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コーギーとお昼寝

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製鉄所関係の用語の基礎知識

メモも兼ねた基礎知識まとめです。
中身は大変雑です。
これを読むとえふいーが読みやすくなります。たぶん。
思い出したら随時更新予定。
最終更新:16/07/20


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白酒にひなあられ

雛飾りをそっと出窓に飾り、傍らに桃の花を飾れば春の心地がした。
「うん、かわいい」
満足な気分でグッと背伸びをしてから、くるりと部屋を見渡す。
私の住む小さな一軒家は初春の日差しにあふれて暖房要らずの温かさだ。
水戸や大洗と言った賑やかな面々のいない静けさに満ちたこの小さな家での暮らしを私は案外気に入っているけれど、今頃水戸君はどこかで騒いでるのかなあと言う気もした。
携帯電話の呼び出し音はない。
今日は静かに一人でお雛様を眺めながら過ごすのかな、と思う。
「まだ明るいけどお休みだし、いいよね?」
昨日買った白酒の瓶のふたを開けて、青いガラスのお猪口と小さなグラスにそそぐ。
お猪口にそそいだ分はお雛様にお供えしてから、私はグラスの方をひとくち。
「美味しい……」
ひなあられを少しつまむとふわりと口の中で溶けていく。




(なんだか今日はぜいたくな気分)

ひとひらの桃の花びらを白酒に落として飲めば春が全身に染み渡った。


茨城町ちゃんの贅沢なひな祭りのお話。

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今日もチョコは届かないまま

毎年、八幡からバレンタインにチョコが届く。
聞いた話だと全員に贈っているらしいのでたぶんそこまで意味はないのだろうと思う。
届いた生チョコをブラックコーヒーと一緒に片付けながら、溜息を吐いた。
「……今年も贈り損ねたな」
毎年、八幡にチョコを贈ろうと思うと思うのだがどうも毎年贈り損ねる。
激戦のチョコ売り場に行くのは嫌だし、ネットで買うにも何を買えばいいのかと迷いすぎて結局いつも贈らずにバレンタインが終わるのだ。
残りは後で食べようと生チョコのふたを閉めて考え直す。
せめてお礼のショートメールでも送ろう、と携帯を開く。
『チョコ届いたけどすごい美味かった。ありがとう』
簡単なメッセージを投げれば、返事はすぐ届く。
『君津の方も届きましたか。』
『御礼届いてない奴いるのか?』
『鹿島と直江津と釜石がまだ届いてないんですよ』
『たぶんだけど鹿島はこっちから聞かないと返事出さないかも。』
『何なんですかねあの子、返事ぐらい自発的に出してくれればいいのに』
『鹿島は広畑とは違う意味でマイペースだから。俺の方で言っとく』
一度画面を切り替えて鹿島に電話をする。
あいつはメールだと無視することがよくあるからしょうがない。
「もしもし?」
「鹿島、八幡からのチョコ届いたか?」
「……あそっか、今日バレンタインか。俺今外出中だからまだ受け取ってないよ」
「受け取ったら返事送っとけよ」
「はいはい、じゃあね」
電話をぶっちぎってきた鹿島はある意味いつも通りだ。
メールの返信はまだ来ていない。
まだ残っていたコーヒーを飲見ながら返信を待つ。
『いま釜石から御礼届きました、鹿島は何か言ってました?』
『まだ受け取ってないって』
即座に返事を送ってもたぶん返事はないだろう。
釜石と嬉しそうにメールをするその姿がはっきりと想像できるのが無性に悲しくなって、甘ったるい生チョコを一口放り込んだ。






バレンタインの八幡君津

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矢印と片思い

長い休みを貰ったんですよ、とその人は笑いながら言った。
電話越しに聞くその声に私の胸が大きく弾む。
『その休みを使って、そっちへ行ってもいいですか?』
「……是非!」
電話越しにそう告げると「じゃあ、計画が固まったらまた電話しますね」と告げて電話が切れる。
カレンダアで赤い丸を付けてから下に結城さん来福と書き記す。

