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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

奥越二人ぼっち

拝啓、親愛なる金森長親様。
今年は初雪が早かったせいかここ・越前大野も日々大雪に見舞われています。
そのせいか、今年は頻繁に勝山が雪に埋もれて遊んでいます。
「……雪捨て場で遊ばないでってもう何度も行ってるよね俺」
「でもおのくん毎回拾ってくれるしいいかなって」
「せめて自分ちの雪捨て場にしてくんないかな」
「この間初雪の時にうちの雪捨て場でやったら3日間生き埋めになっちゃった上に携帯が雪解け水で水没しちゃったから俺市内でひとり雪遊び禁止令出てるんだよね」
長親さま、こいつは正真正銘の阿呆なんじゃないかといつも思います。
俺たちは地名と共にある身ですからそう簡単には死なないとはいえ、生き埋めになったのに懲りずに雪捨て場で遊んでるのは馬鹿だと思います。
「ねぇおのくん」
「なに?」
「おなか空いた」
「……昨日のおでんの残りで良いなら」
「やった、おでん食べたい」
ですが結局妙に甘やかしてしまうのは、いま奥越には俺と同じ身のものは俺と勝山だけだからなのでしょうか?




越前大野と勝山の話。奥越二市は特別豪雪地帯に指定されています。
あと良い子は雪捨て場で遊んではいけません。

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お酒擬人化

お遊びで考えた奴


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真昼の月に溶ける

あわらと三国が一緒に並んでいるとき、嫌だなと思うことがある。
「会議まだ終わらないからって機嫌悪そうな顔しないで」
「……してない」
皮のむかれた蜜柑を半分こちらに差し出した春江が宥めるように言う。
ひと房口に放り込めば甘酸っぱい冬の味がする。
「2人はもともと一緒になるはずだったんだもの、仲がいいのは仕方ないよ」
時折春江はこうして俺にフォローを入れることがあった。
別に俺が好きでもないはずなのに、こうしてフォローされるのは妙な気持ちにさせられる。
「お前は俺が好きなんか嫌いなんか分からんな」
「好きと嫌いが10づつでプラマイゼロ」
そう言い切れるということは平成の大合併の折のあれやこれやも本人なりにもう消化された事なのだろう。
春江がそう言うのならたぶんそうなのだ。
あからさまに手なんか繋いで三国とあわらがコンビニに出かけていく。
「ほんと、いい夫婦だねえ」
「別に」
もうひと房口に放り込むと、さっきより酸っぱい気がした。






坂井と春江と三国あわら。丸岡さん空気でごめんな。

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12月とどぶ汁

良いあんこうとめひかりが手に入ったから食べに来ない?という連絡が来た。
いわきさんいわきさんと煩い事に定評のある北茨城からそんな連絡がするのは珍しく、風邪でも引いたのかと聞いたら怒られた。
特に断る理由もないので高萩と共に北茨城のもとを訪れる。
「でもなんでこの面子?」
「いわきさんは県絡みの仕事で福島市内にいるからそれ以外で呼びやすい面子呼んだだけ」
即答である。
適当な理由ではあるが気にしないことにした。
ホットプレートには潰したあん肝と味噌が炒められたもの、そこに捌いた柳肉(あんこう)と高萩の持ち込んだ野菜やキノコが一緒に入れられて煮込まれる。
「めひかり焼きあがりましたよ」
「……ここ高萩の家じゃないよね?」
「面倒見に来る頻度が多いんで慣れました」
まるで自分ちのような調子で焼きあがっためひかりの干物を出してくるので聞いて見ればこれだ。
高萩がいかにこの隣人に振り回されているのかがよく分かる発言である。つくつく隣でなくて良かったと思う。
ぬるめの燗と一緒に差し出されためひかりを齧ってみればしみじみと美味い。
めひかりと言うといわきの方が有名だがこの辺りでもめひかりは取れるのだ。
「日立きょう車じゃないの?」
「面倒だから泊まる」
「えっ」
「ついでに僕も泊まりますね」
「いやいやいや」
いつも散々振り回されているのだ、たまにはこれぐらいいいだろう。
「ああそうだ、今夜のアド街北茨城でしたよね?」
「そうだったテレビ!」
ばたばたとテレビの電源をつければちょうどいい時刻だ。
番組開始を知らせるオープニングが響くと、いい具合に鍋の煮える匂いがした。






今更のアド街北茨城ネタ。

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真夜中の焼き鳥とビール

金曜日の夜だから、という理由でちょっとお高いビールとやきとりを買って遊びに来た兄に思わず驚きの声が漏れる。
「……にっちゃん、いま何時か分かってる?」
現在の時刻は午前2時。立派な真夜中だ。
ほろ酔い気分なのだろう、英国紳士然とした銀の瞳を甘く蕩けさせて「なんじだっけ」と笑ってくる。
「お迎え呼ぼうか?」
「やだ、ひさしぶりにきょうだいみずいらずでさけのみたい」
「酔ってんじゃん」
「そう?」
「十分酔ってるよ」
ああでもこの調子じゃあ帰らなさそうだなあと諦めて家にあげることにした。
ふわりと甘辛い焼き鳥の匂いがして思わず食欲がかき立てられて、ぐうっとお腹の虫がなる。
「びーるよりやきとりのほうがいいか?」
「食べる」
やきとりの入った箱を開けて、玉ねぎと肉の刺さったやきとりを一串づつとる。
ちょうど6串入っているから夜食にはちょうどいい量だ。
「おとうとのぜんとようようとしたみらいをねがって、Cheers!」
酔ってても発音はきれいなクイーンズイングリッシュだ。
とんと軽くやきとりを重ね合わせてから、ぱくりと口にほうばる。
室蘭やきとりらしく豚の油と玉ねぎ、それとたれの甘みが口に広がり練りからしがピリッと味を引き締めてくれる。
ここ室蘭のやきとりはやきとりという名前に反して豚肉と玉ねぎが標準で(八幡に言わせれば詐欺らしい)個人的にこの味が一番なじみ深い。
「わにし」
「なに、にっちゃん」
「むこうでいじめられたらおれにいえよ、やはたにガツンといってやるから」
「今更いじめる訳ないでしょ?」
「のちのしゅしょーもおいはらったこのおれがガツンといえば!」
「大丈夫だから、ね?」
「……わかった」



そうして、兄と弟の夜は更けていく。


室蘭兄弟の話。

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