「・・・・おすそ分け」
「お前がここに来んの珍しいとは思ったけどよ」
基本的に水戸の家と自分の家からあまり出ない日立が持ってきたのは、ビニール袋二つ分の柚子だった。
南瓜と柚子とクリスマス前「この間聞いたけど、筑西がやっと降りてきたんだって?」
「見つけたのは桜川だけどな」
「だから筑西たちの分もある」
「・・・・・・お前は盗撮でもしてるのか?」
日立は当然のように首を振った、そりゃそうだよな。
ちなみに下館から『南瓜を持て余してるから料理しにきてくれ』と電話があったのはこの30分前だ。
しゃーねぇなと柚子を受け取って、日立には丁重にお帰りいただいた。
* *
下館の家
「お前、何でこんなに貰ってんだよ」
「断りきれなかったんだよ!ご近所さんの好意無碍に出来ねぇし」
ダンボールにあふれんばかりに詰め込まれた南瓜に俺がそう叫ぶ。
柚子はまあ夜に柚子湯にでもすればいいが、問題はこの南瓜の山だ。
「・・・・ったく、南瓜プリンに煮物とパイとグラタン4人前ぐらい余裕だよなこれなら」
むしろそれだけの種類を4人分づつ作っても多少あまりそうだが、あとは下妻にでも渡すだろう。(こいつなら)
「助かった!じゃあ俺桜川と遊んでるんで頼む!」
そういえばこの間も高梁(下館の姉妹都市・岡山県高梁市のこと)からぶどうが送られてきて食べきれないとか言って呼ばれたような気がする。
(・・・・・・はめられた?)
これだけの南瓜を一人で調理するのは正直手間だった。
まあいい、とりあえずこいつを全部昼食にしようじゃないか。
おわり
下館的にはきっとデレ。そんな下館笠間未満のお話。
お互い自覚の無い片思い、そしてきっと両思い。