夏。
この日の結城の家は大忙しでした。
「……熱中症で筑西が倒れるとか洒落になりませんよ」
「ソウデスネ」
「だいたい子供が倒れるまで遊ぶとか馬鹿ですか?笠間もなんでうちに連れてくるんだか」
「いや、なんか反射的に」
「反射で人を巻き込まないでください、はいかき氷」
かき氷を手渡してから軽く筑西の口に含ませる。
身体全体橋やしているとはいえど、梅雨明けの途端に連日猛暑という状況だ。
熱のこもりやすい子どもは体の中も冷やしておいたほうが良い。
「……しもだて」
「ちくせい起きた!?」
キャッキャと筑西の復活を喜び合う子どもたちを横目にかき氷を一口。
無色透明のシロップのかかったシンプルなかき氷の自然が甘さが美味しい。
「結城、」
「はい?」
「いい加減かき氷すい以外のも作ったほうが良いんじゃねーの?」
「下館、かき氷はすいが一番じゃないですか。余計な味や香料なんていりません。ねえ?」
「別に俺はどっちでもいいがな」
「100歩譲って抹茶の粉末だとか檸檬水を凍らせたかき氷は認めますけど手間を考えたら作りたくないです」
「なんでだよ!」
そんな、ちょっと蒸し暑い7月の午後のこと。