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コーギーとお昼寝

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50年目の腐れ縁

「今回も馳走になるな」
そう言いながら東京近辺の美味い酒を広げてくるブラックラムズに「……気が早ないか」と思わず呆れてしまう。
もう50回近い交流戦の相手となるブラックラムズはまるでここを香椎にあるもう一つの家のように馴染んだ顔で酒を開ける。
まだもつ鍋の準備を始めたばかりだというのに家主を抜きに飲み始めるのもどうなのだろう。
「もちろん貴兄の呑む良い酒も十分に用意してある、第一に貴兄は日本酒を嗜まないだろう」
「まあ、出されれば飲むけどな。日本酒に慣れてへんだけやし」
ざくざくと切り刻んだ野菜やモツをそのまま市販のだし汁とにんにく醤油を混ぜたスープに入れて、野菜に火を通るまで煮るだけ。
料理としては簡素だがこの博多もつ鍋がブラックラムズはお気に入りのようで、交流戦のたびに振る舞っている。
「此れが貴兄の分だ、今回は八丈島で作られてる芋焼酎を用意した」
グラスにとくとくと注がれる芋焼酎からはほのかにサツマイモの甘い匂いが薫ってきて、初めて飲む酒にワクワクする心地だ。
まずはストレートで飲んでみるとサツマイモの甘さと焼酎の香りがふっとぬけてくる。
試合後の身体から緊張を抜き取ってくれるような程よい甘辛さが心地よい。
「……これはいい」
「貴兄の好みに合うようでよかった」
「ロックがええかな、氷とってくる」
「ああ」
グラスに氷を2つ3つ落としてカラカラと振り混ぜれば、温度差でゆらめくように酒が対流していくのが見える。
ついでに冷蔵庫から鍋の薬味を探してみると炭酸水もあったのでこれも飲んでしまおう。
「もう煮えたようだが食べて良い頃合いじゃないのか」
「ああ、そうしよ」
長い腐れ縁が持ってくるのは最高のゲームに知らぬ酒。
それだけがあればいくらでも逢う価値はあるというものだろう。




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キューデンヴォルテクスとブラックラムズ。
本日の練習試合が48回?とか続いてるらしいので。

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君の手にハンカチーフは要らない

「トップリーグも今年で最後ねえ」
姐さんがどこか寂しいような呆れたような言葉が紅茶の香りをさせながら言う。
本来ならば去年が最後になるはずだったトップリーグが一年延期になったことを喜ぶ気はないが、最後という事実がひどく寂しい。
「ほんまですね」
最後のトップリーグの予定となるプロモーションビデオを見返すと、懐かしい映像が勇壮な音楽や覚えのある実況とともに次々と流てくる。
「でもここを去った子がいないのね」
この18年でトップリーグに残れず去った者のことは触れられていない。
姐さんが特に言うのは、きっと俺の同郷の後輩だったあいつのことでその思い入れの強さは姐さんもよく分かっている。
「しゃあないんでしょうね」
きっとあいつのことなどもう忘れてしまった者・知らない者のほうが多いのだろう。
それでも記憶の隅に残しておくことだけが、あいつへの供養なのだろう。
泣くことは許されない。想いを抱えて生きていくことのみが、すべてだ。



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スティーラーズと神戸ネキ。
最後のトップリーグPV、かっこよかったですね

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変わらぬものはこころの裡に

「開幕が遅いというのは退屈だな」
ブラックラムズ先輩がぽつりとそんなことをつぶやいた。
今年はコロナの影響でだいぶ開幕が遅くなっており、そのお陰でこの時期にしては妙に余裕がありすぎて仕方がない。
「いつもならもっとこの時期は忙しいですもんね」
「汝はそうでもないだろうがな」
その手にあるシウマイ入りのお饅頭は先日横浜へのあいさつした時に頂いたものだ。
遠回しに横浜へのホームタウン変更のことを言ってるのだろうという事はすぐにわかった。
「横浜に移ると言っても再来年の話ですし、練習場所までは移しませんけどね」
「そうらしいな」
「町田でも横浜でもラグビーにいい環境があるところに居たいだけですし」
生まれ育った町田への愛着はあるがそれ以上にチームとしてより良い選択をと考えたとき、日産スタや三ッ沢球技場が使えるのはでかい。
「町田でも横浜でも僕は僕で、あなたを慕う後輩であることは何も変わりませんよ」




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イーグルスとブラックラムズ。
神奈川県町田市から正式に神奈川県民に……と言ったのは私です。

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大盛りごはんに何食べる?

