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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

これからも愛を

今日はは私が休みで福山が午前勤務の日だったので、色々と家事をしておくことにした。
家の掃除を隅々までしてついでにストックの確認、布団を乾かす間に買い物もして、ご飯の準備までやっつけておいた。
「……今日の私は天才では?」
ついついサボりがちな家のことをこなすのは面倒だけど、帰って来たら福山が喜んでくれるかなって思えば結構頑張れる自分もいて愛ってすごいなーなんて思ってしまう私がいた。
「ただいまー」
「おかえり!ご飯食べた?」
気力を使い果たした福山がソファにへたり込む。
普段は福山に面倒を見てもらってばかりの私だが、こういう時ぐらいはちゃんと力になってあげたい気持ちが私の中にもある。
「軽くパン食べたくらいかな、お昼作ってあるの?」
「つけ麺と餃子あるよ、10分くらいあれば出来るけど食べる?」
「食べる」
今日は相当お疲れのようだ。年末も近いし仕方ないのかもしれない。
麺をゆがき、つけ汁の素をお湯で薄める。
餃子はお惣菜のやつだからあっためるだけだ。
(福山ほどしっかり料理出来ないからこういうのばっかりになっちゃうんだよなぁ)
小さい頃西宮に教わりはしたけどいまいち料理が楽しいとは思えなくて、結局普段のご飯は焼くだけ煮るだけの品ばかりだ。
茹で上がった麺は水切りしてザルに乗せ、つけ汁と餃子と一緒に食卓へ。
「出来たよ」と声をかければのそりと福山が体を起こして、食卓について「ありがとね」と答えてくれる。
「……こうやって毎日食べてくれる人がいるなら、作り甲斐もあるんだろうねぇ」
「それはそうじゃない?」
西宮がわりと料理が好きだったのは、葺合という自分と一緒に食べてくれる人がいたからなんだろうと思う。
「福山がいてくれなかったらほんと毎日社食とかで済ませてたかも」
「私の存在が水島の健康に繋がってたって事?」
「そう言うこと」
福山という素敵な伴侶の存在は私のささやかな健康に繋がってる……いや、人間じゃないから何食ってても死なないんだけどね?気持ちの問題ね?
「福山がいてくれてよかったな、って」
私がそんなことを呟くと、福山は「そうね」とこたえてくれる。
「私も水島がいるから生活のハリが出るのかもね」



