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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

たいていのことは不要不急

やる事がない。本当に驚くほどやる事が無いので、このところ土日は自分のグラウンド整備とクラブハウスの掃除に勤しんでいる。
「もう洗うもんがない」
ボールと言うボールを全部磨いてアルコール消毒したり、潮風をずっと浴びてるゴールポストや車のさび止めを塗り直したり、芝生を整備したりと施設内のありとあらゆるものを洗浄漂白しているがいかんせん誰も使ってないので汚れようが無い。
玄関わきに物干し台を作って色んなものを干してるが、もうこれが乾いたら洗うものが無くなってしまう。
「おひさしぶりデスヨー」
「ああついに暇すぎて幻聴まで聞こえて来よる……」
「幻聴じゃないですヨー」
声のする方を見ると何故かマスクもしてないレッドスパークスと目が合った。
ようやく気付いて貰えたのが嬉しいというように思い切り抱きつこうしてくるので、

「ソーシャルディスタンス!!!!!」

反射的にアルコール消毒液を吹き付けると「ぁ゛ーっ!」と悲鳴が上がる。
「目がー!目に入ったデスー!!!!!!!」
「と言うかお前このご時世によく家まで遊びに来よるな」
「宗像の道の駅まで新鮮なお魚の買い出し来たから寄り道しただけデスヨ……」
「道の駅はあの川の先やけん間違えとるぞ」
「う゛~゛……みんなこれですヨ……」
「このご時世やけん仕方ないっちゃ、あと目ぇ擦り過ぎると腫れるぞ」
「顔にアルコール吹き付けたのそっちでショ?!」
「それはすまん」
不要不急の外出じゃないのかこれ、と思ってしまったがもうめんどくさくなってきた。
「マスクあるか?」
「ありますケド……」
「ならつけろ。そしたら買い物付き合っちゃる、ついでにコーヒーでも奢るけんそれで許せ」
そう言うと実に嬉しそうにこっちを見るので、抱きつかれないよう適度に距離を取りつつマスクと消毒液を取りに行くのであった。
「あと選手スタッフ社員に感染させんように帰ったら全身洗え!」
「そこまでのことデス?!」