「今日は遠路はるばる来てくれて有難うな」
そう言いつつ蒸しタオルを渡すと、スピアーズは体をぬぐい洗濯かごに詰め込む。
「でも俺も久しぶりの試合と久しぶりの釜石で楽しかった!」
試合終わり、トークショーの中継をパソコンで見ながら食事をすることになった。
寒いので部屋の暖房をつけ、夏の間はちゃぶ台にしていた机をこたつにした。
「あ、お米は「要望通り岩手の米を用意したぞ、全部今年の新米だ」
付箋を貼った小さな炊飯器を5つ目前に並べれば、嬉しそうに目を輝かせた。
「右の炊飯器から金色の風、銀河のしずく、どんぴしゃり、いわてっこ、かけはしの5品種。生産地は全部県内だ。
かけはしやいわてっこなんて今は作ってる農家も少ないから探すの大変だったぞ」
「これ全部食べていいの?!」
「3合づつ炊いたから全部食いきるのきついと思うけどな、おかずもあるぞ」
色んなつてを辿って探した岩手の米に合わせるのはもちろん岩手のものだ。
冷蔵庫や棚から用意しておいたものをひとつづ引っ張り出してくる。
「まず南部鮭のホイル焼きといわて牛のスペアリブの煮込み、漬物盛り合わせにめふん……鮭の腎臓の塩辛のことな、普通の塩辛と納豆も用意しといた。
汁物はわかめと豆腐の味噌汁。甘いもんも一応あるぞ」
こたついっぱいの食事に「めっちゃあるじゃん!」と目を輝かせた。
「どうせ多めに作っておけばそれを明日明後日まで回せるしな」
「でも発想は貧乏性だ」
「客人のセリフか?」
「でもめちゃくちゃ嬉しい、じゃあいただきます!」
さっそく茶碗一杯に金色の風を盛って、大きな口で頬張れば「岩手の新米やっぱ最高……」と呟く。
自分もかけはしのほうを一口味わってみると米の甘みがじわりと広がる。
「俺もうこの米のために釜石に来てる……南部鮭も美味しい……」
「食いもんじゃなくて試合と復興支援で来てくれ」
箸を休めることなくあれやこれやと食べ進めていく目の前の男の暢気さはどうにも嫌いになれない。
同じく復興支援で何度も来てくれているジュビロの真面目で敬意を払う態度とは正反対だが、スピアーズとはトップイースト時代の知り合いである。
今更変に気を使われるよりはいいのかもしれない。
あの震災から10年。あれから生まれた縁がこうして今も続いていることはきっといいことだ。
能天気にコメを盛る男の顔を見ながら、そう思う。


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シーウェイブスとスピアーズ。

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そして季節はやってくる

*短編集です

・サンゴリアス
待ちわびていた予定がようやくスマホの手帳アプリに記入できた。
「開幕は1月16日かあ」
まだまだ2か月以上あるのに今すぐに踊りだしたくなるぐらいに嬉しくて、日程表を数枚印刷して壁に張った。
ようやく気持ちの潤いが出てきたというものだ。
「……いや、仕事まだあるか」
満たされた心と身体で開幕を迎えるため、日程表を机にしまうと再び仕事にとりかかるのだ。

・スピアーズ+ブルース
『成田中台公園ってどこなのか教えてくれ』
そんなメッセージがスマホに届く。送り主は宗像のブルースだった。
初めて開催会場となった成田の会場がわかんないのは、しょうがない。
(……でも俺もわかんないって言ったらどうしよう)
今まで千葉県内の会場といえば柏の葉だし、成田方面の土地勘がないのだ。
『ごめん、実は俺も会場知らないんだ(;´・ω・)』
そう告げると返信がすぐに来た。
『そもそも成田市がどの辺かが分からん』
そこかい!!!!!!!!!


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開幕戦の日程が出たぞ!

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