ……」
『千葉の言うとおりね』
早速冷やし中華に箸を伸ばしてちゅるんと啜ってみる。
新しいものが始まるような、さわやかな味だ。




JFE組集合させてみた。

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協定というほどのものでもない

#企業擬人化夜の真剣創作60分一本勝負に参加した作品


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影踏み

奥出雲の森の静けさの中をあてどなく歩くのが好きだ。
森の沈黙だけが私の心を癒してくれる。
ぱあっと開けた場所に残る、古いたたら場の跡地。
しゃがみ込んで、石畳に触れる。
ひやりとした冷たさの奥に、解けた鉄の朱色が広がってきた。
たたら場は私の魂の郷里であった。
三日三晩かけて木炭を燃やし、砂鉄を溶かし、人々は懸命に汗を流す。
その姿を記憶した石畳が彷徨える私に遠き日の姿を幻視させた。


(私は、たたら場の最後の後継者なのだ)

それが、いつだって私を奮い立たせた。
私の技術を評価したあの人も私をそう呼んだのだ。
森の奥に密かに隠れるたたら場は、鳥のさえずりだけが響いていた。


安来ちゃんの自意識の話。

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許し合えない二人と雨

恨む事は疲れることだが、許す事は存外難しい。
「だーかーらー、あたしはすみとものこんかんとしてだね?100ねんつかえてきたみなんだ、それをおまえらのつごーでむりやり……」
「此花、呑み過ぎじゃぞ」
「なにがのみすぎなもんだい、たかがうぃすきーで」
グラスに新しい氷を入れると琥珀色の液体を注いでいく。
此花は酒に強い。日本酒の一升瓶を一晩で飲み干しても翌朝にはケロッとしてるような驚異的な肝臓の持ち主である。
しかし先ほどからすきっ腹に流し込むように飲むものだからいつもより酔いの周りが早く、しかも水もろくろく飲まないものだからもう出来上がっている。
「此花、もう終いじゃ。もう最後の瓶が空になった」
空っぽの瓶を振ってやれば酒臭い溜息を吐いた。
「……なあ、あんたにはわかるか。なれしたしんだなまえをすてるさびしさが」
「お前さんを見てれば何となく想像はつくな」
八幡がここにいたら言い合いになっていただろうが、今晩は二人ぽっちだ。
東京の、慣れ親しんだ定宿の一室。その窓辺は過去の名残もほとんど見つけられないほど変わり果ててしまった。
変わることは宿命で、その中で変わらずに生きていく孤独の慰めを彼女は住友の名に求めたのだろうか。
存外、此花も寂しいのだろう。
「あたしはすみとものなのもとにいきてしぬつもりだった」
「おう」
「なのにそれを、おまえらがうばった。えいえんにあたしはすみとものなからきりはなされたんだ」
此花は酔いのせいで舌たらずに響く拗ねた子供のような口ぶりをする。
それを宥めるように背筋を撫でながら告げていく。
「でも、お前には弟たちがいるじゃろう。尼崎や和歌山や鹿島が」
「そうきまったんだ、うけいれるほかない。あたしがゆるげばあいつらがこまるだろう」
「ああ。でも心情的に受け入れ難い、そういう事じゃろう?」
「……そう」
「そういうのは時間の経過の中で受け入れていくしかないんじゃないのか?」
「できてるわけ?」
「なにが?」
「じかんけいかによるうけいれ」
此花もえぐいところを突いてくるものだ。
長く生きるなかで、まだうけいれられてないことの一つぐらい、やっぱりあるのだ。
「……出来てるさ」
そう、ほんの少し嘘をついた。




釜石と此花。

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