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コーギーとお昼寝

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愛する人に薔薇と本を

「遊びに来ましたよ」
マスクを一瞬外して笑顔を見せると「直接会うのは久し振りだな」とつぶやいた。
世田谷の自分の部屋で冷やし中華を啜っていた手を止めて部屋に自分を招き入れる。
あいかわらずモノトーンに揃えられた部屋はモダンだがもう少し差し色があってもいいだろうに、なんて思う。
「今日はこれを渡しに来たんです」
選んだのは一本の赤い薔薇と一冊の本。
本は最近読んで面白かったカメラの漫画なのだけれど、リボンをモチーフにしたブックカバーをネットで見つけて印刷して自分で巻いてきた。
それを受け取って嬉しそうに笑いながら「一輪挿しが無いのが申し訳無いな」とつぶやく。
「男一人で生活してると使う機会無いですもんねえ、花瓶ならまだ事務所のほうにあったりしますけどね」
そう言いながら洗面台へ行き、手持ちの酒瓶で薔薇をリビングに飾ってくれる。
モノクロームの部屋に赤い花が咲くだけでちょっと彩が出るし、何より赤は僕の色だ。
この人の生活に僕がちょっと混ざるようで少し気分がいい。
「にしても薔薇と本か、変わった組み合わせだな」
「明日のサン・ジョルディの日に乗っかってみました」
「……知らない行事だ」
ブラックラムズ先輩が申し訳なさそうにそう告げる。
「スペインのカタルーニャ地方のイベントですからね。聖ゲオルギウスの日が明日なんですけど、その日に好きな人に赤い薔薇や本を渡す日らしいです」
「それに乗っかってみた訳か」
面白そうに眼を細くして僕に笑いかけてくるのが嬉しくて、今回は正解だったなあなんて思う。
「明日の試合で薔薇を配る予定だったので自分の分も注文しておいたんです」
「世界には未知の行事が在るものだな。代わりと言っては何だが時間があるならアイス珈琲を淹れよう、今朝がた水出ししたものが丁度頃合いのはずだ」
「じゃあ一杯だけ頂いていきますね」




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イーグルスとブラックラムズ。
サン・ジョルディの日にちなんで薔薇を配るイーグルスさんにちなみました(ちなみすぎである)

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