久しぶりに響くバットの音。
「日製」
「うん?」
「・・・・・・大阪市、来るかな」
「あいつが来たためしは一度もないだろう」
かれこれ数十年ぶりに日立にバットの音が響く。
***
大正末期。
市内にある二つの社会人野球チームの非公式試合が始まった。
同じ鮎川財閥の流れを汲む日製と日鉱の二つの野球チーム。
湧き上がる熱気を今も思い出す。
しかし、1972年。
「廃部?」
「ああ、来年から野球部を廃止するらしい」
日鉱の野球部が廃止となり、歴史に幕が下りた。
それから40年。
「・・・・・・楽しみか」
「そりゃあ」
40年ぶりの快音を心待ちにしている。