*史実ベースのお話です。
*結城と小山が険悪です。
*BL風味は薄いです、と言うか無いです。門が閉められた。
「後戻りは出来ないよ」
後ろからふいに声がかけられた。
声の主は見ずとも分かる、古河だ。
「・・・・・分かっています。ただ、あの子が心配です。」
「自分の手を突っぱねてまで自分の居場所を守ろうとした小山が?」
ため息をついたのはどっちもだった。
「お人よしと思うでしょうけど」
「別にいいんじゃない?」
その言葉に少しほっとした。
火炎の子供たち篭城の間は評定と空を見ることばかりに時が費やされた。
「退屈ですよ」
「確かに」
外で篭城する自分で睨みつけているであろう小山を捜しながら呟く。
「本当に好きなんだね」
「ええ」
「霞立つ春の長日を恋ひ暮らし 夜も更けゆくに妹も逢はぬかも」
古河の言葉の意味が分からずに聞いて見ても秘密とだけ返された。
* *
長い長い消耗戦だった。
ただひたすらにこの戦の終わりを待つ事に時と精神が費やされた。
「結城」
「何でしょう」
「もう終わりのようだから介錯してくれるか」
自分の忠誠の為に命を投げ出すとその人は言った。
「・・・・・・はい」
1440年7月の終わり、この長い争いは終わった。
原因となった遺児はみな美濃国で殺された。
「終わってしまったのですね」
「うん」
あの子供たちはまるで炎の様な目をして、まだこの街を見ているはずだ。