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コーギーとお昼寝

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長く短い日々のこと

「もうワールドカップも一年過ぎたんですネ……」
ふとそんなことを思い出したのは、小倉のアーケード街に飾られたウェールズ国旗のせいだった。
「うわ、本当だ」
「あっという間に一年過ぎよったな」
キューデン先輩とブルースがポツリとそう呟くので本当に一年はあっという間だ。
最初こそワールドカップ効果を肌で感じながらもここ半年はコロナウィルス騒動でできることがすっかり減ってしまい、例年ならもう迎えていてもいいはずの開幕もまだできずにいる。
「世界がすっかり変わっちゃったものなあ」
「ホントデス」
「ラグビー好きになってくれる嬉しさも、ラグビー出来えう幸せも、よぉ知れた一年やったっち思いますけどね」
「……ブルースも成長したなあ」
「身体は相変わらず小さいデスけどネー」
「レッドスパークス基準やったらみんなチビんなるわ!」
そうこう言っていると遠くに待ち合わせのうどん店が見えた。
遠くから手を振るレッドレグリオンズが「こっちです」と呼びかけてくる。
今日は新リーグ参加予定の九州協会所属チームによる食事会で、店を選んだのは広島の二人だった。
「久しぶりだな、坂。ブルーズーマーズは?」
「あにさんはもう中入って注文してます」
行きましょうとレッドレグリオンズが皆を誘導していく。
ふいに風が吹いて紅竜の羽ばたきのような音が商店街に響き渡った。
次の一年はどうなるんだろうか?



ーーー
と言うわけで九州協会組。と言うか広島と九州セットは初めて書く気がしますね。

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楕円球の帰る日

秋雨に濡れるスタジアムには独特の空気感が満ちていて、ようやく日常が帰ってきたのだと思う。
「シーウェイブスさんは試合、いつぶりでしたっけ?」
「あーっと……今年最初か?」
「僕も3月以来ですから、6ヶ月ぶりですね」
ジュビロの方もコロナによりいつもより伸びたオフシーズンの終わりを、ずっとずっと待ちわびていたのだとわかる。
スタジアムもソーシャルディスタンス確保のため入場制限がかけられ、いつもよりも空白感がある。
しかしこの天気と状況を思えば十分な客入りのようにも思えた。
「お客さんがいて、選手もいて、もうこれだけで十分です」
泣きそうな気持ちでスタジアムを見つめるジュビロに「ほれ」と一杯の酒を譲る。
つまみもあるぞと手渡せば「昼酒ですか?」と言い出してくる。
「せっかく久しぶりの試合なんだ、思い切り楽しんでもいいんじゃないのか?」
「……ですね。じゃあご相伴に」
ワンカップを受け取って蓋を開けると、シーウェイブスさんスッとワンカップをこちらに寄越す。
「ラグビーのある日々の帰還に祝杯を、」
「釜石の街に

「乾杯!」」

カチンと言う軽やかな瓶の音と同時に、ずっと待ちわびていたキックオフの笛がスタジアムいっぱい響わたった。


ーーー
シーウェイブスとジュビロ。
おかえりラグビーのある日々!

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ハンバーガーと満月

いま、無性にジャンクなものが食いたい。
走り込みを終えてふいに沸き上がったのはそんな衝動が今日はいつもより強かった。
だからいま、僕の前には月見バーガーや月見パイ、マックフィズが並んでいる。
(……まあ、たまにはいいよね)
チームインスタ用にカノンちゃんのぬいぐるみを月見パイの横に置き、数枚の写真を撮って簡単な編集だけしてインスタにあげる。
「うん、これは仕事用だし運動後だからヨシ!いただきます!」
ダイエット中のOLみたいな言い訳をしながら思い切り月見バーガーにかぶりつくと、卵とソースがトロリと溶けてくる。
特別ハンバーガーが好きという訳じゃないけれど、いま体が欲していたジャンクさが全身に染みわたる。
なんだかんだ脂肪と炭水化物にあらがえないのだ。
口の端についたソースを舐めながら見上げた空には真昼の満月。
この後も頑張らなきゃなあ、と呟きながら僕は月見バーガーにかぶりつくのだった。



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イーグルスさんのごはん。
インスタでカノンちゃんが月見パイ食べてたので。