矢印と片思い

福井駅の改札口に立ちながら、結城紬の彼の姿を探す。
「久しぶりです、」
「いえ、こちらこそ」
仕立ての良い紺の結城紬の上に黒の外套、皮手袋と帽子のその姿は銀幕のスタアのようだ。
矢羽柄の秩父銘仙の上に長羽織という和装にしておいたのは正解だったようだ。
「椿のブローチですか」
「はい、熊本さんから頂きました」
「……ああ、姉妹都市協定結んでいたんでしたっけ。」
肥後椿のブロウチを見て「奇麗ですね」と呟く。
服装を褒めてもらえたことは嬉しい、わざわざ永平寺町に相談した甲斐があった。
「ああそれと、お土産です」
手渡されたのは朱色のスカアフだ。私のために選んでくれたのだろう。
「いま、巻いてもかまいませんか?」
「私は構いませんよ」
袋からスカアフを取り出して首に巻くと、植物の香りがした。
一緒に入っていた紙によると植物染めの絹のスカアフだというのでこの植物の匂いは染料の匂いなのだろう。
「似合いますね」
嬉しそうに笑うその顔は一等美しい。

****

この街の冬は雪か曇りが常で、今日も空は灰色だ。
見慣れぬ裏日本の冬を興味深げに眺めながら自家用車で北ノ庄城郭跡を目指す。
「福井には何度か来てますけどやはり関東とは違いますね」
「確かにそうですね」
「手土産に雪なんか持ち帰っても面白そうですね、きっと筑西が大喜びしますよ」
「素敵だと思います、ついでに越前ガニも送りますよ」
「おや、大盤振る舞いですね。カニを買っていく約束は既にしてあるのであとで市場に案内してくれますか?」
「はい」
赤信号で車が止まる。
助手席に座る彼に何を聞こう?何を話そう?と思案するが、話したいことも聞きたいこともたくさんあるのに口も頭もうまく動かせずに空転していく。
まじまじと見ていると驚くほど美しい人だ、と思う。
すっとした目鼻立ちの美しさ、黒曜の瞳の金属にも似た輝き、東国武士の武骨ながら美しいたたずまい。その視線はまっすぐに福井の街並みに向けられている。
「信号変わりますよ」
「ああ、すいません」
意識を車の運転に移す。
青信号が爛々と輝いて車を再発進させた。
「……福井は、美しい街ですね」
「はい」
「いつか、小山さんを連れてきて良いですか?」
自らの想い人の名を告げる声は微かに熱を帯びている。
結城さんの特別になりたいと願いながらもそれは出来ないことだと、ただその一言の声色で思い知らされる。
そう告げる彼に私はただ「はい」と呟くのみだった。






結城さんと福井ちゃん。叶わぬ恋に身を焦がすさまは可愛いと思っています。

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この木なんの木元気の木

『とてもつらい』という兄上からのメールを受け、兄の自宅を訪ねると机に突っ伏したままよどんでいた。
「……何してるんですか」
「ひたちなか、日立製作所の名称が消えるかも知れない」
「はい?」
指さしたのはある新聞記事だ。
東芝とシャープの文字に続き日立の文字が続く。
「いま、東芝とシャープが経営立て直ししてるだろ」
「なんか白物家電事業の統合をするって話でしたよね?」
「そこに日製を加えるって」
「いやでも統合するのは白物家電事業ですよ?法人向けやエレベーター事業は温存できるはずですし、日立の研究所や病院(※)が無くなるわけではないですし」
「まあね。ただ、日製の白物家電が無くなると知名度が落ちるし地域経済にも打撃が大きくて……」
その時の日立の目は死んでいたのは言うまでもない。




※日立総合病院やひたちなか総合病院のこと。元々日立製作所の企業立病院としてのスタートなので何かとつながりがある。

今回の話のソース:http://this.kiji.is/62952046391902213?c=39550187727945729&s=t
日立の白物家電事業の統合、どうなるんですかね。

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