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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

きみの記憶になれたなら

その封筒は正月の朝に届いた。
送り主は年の終わりとともに一人でこの世界を去った長身の友人で、小さいながら荷物も入っていた。
その封筒を開けたときに入っていたのは便せん3枚の手紙と、赤い布で出来た小物が二種類。
三枚目の便せんにはそれが自分の所に残っていたユニフォームやタオルで作った手作りの布ブレスレットとリストバンドだと書いてあった。
「……あいつもよく考えよる」
ゴムのないリストバンドをマジックテープで止めてみるとちょうどいい。
もう一つのブレスレットは別の時につけよう、と思って封筒に入れて机の奥にしまい込んだ。
『そんなん俺貰っとらんよ?!』
液晶越しにそう叫んだキューデンヴォルテクス先輩のせいで耳がキーンとした。
「オンライン越しいうてもデカい声はちょっと」
『あいつ……何なん……』
「うちで引き取った選手が多いんでその礼だって」
『俺にも形見分け言うて色々くれたけど手作りの品は貰ってないし』
ああ、そういう事か。言うなれば隣人としてのやきもちみたいなもの。
「先輩は何貰いよったとですか」
『あー……昔チームで売ってたとかいう赤いシュシュとか文房具とかシェイカーとかいろいろ』
「それがあいつなりの形見分けやったっちゃないんですか?」
置いていった男の気持ちは分からないけれど、忘れずにおくことは出来る。


(……まったく)

もう肌身離せなくなった赤いリストバンドに「余計な問題増やすなっちゃ」とつぶやいた。

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ブルースとキューデンヴォルテクス

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