いつのことだったか。
千葉支社から水戸支社に行きたいと思ったことはないのか、と外房さんに聞かれたことがある。
「ないですよ、ぼくは千葉支社好きなんで」
その言葉は半分本当で半分嘘だった。
成田さんは接続を除けば優しいし、千葉支社の人といるとみんな結束力があって(運休的な意味で)嫌いではない。
訳ありのぼくを今も昔も面倒を見てくれている。
だけど、水戸支社に行くよりは北鹿島が・・・・・・双子の兄のいる、鹿島臨海鉄道に組み込まれて暮らしたい。
ぼくらの境である鹿島サッカースタジアム前。
ここもひとつの路線になれば、また少し違うんだろう。
「待たせたな、鹿島」
「北鹿島は」
「席とりしに先に行った、これがお前の分のチケットだって」
サッカーのチケットを右手にスタジアムへと歩き始める。