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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

ほたるこい

「名古屋君って、蛍見たことある?」
知多さんがふいにそんなことを聞いてきた。
「……ほたるですか?ないですね」
「やっぱ今どきの子は見たことないのかなあ」
「蛍がどうかしました?」
「うちで毎年蛍の鑑賞会やってるんだけどさ、ほんと毎年結構人来るから蛍なんて割とその辺でみれる気がするのにほんとなんでこんないっぱい来るのかなーって」
テレビで見たような、あの黄色の光が暗闇を飛ぶさまを目前で見たことがあるんだろうか。
それはちょっとだけうらやましい。
「一度見たいですねえ」
「うん、見に行くといいよ。綺麗だし」
「……じゃあ、そうします」




知多と名古屋。

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ジューンブライドの海で

「そう言えばさ、明日大安吉日なんだね」
晩酌のさなかに和歌山が突然思い出したようにそんなことを言う。
出会った頃からこのマイペースさはさっぱり変わる気配がなく、むしろ悪化している気がする。
まあどこぞの官営様方や神戸のお嬢様やらに振り回されていればそれぐらい肝が太くないとやっていられないという事なのかもしれないが、一緒に暮らす身としては正直めんどくさい。
「そうなのか」
「うん、ほら」
携帯のカレンダーアプリをこっちに見せてくると、確かに大安吉日の文字がくっきりと描かれている。
なるほど土曜日の大安吉日ともなればきっと明日はどこの式場も混んでるだろうとぼんやり考える。
「で、思ったんだけどさ」
和歌山が酷く楽しそうな顔をして切り出してくる。恐ろしく嫌な予感しかしてこないのを飲み込んでとりあえずワンカップの酒を飲みこんだ。

「結婚式、やろう」

「……はい?」
真剣に意味が分からない。
「結婚式って何だよ」
「あれだよ、こう、タキシードとかドレスとか着てみんなの前で誓うの」
「いやそれは分かるけどよ」
「記念写真でいいから!やろう!」
「衣装とかどうすんだよ」
「此花のとこ行けばそれっぽい袴とかあるし!写真撮るだけだから!」
「いやいやいや今からあの人んところ行くのかよ」
「ちょうどお酒も切れたし!行こう!」

大阪市内にある此花の家は慎ましやかな古い独身寮である。
此花と西宮(いちおう競合他社なのにこの二人は妙に仲が良い)は突然の来訪者に呆れ半分の視線を向けてきた。
「……という訳で、袴貸して!」
「急だな!」
そうは言いながらもちょっと待ってろと言いながらタンスを漁り始めた此花はつくづく俺たちに甘い。
2人で夕飯を食べていたという西宮もあの赤い瞳を細めて困ったように歪ませるばかりで、なんだか申し訳ない気分だ。
「結婚写真撮るなんて粋なことするんだね」
西宮が俺にそう告げる。
「突然すぎて困るのはこっちですけどね」
「でも、お互い元気だからできることだよ」
「ま、そうですけどね。元気過ぎるのも困ったもんですよ」
苦笑いをこぼしながら雑談なんかしていると、此花がふらっと戻ってきた。
「とりあえず袴と燕尾服あったぞ、サイズだけ確認しといてくれ」
「どうも」
​​​​​​​「海南は気にすんな、後で写真頼むわ」
「分かりました」

****

翌日。
梅雨時の晴れ間に恵まれたにもかかわらず市内の砂浜は人が少ない。
「……写真撮るって、誰がシャッター切るんだよ」
「考えてなかった!まあでも何とかなるでしょ」
やはりこの男はマイペースである。
三脚片手にあれやこれやと調整を始めた和歌山に対して不思議と苦情は湧かなかった。
こんな奴とずっと一緒にいたおかげで苦労も多かったけれど退屈もしなかった。
決していい関係の始まり方でもなかったけれど、これからもきっとこいつがいれば楽しく生きていけるだろう。
ばたばたばたとこちらに戻って来た和歌山が、俺にブーケを渡してくる。
「これからも、ずっとよろしくね」
「……おう」
そうして、シャッターの切られる音がした。






