試合終了の笛が鳴り響いた瞬間、私の瞳からじわりと雫が滲みだした。
「ただいまー……って水島?!何かあったの?」
すぐにハンカチを手にして私の顔を拭う福山はたぶんテレビを見ていなかったのだろう。
「ふくやま、あのね?ファジが、
うちのファジアーノが、ついにJ1に行くんだよ」
私が手放してもなお気にかけていた愛しい我が子の名前を告げると、福山は顔をほころばせて「やったじゃない!」と答えてくれる。
福山は私がファジアーノやヴィッセルを手放した時の事を知っているから、こうして私の気持ちを分かって一緒に喜んでくれるのだ。
「もう私の子じゃないけど、あの子は日本のてっぺんまで行ったんだよ」
涙と鼻水でぐずぐずの私の顔を拭いながら「そうね、ファジは水島の子よね」と笑ってくれる。
「やっど、やっどあのごがJ1にい゛ぐ゛ん゛だ゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!!!!」
ファジが生まれてから今日までの事が走馬灯のように脳内を駆け巡った途端、また感涙があふれ出してくる。
そんな私を私を福山がよしよしと宥めつつ目元や鼻周りを拭いながら「今夜はお祝いね」と笑ってくれる。
「……ピザ、ピザ取ろう」
「そうね。今夜はピザ取ってファジ君にお祝いのメール送りましょ」
ファジアーノ、私の愛しい小さな雉鳥。
君を手放したことを後悔したくなるような羽ばたきをどうか、J1の大空で。
ファジアーノ岡山J1昇格おめでとう!
-----
水島ちゃんと福山さん。
ファジの昇格を聞いたら私の脳裏のみっちゃんが大号泣し始めたのでお祝いネタでした。