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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

絶望するにはまだ早い

がっつりではないけどわりとBLしてるのでこちらで。
時事ネタです。あとは察して。



『今から神戸に来てやってくれん?』
突然の大阪からの電話に漏れたのはただただ深い溜息であった。
それは、近鉄ライナースその人からの電話であったとしても。
「……いきなりそんな無茶ぶりされても」
『あんさんの恋人が一人で黴でも生えそうな顔しとるからなあ』
「会ってもないのに何を」
『ニュース見て電話したらすぐわかるわ。あれは恋人が行くべき状態や、青のシンフォニーの乗車券賭けてもええ』
「だとしても今から行くのはいくらなんでも無理が過ぎるでしょうが、それに金が」
『9時15分JAL2830花巻空港発大阪行き、それで神戸に行ったれや。まあもうお前さんの名前で取ったんやけど』
「はっ……?!」
『帰りの飛行機も取ってあるけど来うへんかったら全額請求するからよろしく♡』
そう言ってそのまま電話をぶった切られた時には、行かないという選択肢はもう無かったのである。

****

そうして舞い降りた神戸の街で、なるほど確かに彼はカビでも生えそうなツラを誤魔化して立っていた。
「いきなり来るなんてなあ、明日は雪でも降るんか?」
疲れの滲む顔を誤魔化すようにヘラリと笑う。
昨日の今日でこんなにもここまで疲弊感を滲ませているという事は、そう言う事なのだろう。
「……来て正解だったな」
「は?」
「湿っぽいツラ」
そう告げると、表情が崩れて一気に悲しみに沈んでいく。
こいつはいつもそうなのだ。
「せめて中断始まるまでは会いたなかったんやけどなあ」
「ライナーズさんには声でバレてたぞ」
「あの爺さんほんと嫌やな」
「だいいち今日明日死ぬわけじゃない」
「……でも、親が死にかけたら一番に切り捨てられるのは俺らやろ」
ぽつりと吐かれた事実はこの男の口から吐かれると何処までも重苦しい事実であった。
自分が死ぬかもしれないという危機感も、かつて失った同郷の後輩のことも、まだ完全に拭い去れていないのだ。
「でも、俺は死んでない」
それはたった一つの重大な事実である。
「でもそれは、」
「クラブチームでも株式会社でもお前は生き延びられる。それだけのポテンシャルはある」
それは惚れた欲目なんかではなく自分なりに考えた答えだった。
今も国内強豪として第一線にいて、神戸と言う大都市に拠点があり、ファンも数多くいる。
「まだ、お前は第一線で足掻ける」
じっとその紺の眼を見据える。
この男の眼の奥に静かに萌える闘志を、俺はどこまでも愛しているのだ。
「……ああ」
「飯でも作ってやる、どうせロクに食ってないんだろうし」





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進め、ロスタイムのその向こう側へ

ちょっともうあまりのことでまだ頭の中の処理が追っついてないのですが、色々ぐるぐる考えた末にこう言うことになりました。廃部は……勘弁……。
これに関連してぽつぽつ長編書き始めたのですが、この事態の行く末によってはお蔵入りすると思うのでどういう形であれ残ってくれたらいいなあと思います。新米海波サポかつこの2チームの関係性に夢見る腐女子としての意見ですが。

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