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コーギーとお昼寝

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疑似姉弟

「ねーちゃん、」
呟くようにそう呼んでみると「なあに?」と問いかけられる。
ふんわりとした桜色のワンピースの家にきなり色のエプロンを纏った光は、知らない人が見たら初々しい若妻のようにも見える。
「……いや、呼びたかっただけ」
堺は時折光を『ねーちゃん』と呼んでいた。
普段は『光』と名前で呼んでいたけれど、私的な時間に二人きりの時だけは甘えるようにそう呼んだ。
客観的には堺よりも年下にしか見えない光ではあったが、実際は光の方が先に生を受けているのでそう呼ばれることは2人の間に限っては決して違和感のない事だった。
「堺くん、準備できたから運んで」
「はぁい」
台所にはご飯の炊けた匂いとみそ汁の匂い。
誰もが想像するあまりにも普通の家庭の匂いは、普段の堺の暮らしからするとどこか異質なものではあったけれど決して嫌なものではなかった。
ご飯とみそ汁、菜の花のおひたし、お漬物、サバの味噌煮。
光の作る素朴なメニューが大皿に乗せられてワンプレートランチのような姿で出される。
「前に私があげた食器類どっかやっちゃったんだね」
「あー……あんまり使わんから人にあげちゃった」
「私がいないとすーぐご飯抜くよね、堺くんにも佐賀関さんみたいに世話焼いてくれる人がいたらなぁ」
光が呆れ気味にため息をこぼす。
その心配から来る呆れすらも、ほんの少しくすぐったくて心地よかった。





堺と光の話。

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