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コーギーとお昼寝

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高校野球と梨のサングリア

イチマルさん(@10_plus10 )宅の茨木市さんをお借りしています。
茨木市さんと茨城町ちゃんが付き合ってる話。




しーさんのおうちに泊まりに行くことになった。
ちょうど休みが開いたのでしーさんのところに行くという連絡をしたところ、ちょうど高校野球シーズンで宿が取りにくいでしょうしうちの客間を使ってくださいと言うお誘いを返されてちょうど宿をどうしようか考えていたので承諾してしまい、後になってからこれはいわゆるおうちデートと言うものなのでは?という事実にぶち当たったのは泊まりに行く前日の夜のことだった。
そして急いで仕込んだ手土産を片手に、現在しーさんの家の最寄り駅の改札に立っている。
「まちさん、お待たせしました」
「大丈夫です」
「急に豊中から『甲子園行かんか?』って電話来て」
「試合あるんですか?」
「ええ、履正社と……」
途中で言葉を濁したしーさんに思わず首を傾げる。
甲子園は水戸くんや土浦さんの方が詳しいので私は覚えていないのだが、そう言えば今年は常総が出ているのだったか。
ふと出かける前に読んだ今朝の新聞に「本日常総学院対履正社」と書いてあったことを思い出して、言葉を濁した理由を察した。
「……行きましょうか」
「ですね」

****

気付いてしまうと試合が気になってしまって、しーさんのおうちのリビングのテレビを国営放送に回すと試合は既に2回の裏に入っていた。
スコアは5対0という野球としては結構な点差だ。
「……すごいスコア」
「ですね」
茨城と言う土地として常総びいきの身としては勝って欲しいが、しーさんの手前さすがに言いづらい。
テレビ画面は常総側のアルプススタンドに切り替わり、応援メッセージが読み上げられていく。
「あっ」
「どうかしました?」
「いや、いま隅っこに土浦さんが映り込んでて……」
しかしテレビの画面はアルプススタンドの別の方角を映していて土浦さんは映っていなかった。
そう言えば土浦さんは常総学園が甲子園に出た年は毎年近くに宿を取って長逗留をしていると噂には聞いていたけれど(県南勢は県央勢と絡むことがあまりないのだ)あの噂は本当だったらしい。
「履正社側のアルプスに吹田が映り込んだりしてたんやろか……」
「あるかもしれませんね、映ったら探してみますか?」
「ですね。映ってたら撮影して送ろう……」
ふと思い出して泊りがけの荷物の入ったカバンの方に向かい、バックから瓶をひとつ持ち出す。
それと一緒に行きがけに買ってきた袋も取り出す。
「ちょっとお台所借りていいですか?」
「いいですけど……」

「ちょっと早いですけど、晩酌しながら試合見ましょう?」

数分後、小鉢に盛られたタパスを差し出す。
「行きがけに新大阪の駅ビルで買ってきたものですけど、おつまみです」
「わざわざすいません」
「いえ、あとこっちが本題です」
小さめの梅酒瓶になみなみ注がれているのは牛久君に譲ってもらった白ワインと、地元の果物で作った赤ワインのサングリア。
ちょうど今が走りの梨を多めに、旬の果物を詰め込んである。
「サングリアですか」
「自家製です、ちょうど梨が走りなので梨を多めにしてみました」
「……今なら大概の事が許せる気がする」
ぽつり、とそう呟くとテレビの向こうから履正社のヒットエンドマーチが鳴り響いた。

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