―その頃のキューデンヴォルテクス氏「自粛で家庭用電気の需要が上がってる……きつい……」


ブルースとレッドスパークス。
タイトルはツイッタで見た曲から。

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ただただ料理を作る話

自粛自粛で何もできない週末は料理を作り置きしておくことにした。
まずは手洗いうがいをして余計な菌を落とす(このご時世なので衛生面は大事だ)
今月の頭にぬか床から作り始めたぬか漬けをかき混ぜ、捨て漬けのニンジンの切れ端を齧ってみる。
「……うん、もう本漬けにいけるかな」
残りの捨て漬けは外の植木の肥やしにでもしておけばいいか。指先についたぬか床も風味が出始めてる気がする。
野菜室にぎゅうぎゅうに詰めた新鮮野菜から、まずは大根と人参、キュウリを引っぱり出す。
にんじんは縦半分に、大根も大きいから四分の一に割ろう。キュウリはそのままでいいか。
昨今は野菜や肉が随分と値下がりしてるのでいつもなら手に入れられそうもない飲食店向けのいい野菜が一般向けに流通してるからありがたい。
軽く塩を振って塩もみすればあとは大きなタッパーのぬか床に漬けておくだけだ。
「……大きめのたるでもあれば自家製のたくあんとか漬けられるのになあ」
残った大根は薄切りにしてと一緒に塩・昆布・唐辛子で浅漬けにする。浅漬け器は元から持ってたし、すぐに漬かるだろう。
次は春キャベツでザワークラウトを作ることにしよう。
大鍋で保存ビンを煮沸消毒し、その間に春キャベツを太めの千切りにしておく。
春キャベツは柔らかいし葉の量が少ないからひと瓶で二玉ぐらい入るだろうし、煮沸してるビンは2つ。なら4玉はイケるだろうか。
キャベツを千切りにしてると充電器に挿しっぱなしだったスマホがけたたましく鳴り響いた。
とりあえずハンズフリー通話にすると、聞きなれた同郷の先輩が『もしもし?』と問いかけてきた。
「工場休みのブレイブルーパス先輩どうかしましたー?」
キャベツを刻みながらそう問いかければ『しょっぱなからそういうのやめて』という厳しいコメントが飛ぶ。
『あと先週貰った浅漬けといちごのジャムすごい旨かった、ありがとう』
「どういたしまして、いまザワークラウト作ってるんで完成したらひと瓶持って来ましょうか?」
『ザワークラウトってあれでしょ、酸っぱいキャベツの漬物。あれ家で作ってんの?』
「だって暇だし」
『暇を持て余し過ぎじゃない?というかそんな漬物ばっかり作って……』
「生野菜は日持ちする奴でも限度ありますしね、漬物か冷凍惣菜にして今のうちに今年一年分ぐらい作っとこうかと」
『いや多い多い、そんな作る必要ある?』
「飲食業なんで農家は大切にする主義なんです」
『あー……どうせなら他の奴にも持ってきなよ。イーグルスとか、ダイナボアーズとか』
「イーグルスはともかくダイナボアーズさんはちょっと……雰囲気怖いし……」
『あいつが怖いのは顔だけだよ、まあ俺が持ってってもいいけど』
「じゃあそうします」
そうこうしてるうちにキャベツは全部刻み終わったので、瓶を煮沸してたお湯を大きめのカップに汲んでボウルに回しかけて消毒する。
ボウルにキャベツをぶち込んで、しんなりするまで塩もみ作業だ。
『あとまだ作ったりすんの?』
「しますよ。きょうは良い卵と牛乳あったからこの後タルタルソースの作り置きと牛乳寒天にして、グリーンピースは豆ごはんにして、今あく抜きしてるたけのこは大根と蕗で煮物にして、あと昨日甘夏箱で注文したから届いたらマーマレードにして……『多い多い多い!』
『もう作り置きのレベル超えてるでしょ、それ全部一日で作るの?』
「作れますよ?日持ちするようにしとけば食べるのはいつでもいいし」
『まあそうだけどさ……太るよ?』
「それなんですよね!」
塩もみが終わったキャベツを煮沸した瓶にひたすらぎゅうぎゅうに詰める。
『……太るのわかってて作るの?』
「だってやる事ないんですもん。仕事そんなにないしトレーニング機材も勝手に使えないんで」
瓶にキャベツをめいいっぱい詰めたら、上に重しをしてしばらく置いておく。
『それで延々と作り置きに行く?』
「先輩もご飯作る手間省けるでしょ」
『トレーニングしなよ……』
「平日はしてますよ、ただトレーニングし過ぎも体に良くないんで土日は休みです」
たけのこのあく抜きもいい頃だ、たけのこと蕗の煮物に移ろう。
あく抜きに使った鍋はかるく水洗いして蕗の下茹でに、瓶の煮沸に使った鍋はタルタルソースの卵を茹でるのに使うことにした。
蕗の板ずりの間にお湯を沸かし、卵は水から茹でてエッグタイマーも入れておく。
『うん……確かにお前の公式であげてる一般向けトレーニング動画明らかにプロ仕様だもんな』
「あれぐらいの強度なくちゃ俺の身体が鈍るんですよ」
『ファンは一般人ってこと忘れてるだろあれ、アークスみたいにラジオ体操ぐらいにしとけよ』
「ラジオ体操もしますよ、トレーニングの前に」
『oh……お前そう言う奴だったな』
なんか呆れられてる気がするが気にするまい。
蕗の下茹でとゆで卵づくりの間に、たけのことわかめを食べやすく切っておこう。。わかめは後で入れるので別の容器に入れておく。
「先輩の方は派手になんかやったりしてませんよね」
『お前やレッドスパークスみたいにトレーニング動画作ったりはしてないな。というか朝晩のあいさつ動画とか塗り絵作ってるスピアーズは準備良すぎだと思うんだけど』
「野生児っぽいから勘で準備してたとか?」
『田んぼ駆けずり回ってるもんな』
「あー……千葉の三人って何だかんだじっとしてなさそう」
『アークスもあれで走り回ってるもんな、半分ぐらいは周りのせいだけど』
「ほかの皆もどうしてるんですかねー」
『元気にはしてるだろうけどねー』
下ゆでの終わった蕗を取り上げて、軽く水で冷やしてから筋取りをして食べやすいサイズにざく切りにする。
あとはたけのこと一緒に煮込んで、最後にわかめを合わせるだけでいい。
その隙に卵と酢と油をハンドミキサーで混ぜてマヨネーズを作り、新玉ねぎと先週作ったピクルスをみじん切り器で粗みじんにしておく。
「あー……」
『なに?』
「いや、タルタルソースに色味足りないから人参足そうかなって」
『お前は一体何を追及してるの?』
わりと真剣にそう問われれば「何なんでしょうね」としか答えられないのであった。





暇を持て余した府中ダービーのくだらない話。

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白菊花火を見に行く

午後6時半過ぎ。
鵜住居駅を降りる人は思ったよりも少なく、まばらだった。これも昨今巷をにぎわせるウィルスのせいなのだろう。
駅から歩いてすぐ、まだ真新しいスタジアムのベンチに腰掛けて方位磁針で海の方を探した。
沖合で打ちあがる花火を見るならばもっと海岸近くへ行くべきなのはわかっていたが、どうしてもここからあの花火を見たかった。

2011年3月11日、ここはのちに釜石の奇跡と呼ばれる避難劇の舞台であった。
そして去年、ここはワールドカップという素晴らしき舞台にもなった。

タオルにくるんでに入れて持って来たのは熱燗の日本酒。
四合瓶をお湯に入れて温めたのを厚手のタオルで割れないように包んだからまだ熱いぐらいだ。
パキリと四合瓶のふたを開けて、熱燗を紙コップに少量移す。
ほかほかと沸き立つ湯気の向こうから花火の音がする。
鎮魂の白菊花火が、釜石の夜空に大きく咲くのが見えた。
ここにいる人も向こうへと去った者も、みんなこの白い菊花を見ているだろうか?


