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コーギーとお昼寝

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【パラレル】患った恋の果て(R18)

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短冊に書く無理な祈り

製鉄所の付喪神と言えど製鉄所の外に出ることぐらいはある。
ちょっとした買い物をしに出かけたスーパーには笹の葉と短冊が飾られていて、ああそうか今日は七夕だったかと思い出す。
八幡と一緒に暮らしていた頃はこうして短冊を書くのは楽しみだったはずなのに、気づくとそんな楽しみは遠くに去って行って気付けば七月七日はただの平凡な一日に成り下がってしまった。
黄色の短冊とペンを取ると、思いついた願い事を書きつける。
《好きな人と結ばれますように》
……いや、無理だな。
自分でもわかってはいるが思いついた願い事はそれしかなかった。
八幡にはすでに好きな人がいて、それは俺には到底太刀打ちできるような相手じゃないのだ。
その文字の前に何か別の言葉を書き足せばいい事に気付いて再びペンを走らせる。
《全世界の恋をする人たちが好きな人と結ばれますように》
まあ、これならいいか。
名前も書かずに笹に短冊を吊るしてから、この場合八幡と俺は誰と結ばれるのだろうと思いながら夏の道を歩いて帰った。





あんまり可愛げのない八幡君津。
今年も君津の片思いはかないそうにないっていう話。

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アークロイヤルとアメリカンスピリット

「煙草切らしたんで一本分けてもらえません?」
八幡が俺にそう聞くので一本渡すとマッチで火をつけて微かに甘い煙を纏う。
「……相変わらず君津は甘いの好きですよね」
「別にいいだろ」
アークロイヤルのバニラフレーバーを纏った八幡はまるで南国の植物に似てひどく蠱惑的に輝いていた。




ついったでフォロワさんに「八幡君津下さい」と言われて書いたもの。
今回君津が吸ってるのはアークロイヤルです、アメリカンスピリットは八幡が愛飲してる銘柄。

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花になんて頼るなら

せっかく東京まで来たのだし、と思い立って総武線に飛び乗って君津に来てみた。
「やあ」
「大阪に帰れ」
「一番最初にいう事がそれ言うんは酷いなあ、俺かて東京本社に呼び出された帰りなんやで?」
君津の手元には小さな小包の箱。
ちらりと見えたあて名は北九州となっていてああそういう事かと悟る。
「八幡さんに贈りもん?」
「うるさい」
「八幡さんは釜石さんに薔薇100本送ったって」
「は?!」
「今日東京本社行ったら釜石さんおってなー、愚痴られたわ。ぶっ飛んどるよなーあの人。一緒になるためなら犠牲も喧嘩も厭わん辺り怖いわあ」
それこそ資産価値の低い釜石と一緒になるために国に喧嘩を売り、自分の一部とも言える施設を外し、周囲の(主に君津)反対を押し切って一緒になったのだ。
あの人は昔からそういう人だ。それはきっと君津が一番よく知っているはずだ。
君津の顔がひどくゆがむ。
「なあ、それ俺にくれへん?」
「何が悲しくてあんたに……」
「俺なら八幡さんなんかより大切にすんで?」
「八幡製鉄時代生まれとは思えない発言だな」
別に軽んじている訳じゃない、君津のように妄信的になれないだけだ。そう反論してもきっと届くことは無いだろう。
理由は単純。君津にとって八幡は世界の中心で彼の正義で彼が愛されたいと願う唯一の存在だからだ。
ただ八幡は君津が八幡に向けるのと同じ量の愛を向けてくれない。そこには不平等な感情のやり取りがあるだけだ。
釜石に対して奇行めいた好意を向けるしかできないこの感情の不均衡を理解していない八幡と君津とが結ばれるはずがないのだ。なら諦めて自分に落ちてくればいい。
四日市の名残りが欲しいだけならわざわざ会いに来るはずがないのだ。
「好きやで、君津」
花言葉なんてものに頼らなくたって簡単に愛は伝えられる。




ぴくぶらに投げたお話その3。
全部分かってる

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花言葉にしか頼れない

毎年、母の日のプレゼントという名目で薔薇の花を贈る。
紅色の薔薇を1本とメッセージカードという愛想のない組み合わせは自分なりに考えた末のやり方だった。だけれどこの気持ちが正しく伝わったことなど一度もなく今に至っている。
たぶん方法が悪いのだという自覚はあるが、遠回しにしか伝えようがない。
八幡の唯一はもうずっと釜石だけだ。
自分が生まれる遥か前からそうだったので勝ちたいと願いながらも勝てないことをなんとなく分かっている。
(今年こそ、ちゃんと届きますように)
それでもまた懲りずに薔薇の花を贈るのだ。


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紅色の薔薇の花言葉は「死ぬほど恋い焦がれています」
一本の薔薇は「あなたしかいない」


ぴくぶらに投げたお話その2

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