和歌山海南のジューンブライド。

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データベース、はじめました。

ある日の本社会議室。
京浜、千葉、水島、福山が小さな会議室に揃い踏みしていた。
「ただいまー」
コンビニの袋片手に戻ってきたのは水島だ。
燃えるような赤い瞳は千葉との血縁を感じさせ、細身のパンツスーツに夏物の薄青のシャツという組み合わせに若々しい容貌も相まって新社会人のようにも見える。
全員分の冷やし中華と麦茶の紙パックを机の上にドンと置くと、ついでに持ってきてくれたらしい紙コップを手渡してくる。
「買い出しありがとう、水島」
紙コップを受け取った福山がにこやかに返事を返す。
ノンフレームのメガネ越しに向けられる視線はどこまでも愛情に満ちている。
「いやいやふくちゃんのお願いならしょうがないよー、千葉に―さんもそう思わない?」
「はいはいリア充リア充」
「羨ましい?」
「別に?」
京浜が千葉を宥めるように麦茶を注いで差し出すと「どうも」と麦茶を受け取ってくれる。
福山と水島は元から幼馴染で昔から仕事がらみでの行き来もあったと聞いているけれど、結婚すると言い出したときはちょっと驚いたがなんだかんだでこの二人はうまくやっているようだ。
「にしても、現品データベースちゃんと動いてるのかな」
「気になるなら確認すれば?」
『8年がかりで作ったんだし大丈夫よ、それにいまのところ特に異常の報告はないようだし』
「扇島姉さんが言うならきっとそうよね」
福山が納得させるように水島に言うと「そうなんだろうけどさー」と納得いかないような声をあげる。
「生まれてからずっと手作業でやって来たことが機械化されるようなのって違和感が……」
「そんなこと言ったら京浜が生まれた頃なんてほとんどの事が手動だよ」
「う゛っ……」
『千葉の言うとおりね』
早速冷やし中華に箸を伸ばしてちゅるんと啜ってみる。
新しいものが始まるような、さわやかな味だ。




JFE組集合させてみた。

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本日の焼き鯖

ごんごんごん、と乱雑に玄関の扉を叩く音がした。
「敦賀ぁお前おんのやろー、出て来いやー」
昼寝を妨害するようなその煩さにのそのそと布団から這いずり出て、玄関の扉を開くとそのには予想していた通りの小奇麗な顔と焼き鯖の匂い。
「小浜のにーさん、うるさい」
「第一声それかいな」
「言うときますけど押し売りされても買いませんからね?」
「押し売りはしとらんって、お裾分け」
にこやかに焼き鯖の入った袋を押し付けてくる。
黙っていれば色男なのに喋ると関西ラテンでうるさい嶺南の中心都市はマイペースに人んちにやって来ては焼き鯖やへしこを押し付けてくる。
鯖を分けてくれるのは嬉しいが、今は正直ゆっくり昼寝させてほしかった。
「で、用件はこれだけ?」
「?せやけどなんか用事あったん?」
「いや……焼き鯖は美味しく頂きます」
「ならよかった」
ほななーと言ってまたフラリと去って行く。
相変わらずよく分からないな、と思うけれど焼き鯖に罪はない。今夜は焼き鯖と日本酒で一杯行くか。





小浜と敦賀。

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水郷の6月

観光客でにぎわう街を手漕ぎの木造船はとことこ進んでいく。
「潮来って船漕ぎ出来るんだねえ」
鹿島が意外そうな顔で日本酒をあおっている。
木造船の上には小さなちゃぶ台と重箱のお弁当、そして親しい仲間たち。
「この町の船は車や自転車と同じですからね」
「水辺の街ならではって感じだよねえ」
「確かにそんな気がするです!」
神栖と行方が弁当を食べていた手を止めてそう呟いた。
岸辺を歩く猫や行きかう観光客を眺めるのは楽しいものだ。
「ああ、もうすぐですよ」
「なにが?」
細い水路を抜けて、さあっと目の前に広い水辺が広がって来る。
川をつたって届く風が心地よい。
「利根川です」
坂東太郎の異名をとる関東一の大河の波は穏やかで、初夏の日差しを十分に浴びてキラキラと輝いている。
「ってことはあの向こう岸が千葉だね」
「向こう岸まで行ってもいいですけど、手漕ぎだと少ししんどいんで戻りますよ」
「潮来、交代する?」
「神栖と私だけなら交代してもいいんですけどね」
船を方向転換させながらゆっくりと船は進んでいく。
初夏の日差しと風が、心地よかった。





鹿行組。あやめ祭りが開幕しましたね。

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