茨城では8月の終わりになると梨のシーズンがやってくる。
そして季節になればスーパーや直売所に並ぶ地元産の梨を、地元民はもりもり食う事になる。
「で、今年も梨余りと……」
「なんか文句あっか」
下妻・筑西・結城の梨が見事に机の上に並ぶ。
規格外の傷ものではあるが食べる分には問題のない見た目だ。
「いえ、だとしてもこんなに貰ってどうするんですか……」
「しょーがねーだろ?この時期は」
「まあ時期ですしねえ。とりあえずコンポートとシャーベットとパイにでもしますかね」
「……前から思ってたけど、結城のその料理スキルは何の為なんだ」
「小山さんのためですよ」
全く歪み無い回答を返される。
数百年単位で小山だけを想い続けるその姿はそろそろ気持ち悪いとしか言いようがない。
さっさと梨の調理をはじめると見る見るうちにコンポートとシャーベットとタルトが出来上がっていく。
この料理手腕は見事なものだと常々思うが、この料理手腕はすべて小山のためのものであると思うと愛が重い。
「とりあえずこのパイは筑西と下妻に分けておいてください」
「おー、とりあえず残りの梨適当に食っちゃって」
こうして茨城県民の秋は梨と栗に覆われるのであった。
結城と下館の話。そろそろエンドレス梨ライフの時期ですね。
私は林檎より梨が好きですが大量の梨をよく貰う土地組はきっと大変だと思う。