パソコンでJスポーツオンデマンドを開きながら冷たい麦茶をこくりと飲む。
画面の向こうでは雨の中芝生を駆ける選手たちが映し出され、はあっと小さくため息が漏れた。
「……なんで俺はラグビーをしていないのだろうな」
ラグビー場へ行くために自工叔父から頂いた特別仕様のデリカを走らせることすら出来ず、こうして退屈な想いでラグビーを見る他ない。
きのうヴェルブリッツさんから届いた箱にはあちらの名物だという車の形をしたもなかとともに詫び状が添えられており、その律義さには感心すらしたが本当ならば今頃盛岡行きの新幹線にでも乗り込んでいる頃合いだと思うとむなしくなる。
法を犯した選手が出てしまうという不祥事の前には自分の晴れない心持ちなどは無力だ。
いけないことはいけないことのままであるし、してはならないことをしたのならば厳正に裁かれるべきであり、その連帯責任を負うのはやむなしとも思える。
ただ、どしゃ降りの雨の中熱戦を繰り広げる彼らを羨ましいと思う事だけは許してほしかった。
開幕戦不戦勝になったダイナボアーズさんのはなし