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夏のリヨンからのお荷物です

春先から続く病気の流行によるマスク焼けだけでなく、夏の湿気と暑さでやられている今日この頃。
小さな段ボールが遠く異国から届いてきた。
送り先はフランス・リヨン。
箱の中身はワインやチーズに、あちらの名物だと言う鶏のレバーケーキやピスタチオ入りのソーセージがぎっしりと詰め込まれている。
買い置きの冷凍食パンを焼き、その間にソーセージを茹でて切ったりチーズを準備したり、貰い物の冷製スープも出して簡単な夕食を揃えてみればいつもより豪華に見える。
……いや、普段から粗食すぎるとスピアーズに叱られていることを思えばいつもが質素すぎるのだろうか。
焼いたパンにクリームチーズを乗せて食べてみれば、さくりとした食感にハーブやニンニクの風味が広がって美味しい。
ソーセージも薄めに切って口に放り込むと肉の脂っ気にナッツの食感が面白い。
この時間なら大丈夫だろうかと時間だけ見てから、インターネット回線で送り主への電話を繋ぐ。
液晶画面には薄い色のサングラスをかけた狼耳の男性が朝の景色を背景に映ってくる。
『オハヨウ!シャイニングアークス、comment allez-vous?(調子はどう?)』
フランス語で話しかけられた瞬間に意識がフランス語に切り替わる。
「もうこっちは夜ですけどね、Louさん」
荷物の送り主であるリヨンloさんとは最近意気投合して色々やるようになった。
『じゃあコンバンワだね、荷物は届いた?』
「はい。有り難く頂いてますよ」
カメラの前に差し出してくると『そりゃあよかった』と笑う。
『気に入ったものがあったら教えておくれ、この病気の流行が落ち着いてリヨンに来たらもっと旨いものを準備しておくよ』
サングラスのせいで表情は読みづらいが声色から感情は読める。喜ばしい感情が声色から滲んでいる。
「僕の方も準備しておきますよ、お酒なんてどうです?」
『くれるのか?なら日本酒がいいな』
「ええ、日本酒とそれに合うものお届けしますよ」
元々はビジネスで知り合った仲だが、こうして良い関係を築くきっかけになるならお安いものだ。
縁は異なもの味なもの、こう言う縁も楽しむのが吉だろう。




ーーー
シャイニングアークスとリヨンou
そのうち海外リーグ組が増えそうなのでちまちました習作を。

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おいでよアークス学園!

ある平日の昼下がりの船橋。
「ねむ……」
駄目だこりゃと仕事道具を所定の場所へ戻し、眠気覚ましのブラックコーヒーを入れに給湯室に行くとウォーターサーバーの水タンクが切れていた。
せっかく冷水と熱湯が出るウォーターサーバーになったのに水がなきゃ意味がない。
仕方なく水タンクをウォーターサーバーに差し込んでお湯が沸くのを待つ間、スマホに来ている連絡の類を確認するとアークスからLINEが来ていた。
(珍しいな、こんな時間にLINEなんて)
届いていたメッセージをたっぷすると、そこにはなぜか学生服姿のアークスがいた。
思わず自分の目をこするけどやっぱりスーツじゃなくてブレザーだ。
ニットの胸元に青い校章がついてるし、靴もひも付きの革靴ではなく紐のないローファーだ。
思わず電話をかけるとすぐに電話がつながった。
「LINE見たけどあの写真何?!」
『スピアーズでしたか、というか挨拶もなしにそれ聞くんですね』
「俺の眠気が飛んだもん!なにあれ?!」
『ああ、チームのバリューアップ活動の一環で学生風の服装で動画を撮る企画が進行してまして』
「そういう謎企画ってグリーンロケッツの担当じゃないの?!」
最近のアークスはぶっ飛んだ企画が多かったけど、もうこれは俺の理解を超えてる……何で社会人に学生服着せようとしてるの……?
思わず宙を見上げたけど、あるのはただの切れかけた蛍光灯だった。
『まあそうですけどね、面白い企画をやれば注目されて、私や選手も注目されますから』
「うん、まあそうだけど……というか、まさか今度入団するレイドローに学生服とか……」
『検討中、とだけ。それでどうですか?』
本人はいたって正気なようでフラットな声で答えられた。
楽しいことは好きだけど、アークスのボケって真顔で想定外の方向に行くからはた目からするとほんとにビビるのだ。
「インパクトはあると思うよ」
『これでキンプリとかBLやれば受けますかね?』
「何考えてるの」
真剣な声色でぶっ飛んだことを検討するアークスに、ちょっと前のお堅いぐらいに真面目なアークスが恋しくなった瞬間だった。


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スピアーズとシャイニングアークス。
最近ちょっと企画力がぶっ飛びすぎて私の脳がおいつきません。

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