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水島福山。今日はいいふうふの日なので。

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冬に夏の日を買う

毎年12月1日は出来るだけ予定を開けるようにしている。
大切な人物の誕生日なのだ、戸畑もうちの関係者も分かっているから文句を言わない。
「釜石、今年も誕生日おめでとうございます」
今年も見覚えのある釜石の家に飛び込むと「来たか」と笑った。
「ちょうどいい、夕飯食ったか?」
「東京から直で来たので食べてませんね」
「光からふぐちりをお祝いに貰ったんだがちと多いなと思ってたとこだ、食ってけ」
「じゃあありがたく」
今年も釜石宛てのお祝いの品がいくつも並んでおり、奥の茶の間には冬に備えて出したらしいこたつはなべ物の準備がされている。
まだ下ごしらえの段階なのか、小さな台所にはまだカットされてない野菜がいくつか置いてあるのみだ。
「鍋用セットみたいの買わないんですね」
「シーウェイブスが方々から野菜貰って来ててな、買わんくても出来そうだったからもったいなくて。あとちょっと手伝え」
台所ばさみで春菊を切るよう言われたので、ざくざくとはさみで切り揃えておく。
1人用の台所には少々窮屈だが包丁を手に野菜を切り揃える姿を見るのは新鮮だった。
(……そういえば、私が小さいときには何度か見た気がしますね)
私が生まれて間もない頃は近隣に店などなかったので自炊せざる得なかったこともあり、釜石が台所に立つことが何度かあったのだ。
「春菊の下ごしらえ終わったら吊戸棚のカセットコンロと一緒に茶の間に出しといてくれ」
下ごしらえを終えた春菊とカセットコンロを手に茶の間に行くと、ふぐちりのセットがどんと鎮座している。これが光のプレゼントなのだろう。
開封済みのセットについていた作り方説明書を見ると、専用のだしでふぐを煮て作るらしい。
「だし温めときます?」
「野菜はいつ入れるか書いてあるか?」
「あ、固いやつは出汁と一緒に煮るよう書いてありますね」
「じゃあ白菜の芯と大根・人参入れて火ぃつけとくか」
長ねぎを切っていた釜石が手を休めて土鍋を持ち出してくる。
鍋に出汁と固い野菜を入れて火をつけると「鍋見守っといてくれ」と告げられる。
茶の間のこたつに足を入れて鍋が暖まるのを見守っていると、長ネギや白菜の葉っぱと共に一升瓶を手にした釜石が来た。
「湯呑み酒でいいか?」
「釜石がくれるならなんでも」
「お前いつもそんな感じだよなあ」
鍋の野菜を土鍋の横に置けば、湯呑を渡してきた。
「こんなデカい瓶だとおちょこは使いづらいんでな」
「言ったでしょ、私は釜石なら何でもいいって」
湯呑になみなみと注がれるのは純米酒だろうか、日本酒のいい香りがする。
釜石も手酌で日本酒を注げば「乾杯するか?」と聞いてくるので、小さく湯呑を合わせた。
くいっと煽れば日本酒の香りが広がり、アルコールで体温がほんの少し上がる。
「冷やで悪いな、このサイズは冷蔵庫に入らなくて」
「そんな大きい冷蔵庫買っても玄関通りませんよ」
「この社員寮も立て替えてくれりゃあなあ」
皮肉交じりにそう言われても決裁権が無いのでどうにもならない。
「検討はしときます。ああ、それと」
思い出して持ってきたプレゼントを差し出した。
紙袋の中身は反物だ。
「お前ほんと毎年わしの着るもん用意してくるよなあ」
「いいじゃないですか」
そう言いながら箱を開けると生成り色の反物が二つ釜石の手に渡る。
1つは生成りに細い藍色の縞柄、もう1つは藍色の絣模様の反物である。
布地をじっと見つめて何度も肌触りを確認すると、こっちを見てため息を吐いた。
「……お前、これ、上布だな?」
「ええ。越後上布ですよ」
越後上布は国内最高峰の麻織物であり、世界遺産にも登録された布である。
大麻ではなく苧麻(からむし)を使うので釜石ならその違いに気付いてくれるだろうと思ってた。
これを買うので新車一台分は吹き飛んだが何とかなる。
「えちっ……?!お前、これ……いや、いいや。そんな値段聞くのが怖くなるようなもんを二つも用意して何したいんだ?」
「それで揃いの着物仕立てて、夏にでも関門の花火デートしてもらおうかと」
目的はこれである。
ここまでお膳立てされれば絶対に断れないし、この着物の話をすれば全員納得してくれる。
「お前たまに若い女っこみたいなこと言うよな」
「釜石だからデートしたいんですがね、どうですか?」
「……花火っていうと8月ぐらいか。予定開けてやるから日付分かったら連絡しろよ」
炬燵の下でガッツボーズをしてからすぐさま炬燵で関係各所に連絡を入れる。
戸畑や上の人間には何としても予定を入れさせない。ぜったいである。
「ああ、もう鍋もいい具合だな」
釜石が思い出したように土鍋のふたを開けて追加の野菜やふぐの切り身を鍋に入れてくる。
ああ、おだしのいい匂いだ。
美味しいものと好きな人、そして揃いの服を着てのデートの予定も確保できた。
「今日はいい日ですね」



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祝えないふたりの夜更け

『荷物届きました?』
八幡から狙いすましたようにメッセージが届いた。
荷物を受け取ったのを見てるのか?と聞きたくなる気持ちは置いといて、どうせだしと電話をかける。
「もしもし?」
『その様子だと届いたんですね』
「ああ、ちょうどさっきな」
『今年も鉄の記念日、おめでとうございます』
電話をスピーカーに切り替えてわきに置き、箱を空けながら話をする。
他の奴らからの分もちゃんと届いているが今回は後回しにして八幡からの荷物を開ける。
「……なんかえらいモコモコした洋服だな?」
『ジェ〇ートピケの寝間着と靴下一式です、最近は反物買うのも大変になってきましたしもうそっちは寒いでしょうから』
「確かにこいつはあったかそうだな、ありがたく貰っとく」
肌触りのいいもこもことした寝間着と靴下のセットは寒い日にはいいかもしれない。
ちょうど寝間着も寿命かな?と思っていたし、ありがたく使わせてもらおう。
『後で写真くださいね』
「お前なんか邪な気持ちで選んだのか?」
『気にしなくていいんですよ、ただ私があげたものを使ってくれてるのを見たいだけです』
「そのうちな」
若干引っかかるが考えないことにしよう。
とりあえず電話を切って服のタグを切ろうと改めて見てみると、フードに兎の耳がついていてすべて理解した。

(あいつはこんなじじいのうさ耳のためにこれを買ったのか……)

当然、寝間着はは永久にお蔵入りとなった。


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ただの八幡釜石。
おじじもジェラ〇ケ知ってたら回避できたろうに……(?)

