通勤途中に花屋の軒先に並ぶ早春の花を見て、あの人に渡そうと思った。
突然風に攫われたように亡くなってしまったあの人は開幕戦の惜敗をどんな想いで見ていたのか、聞いてみたくなった。
ブーケを買った俺はスタッフさんに連絡だけして、あの人に会いに行く。
春の匂いがするブーケを揺らしてあの人が眠る場所へ向かう。
府中から一時間弱、慣れない道はスマホに教えてもらいながら辿り着いたそこにあの人が眠ってる。
「ユハさん、花束買ったんだ」
墓石にそう語りかけながら買ったブーケをそっと花瓶に生けておく。
どうかなと語りかけても返事はない。
「ねえ、ユハさん。この間の試合の時さ、喪章つけてたんだけど気づいた?あれね、ユハさんのために作ったんだ。俺も手伝ったんだよ」
ああだこうだと語りかけて見ると、ああ本当に俺は大切な人を亡くしたなあって思う。
「ユハさん、俺みたいに長く生きてても死に別れってほんっとに慣れないもんなんだよ」
特に風に攫われたみたいにいなくなった人はね。
俺には何もできないけれどさ、春を告げる花束を持ってきた。
「ね、ユハさん。もう春だよ」
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ブレイブルーパスさんの早春の話。
タイトルはあの曲から。