真っ赤に染まる日産スタジアムの真ん中で、最初の一勝を噛み締める。
「前半無得点から逆転とかされちゃうと自分がまだ鍛え足りないって思っちゃいますねえ」
今回の負け方に思うところがあったらしいイーグルスの愚痴が背後から聞こえてきた。
「まあその辺はイーグルスの頑張り次第だよ」
「そうですね。まだリーグ戦始まったばかりですし、最後に勝てばいい訳ですから」
「言ったな?」
生意気な後輩のわき腹を2,3回突いてやると「若者パワーですよ!」とイーグルスも突き返す。
そんな折、イーグルスがふと客席の方に視線を止めて走り出す。
「先輩!サンゴリアス君!」
俺もそれについて行くと確かに二人が黄色と黒のハンカチを振って俺らを呼んでいた。
(と言うかよく見えるな……?)
「イーグルス、今回はちょっと喝だな」
「そこは重々承知してます」
ブラックラムズからお叱りの言葉を受けてるイーグルスは置いといて、サンゴリアスは「先輩後半だけやる気出してたね」とからかってくる。
「俺はずっと本気だったけど?!」
「いやー、前半危うく無得点だったのはやる気なく見えるでしょ。フリゼルはすごかったけど」
「80分間ずっと本気だわ!ったく、お前この後酒奢れよ!」
「はーい、イーグルスとブラックラムズさんも飲み行く?」
「我は行くぞ、面白そうだしな」
「ちょっと僕いまお金ないんで奢りなら行きます」
そうは言いつつブラックラムズは連れて行く気満々のようで「金なら我が出してやろう、冬の賞与も出たしな」とイーグルスを誘ってくる。
今日はやかましい飲み会になりそうだけれど、これもまたラグビーの冬の景色と言える。
(今年もリーグワン始まったんだなあ)
そんな心地で笑いながら「じゃあ30分後に合流で」と客席の声をかけるのだった。
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ブレイブルーパス先輩とイーグルス君の開幕戦withサンゴリ黒羊。
今年の開幕戦はテレビ鑑賞でした。