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月夜に逢引き

金曜日の東京のオフィス街はもうすぐ日の入りを迎えようとしていた。
ずっとじっとりしていた東京からようやく地元に戻れる、と考えていた矢先の事である。
「釜石、帰りの新幹線いつですか」
「17時56分発だな」
「もう帰るんですか?!夕飯も食べずに?」
これはめんどくさい奴だな、と何となく察した。
もしかすると事前に店でも予約していたのかもしれない。
「釜石」「うん?」
八幡が財布の中身を確認すると「新幹線を日曜の夜にしてくれませんか、お金は私が出すので」と言い出した。
「日曜日は試合があるんで無理だな」
ちょうど日曜日はシーウェイブスとジュビロ……今はレヴズか、その二人の試合がある。
金曜の夜に戻るつもりだったのは試合を見に行くためだったので日曜夜は絶対に嫌だ、それだと現地観戦が出来なくなる。
「それなら日曜の朝で」
八幡の目があまりにも本気だったのでここが妥協点だろうと察した。
「分かった、確か郵便物あったよな?そのついでに駅で払い戻してくる」

****

土曜日は八幡の行きたいところを回った。
美術館や都内の神社を回り、最近話題だという店に行き、百貨店で戸畑に頼まれたというお菓子を送った。
久し振りの東京は賑やかでみなマスクはつけているが楽しそうに見えた。
「二人でたっぷり一日遊んだの久しぶりですよね」
今日は十五夜で、しかも満月。
せっかくの月夜を楽しむため間接照明だけつけた薄暗い部屋は妙に広々としている。
百貨店で購入した地酒のワンカップとつまみを手に「お前が駄々こねた癖に」と言ってみる。
まあ最近は都内を一人で歩くなど全然していなかったし、何より八幡が楽しそうだったので文句もない。
「いいじゃないですか」
こう薄暗いと八幡の目鼻立ちの良さが際立ち、日本酒の芳醇な香りがその吐息に混ざって届く。
「もうずいぶんデート出来ずにいましたしね」
「デートなのか?」
「惚れた相手と一緒に遊ぶんだからデートですよ、好きでもないひとと二人で出かけたりしないでしょう?」
「まあそれもそうだなあ」
まっすぐな愛が指の先からその声色まで余すことなく滲んでおり、しかもそれがすべてこちらに向けられているのが分かる。
こういう時、本当にこいつは自分が好きだと思い知らされるのだ。


(まあそれを拒む気が無いんだからどうかしてるんだろうがなあ)

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八幡×釜石のいちゃいちゃ。

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丸の内コズミック

東京駅を出てすぐに広がる丸の内。
企業のオフィスが立ち並ぶ整然とした街並みは、整いすぎて嫌になるときがある。
「さっむ……」
久しぶりの東京がこんなに寒いとは思わず、小さく背中が震える。
薄手のコートを持ってくるべきだったと後悔してももう遅い。行きがけに温かいコーヒーでも買っていこうかと考えていると「八幡?」と声をかけられる。
「釜石、久しぶりですね」
「久しぶりの本社集合だからな」
コートなしで春ものの布で仕立てた着物に身を包んだ釜石はあまり寒く感じないようだった。
室蘭もそうだが北国育ちの釜石はわりあい寒さに強いほうなのであまり気にならないようだった。
「寒いのか」
「風が思ったより冷たくて」
「ほれ、懐炉使っていいぞ」
そう告げると懐から使い捨て懐炉が出てきて、こちらに手渡される。
「すいません」
「いいさ、新幹線の中じゃ暑くて持て余してたくらいだ」
初春の東京は寒の戻りなのか冷たく乾いた風がビルの隙間をびゅうびゅうと通り抜けていく。
まだ富士製鉄と八幡製鉄だったころは、冷たい風に吹かれながら二人で御幸通りを歩きながら途中で必ず別れることになった。
丸の内のまっすぐな道は遠くまで見渡すことが出来て、釜石が歩いていく背中をずっと見ていると冷たいビル風が体の芯までしみるのだ。
「にしても丸の内も変わったよなあ、買い物できる店がずいぶん増えたろう」
「温泉も出来ましたしね」
今はこうして並んで本社まで行くことが出来る。
どれだけ話していても道がまっすぐなので迷子になることが無い。
「まあ、一番変わったのは私があなたと一緒にこうやって通勤できるようになったことですけど」
「そうだな」


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オチのない八幡釜石

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