「乾杯、」

夜空に咲いた白菊の花に、この酒を捧げよう。
そしてくいとその熱燗を飲み干した。


シーウェイブスさんのはなし。
あの日から9年も経ってしまったけれど、まだ忘れたりなんて出来ないのです。

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二者択一のミステイク

書き込んであった試合の予定を消し、思わずその前でひざを折るようにふさぎ込む。
(……僕はいったいどこで何を間違えたんだろう?)
そう思ってこの最近のことを思い出してみても、分からなくてふらふらとベッドに倒れ込む。
ヴェルブリッツさんに聞いてみようか、と思ってもそれすらも怖い。
これまでずっと上に上にと走り続けてきて突然道が途切れてしまって、行き場もなく呆然と立ち尽くしている僕はどうしたらいいんだろう。
誰に詫びて、何を改めて、何をすればいいのだろう。
何かをしなくちゃいけないことは想像できても、その内容が何ひとつ出て来なくてペンを持ったまま呆然と立ち尽くしている。
突然ポケットに入れていた携帯電話が鳴り響いた。
メッセージの送り主はウォーターガッシュだった。
『頂いた牛乳で蘇が出来ましたのでご報告します』
添付されていたのはチーズのような茶色っぽい塊が複数個映っていて、これが蘇なのかと首をかしげる。
そもそも牛乳をあげた覚えもないし、間違えて送ってしまったのだろうか。
『メッセージの送り主間違えてるよ』
返信を出すと『すいません、釜石さんから牛乳を頂いたのでそのご報告でした』と返事が来た。
『牛乳を?どうして?』
『全国的な牛乳余りの影響でスポンサーさんからいただいたものをトップチャレンジ組にお裾分けしたいと一昨日連絡があったので、それで頂きました』
『そうなんだね』
『レッドドルフィンズさんにも明日ひとつお持ちしましょうか?』
頼んだ覚えもないのにそう言いだした彼に『大丈夫だよ』と返事をすると『それなら分かりました』とシンプルな返答が来る。
そうしてやり取りが途切れると、意味の分からないやり取りのばかばかしさに笑えてしまう。
というかそもそも何なんだ蘇って。聞くの忘れてるじゃないか。


……ああ、少し休もう。
こんなしょうもないことで笑えるなんてきっと僕は疲れてるんだ。

反省会は休憩後で良い。たっぷり休んだらきっと考える心の余裕もできるさ。


レッドドルフィンズとウォーターガッシュ。

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焼き鳥にはビール

「やる事なくて暇だから呑もう」
退屈を持て余した府中の後輩の第一声はそれだった。
その手には焼きたての焼き鳥と缶ビールの箱がぶら下がっていて、ああコイツマジで暇持て余してるんだなあ……と察してしまう。
「いいけど月曜から呑んでいいの?」
「時差出勤で仕事開始遅めにしてるから平気」
そう言って早速人んちに上がり込むと我が物顔で冷蔵庫を開けて冷えたグラスを引っぱり出して早速ビールを注ぎ始める。
冷えたグラスを常備してる俺も大概どうなんだとか言わないで欲しい。
「別にいいけど……あ、アド街見た?」
「見たけどNECが出た瞬間にグリーンロケッツさんから鬼電来たから電源落とした」
「俺のとこにも来たわ」
ふわふわ泡のビールに口をつけると、少し気分が晴れた。
サンゴリアスにもビールを持って来たビールを注いでやると「注ぐのヘタだなあ」と呟いてくる。
「どーせ俺はお前みたいなプロじゃないからな」
「そっか、じゃあしょうがないね。あ、今度呑むとき神泡サーバー持ってこようか?新しい奴!」
こいつの他人の地雷を踏み抜くところはある意味天才的だと思う。
しかし秒で反省の意と対策出してくるお陰で嫌悪感までは抱かせないあたり性格は悪くないんだよな……。
「またサーバー出すのかよ!」
「今年のはお手入れいらずで専用ホルダーもつくんだよ!去年の奴すぐ失くした先輩でもなくさないように冷蔵庫に張り付くようになってんの!」
「そうか、うん、まあ気持ちだけ貰っとくわ……」
正直酒の味にこだわる方じゃないので神泡サーバーとか言われても困るのだが本人が楽しそうなので気にするまい。俺は後輩には優しくする主義なのだ。
(あ、この焼き鳥旨い)
新型コロナだの試合の延期だの嫌なことは多いけど、酒は俺を裏切らない。
「早くラグビーしてえなぁ……」
「ほんとにねー」




ブレイブルーパスとサンゴリアス。気づくと飲んだくれてる府中ダービー。

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