「嫁入り船、綺麗だねえ」
鹿島がふと足を止めて呟く。
思案橋の上は人であふれ返りそうになっているが、誰もが船の上に座る花嫁に目を凝らしていた。
拍手と「おめでとう」という声がそっちこっちから聞こえている。
ぼんやりと綺麗だなあ、と思う。
「あれ潮来だけど」
「え?」
神栖が呆れたように言葉をこぼす。
「ちょうど今日は花嫁さんがいないんだと、そういう時は潮来が引き受けてるらしい」
「んじゃあ旦那さん役って」
「香取が毎回引き受けてるらしい」
なんとなく、いいなぁと感じている自分に気付く。
(……ん?)
香取が潮来に思いを寄せているのは知っているし、別にそれ自体を疎ましく思った記憶はない。
嫉妬、ではないとしたら。
「潮来は僕とセット、みたいな意識があったのかな」
どっちかと言えば神栖とセットのような気がする。
東国三社だし、工業地帯を共有してるし、陸続きじゃないし。
「潮来は3人でセットだろ」
「だよね」
あれー?と首をかしげつつ、とりあえず作業を続けることにした。
BLっぽくなったけど鹿島潮来はBLではない!と力強く主張しておく。
潮来と香取はくっつく予定はないし、あんまり潮来と香取について書く予定はないです。いまのところ。3人で1つな鹿行端っこ組って感じです。