*小ネタ詰め合わせ
・厄払いに行きたい(ブルーレヴズ)
「開幕したのに全然試合が出来ない……」
コロナによる試合中止のお詫びメールを送信すると気分が落ち込む。
ましてそれが続くと気分が落ち込み過ぎて悲しくなる。
スマホを開くと兄さんやヴェルブリッツさんから心配のメッセージが届き、ちょっと申し訳ない気分になる。
(……俺のせいなのかな)
何が至らなかったのかとずっとうじうじ悩んでしまい、身体にカビでも生えそうだ。
「いや、やめよう。来週こそ試合ができるはず!たぶん!」
そうなるようにどこかの神社に御祈願に行こう、厄を落として晴れやかに次の試合を迎えるのだ。
・赤い電車(レッドハリケーンズ+ライナーズ)
「我ながらこんだけ真赤に出来ると気分アガるわー」
「ホンマやなあ」
久しぶりに大阪の町中まで出たら、レッドハリケーンズにジャックされたエキナカを連れまわされることになった。
期間限定とはいえ地元の地下鉄と大々的にコラボできるのは強い。
「よくこんな予算ひねり出したなあ」
「スポンサーさんとうちの親のお陰です~」
どや顔のレッドハリケーンズにちょっとほっこりしてしまう。
(うちの親も東花園の駅こんぐらい弄る許可出してくれれば面白いけどなあ)
俺もそのうちこういう企画書出してみてもええかなあ。
「あ、レッドハリケーンズ電車もうすぐ来るって!乗りましょ!」
暗いニュースの多い今日この頃においても楽しそうな後輩はいいものだ。
・真黒に染まる(ブラックラムズ)
新しい企画の提案書ひとつひとつに目を通すと心がワクワクする。
自分のために周囲が頑張ってくれている喜び、新しい企画への興奮、そしてそれが出来るという喜び。
「ドキュメンタリー番組に、駅広告の増量、地元の新成人招待、駒沢での交流イベントに、公式の漫画連載……未だ我々にもやれる事が有ると云うのは嬉しいものだな」
黒と羊に染まる街並みを想像するだけで頬が緩む。
まだ我らはメジャースポーツへ向かう道の途上、やれる事は無限大だ。
「もう少し頑張るか」
・青とオレンジの交わる場所で(シャイニングアークス+スピアーズ)
『ハーフタイム抽選会の景品多すぎない?』
「良いじゃないですか、せっかくの千葉ダービーですよ?」
打ち合わせの途中でスピアーズが呆れ気味に零した一言に思わず言い返す。
「秩父宮は全席指定で場所もいいんですから少しでも行こうと思えるような仕掛けづくりをしていきたいと思って企画したんです」
『企画力で負けた感がすごい……というか俺も佃煮欲しい……』
「この間味見で頂いた詰め合わせセットの残りで良ければ持って行きますよ」
『海苔の佃煮!あと地元産板海苔も!』
「はいはい」
他愛もない話をしながらラグビーの事を考えられるのは幸福だ。
「あ、お返しは勝ち点で良いですよ」『それは無理』
・うどん屋にて(ブルース+キューデンヴォルテクス)
「また大変なことになりよったなあ」
仕事で立ち寄った博多の街でキューデン先輩が飯を奢ってくれることになった。
「大変なこと?」
「division3開幕戦消えたと思ったら広島は緊急事態宣言出るし福岡も増えてきたしな」
「ああ……でもおい達は出来る事ばやるしか出来んでしょう」
ファインティングブルズやレッドスパークスは見る事も出来なかった新しい世界にいて、その世界は未だ苦境の中でもがいいている。
「生きて居なけりゃもがくことも出来んですからね」
「ホントになあ」