*つくばさんが小さい頃のお話。
一人で本屋に出かけた日のことだ。
(・・・・・傘忘れた)
ざぁざぁと降りしきる突然の夕立に呆然としていた。
この頃には東京の元を離れ、つくば万博に向けて整備される街を一人で見守っていた。
「どうかしましたか?」
ふいに声をかけたのは一人の男の人だった。
後に彼が隣町である下妻市であると知るのだけれど、この時はまだ茨城県の全市町村と会っていなかったので彼のことを知らずにいた。
「傘を忘れてしまって・・・・・」
「確かに急な雨ですからねぇ」
それから一時間二人でぼんやりと雨宿りをしていた。
夕立が止むまでの間、二人きりで話をした。
「この街は好きですか」
「うん」
自分自身であるこの町は好きかと問いかけた彼にそう頷く。
「僕もこの街は好きです、未来の音がするから」
「みらいのおと?」
「新しいものが生み出されていく音って言えばいいのかな、工事の音とか新しいビルとかがすごく刺激的で好きなんだ」
そう笑う彼の横顔は、幼くも生み出すエネルギーに満ち溢れる子供を見つめる母親のようだった。
* *
「・・・・・あれ」
むくりと起き上がると『先に行ってきます、オーブンにオニオンスープがあるので食べてくださいね』という書置きがあった。
ふいに彼は覚えているだろうか、と思う。
万博のときよりも前に自分たちが出会っていたことを。
『雨宿りして距離が縮まった』『つくば下妻』を描きor書きましょう。 #kawaiiCP http://shindanmaker.com/62729