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コーギーとお昼寝

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山寺の朝食

まだ日も明けきらない午前五時、すうっと冷たい空気を軽く吸い込んだ。
布団を畳んで寝床を出ればちらちらと外には雪が降っている。
隣の部屋の戸を叩いてみれば小さく「はい」と声がした。
「福井、そろそろ起きて修行の時間じゃぞ」
「……分かりました」
仕事始めに向けて修行に来た福井を起こし(本当は自分で起きるべきなのだがしかたない)本堂で朝の禅を組む。
隣に来た福井とともにしばし禅を組み、30分ほどで一度区切りをつけて台所へと移動する。
大きい寺であれば典座寮(てんぞりょう)や大庫院(だいくいん)と呼ばれる立派な台所があるのだが、ここは一人で管理している小さい寺なので普通の一軒家の台所とそう変わりない大きさのものだ。
まずは土鍋に水と白米を入れて玄米粥を作る。
その間に半分くらいに切ったほうれん草と一口大に切ったカリフラワーを湯がいて柔らかくしておき、ほうれん草をすり鉢で潰したものとほんの少量の塩と粥に混ぜると鮮やかな緑の粥が出来る。
そしてその上に湯がいたカリフラワーと貰い物の缶詰めのコーンを散らしておけば鮮やかな野菜が湯が出来上がる。
調理道具をすすいで戻してから、おぼんに漬物のかぶと食後のデザートの蜜柑と一緒に並べて本堂に持って行く。
「福井、」
「準備は出来てます」
小さな机を出して食事の支度のされたその様子はよく出来たものだ。
対面するように座り、すっと手を合わせる。


「「多くのいのちと、みなさまのおかげにより、このごちそうをめぐまれました。深くご恩を喜び、ありがたくいただきます」」

そうしてゆっくり匙で粥をすくうと、野菜の優しい甘さの粥が温かく体に落ちて行った。


永平寺町と福井のお話。
多くの命と~という挨拶は曹洞宗ではなく浄土真宗のものらしいですが気にしたら負けです。

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