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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

光ちゃんが見た夢の話

時々、赤く燃える空の夢を見る。
戦闘機の飛び交う空と、赤い炎に包まれた町。
恐怖とそれでも戦わねばならないという使命感のはざまで、ボロボロの身体になりながら逃げ惑う夢だ。
にいさん、にいさん、と誰かを呼びながら赤く燃える町を逃げ惑う。
何処に兄さんがいるのか。どこに逃げて、どうしたらいいのか。分からない事だらけで私は必死に町を彷徨っている。



「……ゆめ」

目が覚めて自分に言い聞かせるようにそう呟く。
火傷したみたいに熱くなった身体を冷ましたくて、風呂場でパジャマごとシャワーを浴びる。
真冬の凍てつきそうなほどに冷たい水が妙にここちよくて全身でその水をかぶり続ける。
(あれは、何の夢なのだろう)
業火の夢を見るたびにふとそんなことを思うけれど、一度も答えが出たことは無かった。
蛇口を止めてびしょ濡れになったパジャマを脱ぐ。
私の身体はいつも通り、火傷のない綺麗な手足のままだった。



光ちゃんのある朝の話。

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こーす50ってなあに?

自分用セルフまとめ落書きです
参考:コース50公式サイト


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神様は信じてない


『浜松駅前にいるから迎え来て』
12月31日の夕方に前触れもなく届いたラインに「はぁ?」と思わず声を漏らす。
『なんで』
『イタリア土産あるから』
『20分後に駅前南口ロータリーな』
先によぎったのはめんどくさいという一言だったが、まあこれもあいつなりの甘えなのだろうと思うことにした。イタリア土産が気になったのもあるが。
財布と携帯だけ持って愛車の茶色いピクシスエポックに乗り込んで10分弱で駅前に着く。
ロータリーの前で嫌にでかいスーツケースと一緒にコーヒーを飲んでいたのを見つけて車を止める。
『いま着いた、茶色のピクシスエポックな』
そのすぐにコンコンと窓ガラスをたたく。
「荷物は後ろな」
「ん、というかなんで俺の兄弟なのにピクシスなんだよNボックスにしろよ」
「豊田傘下の企業がホンダ車乗ってたらおかしいだろ」
「まーそうだけどさ」
ぶうぶういいながらもスーツケースを後部座席に突っ込んできて、助手席に乗り込んでいく。
「天竜の家行くのか?」
「それよりまず飯食いたい」
「肉食いたいからさわやかでいいか?」
「俺和食がいい」
「……ファミレスでいいな」
段々考えるのがめんどくさくなって結局そういう結論に至る。
特に反論もないのでそのまま車を発進させて秋葉街道をまっすぐに走り、食事と買い物を済ませ(特に何もなかったので割愛する)て天竜の家に着く。
こたつと暖房をつけて座り込んだ俺にぽんと箱が差し出される。
「イタリア土産?」
「クレーマ・ディ・リモンチェッロって酒とチーズのセット、どうせ大晦日だし昼酒しても問題ないでしょ」
「まあそれもそうか」
箱に詰められた大きめの瓶とチーズの食べ比べセットを引っぱり出し、台所にあった貰い物のワイングラスセットを引っぱり出す。
淡い黄色の酒をひとくち含むと、レモンの酸味と優しい牛乳の味がする。
「……飲むレモンケーキって味がする」
「まあそれは分かっかも」
レモンの酸味がさらりと胃に落ちていくのが心地よく、またチーズとも相性がよくてなかなかうまい。
「なぁ、」
「うん?」
すっと奴の手が俺の頬に伸び、軽く口づけがされる。
俺の飲んでいた酒のレモン味と昼食の後にホンダが食べてたチョコの味が口の中に混ざりあう。
「姫納め、しとくか」
「……おう」
するりと滑り込んだ手が心地よさと、ホンダの愛欲に染まる赤い瞳の熱に、解かされると思った。





ホンダ「で、散々ヤッて目が覚めたら1月1日だったんでじゃあもうこのままヤり倒すかってなって初詣行こうぜメールの返信が遅れて俺ら初詣不参加だった訳」
トヨタ「ホンダお前うちの系列に何してくれてんの?」
スズキ「俺帰っていい?」
ヤマハ「今すぐ帰りてぇ」



また書いたホンダと東海。実はこれ2017年最初に書いたやつなんだぜ信じられるか?

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山寺の朝食

まだ日も明けきらない午前五時、すうっと冷たい空気を軽く吸い込んだ。
布団を畳んで寝床を出ればちらちらと外には雪が降っている。
隣の部屋の戸を叩いてみれば小さく「はい」と声がした。
「福井、そろそろ起きて修行の時間じゃぞ」
「……分かりました」
仕事始めに向けて修行に来た福井を起こし(本当は自分で起きるべきなのだがしかたない)本堂で朝の禅を組む。
隣に来た福井とともにしばし禅を組み、30分ほどで一度区切りをつけて台所へと移動する。
大きい寺であれば典座寮(てんぞりょう)や大庫院(だいくいん)と呼ばれる立派な台所があるのだが、ここは一人で管理している小さい寺なので普通の一軒家の台所とそう変わりない大きさのものだ。
まずは土鍋に水と白米を入れて玄米粥を作る。
その間に半分くらいに切ったほうれん草と一口大に切ったカリフラワーを湯がいて柔らかくしておき、ほうれん草をすり鉢で潰したものとほんの少量の塩と粥に混ぜると鮮やかな緑の粥が出来る。
そしてその上に湯がいたカリフラワーと貰い物の缶詰めのコーンを散らしておけば鮮やかな野菜が湯が出来上がる。
調理道具をすすいで戻してから、おぼんに漬物のかぶと食後のデザートの蜜柑と一緒に並べて本堂に持って行く。
「福井、」
「準備は出来てます」
小さな机を出して食事の支度のされたその様子はよく出来たものだ。
対面するように座り、すっと手を合わせる。


「「多くのいのちと、みなさまのおかげにより、このごちそうをめぐまれました。深くご恩を喜び、ありがたくいただきます」」

そうしてゆっくり匙で粥をすくうと、野菜の優しい甘さの粥が温かく体に落ちて行った。


永平寺町と福井のお話。
多くの命と~という挨拶は曹洞宗ではなく浄土真宗のものらしいですが気にしたら負けです。

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呉さんが朝食を作るだけ

(……何もない)
正月明けの空っぽの冷蔵庫に思わずため息を吐く。
あったのは餅と少しばかりの調味料と小袋と酒のみだ。
しかし何か食べないといけない気がして、とりあえず餅と麺つゆと乾燥葱の小袋を取り出した。
まずは小鍋でお湯を沸かして餅を茹でる。
その間にお椀に少量の麺つゆを入れて、あとは湯がいた餅を入れて乾燥葱を散らす。
「いただきます」
餅を麺つゆに絡めて、もぐもぐと胃に落とし込んでいく。
麵つゆのだしと塩気で餅が程よく味付けられて簡素な割には美味い。
そう言えば今日は何かあっただろうか、とぼんやり考えていると携帯が鳴る。
「もしもし、」
『おはようございます、いま大丈夫ですか?』
「……別に構いませんよ」
電話越しに聞く彼の声はほんとうに笑いたくなるぐらいそっくりだ。
ハンズフリーに切り替えて彼の話を聞きながら、そんなことを想う。




呉さんとつゆ餅。
電話相手についてはいずれかきます。

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