「名古屋君って、蛍見たことある?」
知多さんがふいにそんなことを聞いてきた。
「……ほたるですか?ないですね」
「やっぱ今どきの子は見たことないのかなあ」
「蛍がどうかしました?」
「うちで毎年蛍の鑑賞会やってるんだけどさ、ほんと毎年結構人来るから蛍なんて割とその辺でみれる気がするのにほんとなんでこんないっぱい来るのかなーって」
テレビで見たような、あの黄色の光が暗闇を飛ぶさまを目前で見たことがあるんだろうか。
それはちょっとだけうらやましい。
「一度見たいですねえ」
「うん、見に行くといいよ。綺麗だし」
「……じゃあ、そうします」
知多と名古屋。