国内プロラグビー擬人化の練習的な短編。
頻繁に呟いてるわりには全然書いてないなーって思ったからまあその練習です。割となれ合うし平和。
・サンゴリアス+ワイルドナイツ
ちょっとした用事で群馬に行くことになり、ついでにあいつの顔でも見に行こうかと思って行っただけなのだ。
「……何やってんだよ、お前」
「ネギの丸焼き」
古い友人たるその男は、何故か庭の七輪でネギを焼いていた。
随分と真っ黒焦げになったネギをトングで大皿に移して傍らから割りばしと一緒に差し出してくると「食べる?」と聞いてくる。
「丸焦げのネギ丸々一本は食えないだろ」
「焦げた部分を剥いて食べると美味しい、それに下仁田ネギは短いから深谷ネギよりはまるごと食べやすい」
「深谷ネギもまるごと食うのかよ……まあいいか、そこまで言うなら貰うよ」
焦げた皮の部分をはがすとよく火の通ったネギがお目見えする。
確かにこれは美味しそうだ。
焦げた部分は全て剥いたし、これはまるごと一本食いした方が美味しそうだ。
よく火の通ったとろとろのネギを思いきり口に入れれば、なるほど確かにうまい。
「美味いな」
そう呟くと男はまた上機嫌でネギを焼くのであった。
・ライナーズ+スティーラーズ
「そう言えば、僕らも付き合いも随分長ぉなりましたよね」
紅茶を飲みながら思い返したようにそんなことを言う。
人のいない花園競技場の青い芝生は初夏へ向かう日差しを吸い込んで、どこまでも青く伸びていく。
「せやな」
「んな投げやりな……お互いじじぃだおっちゃんだ言われる身分で」
「じじぃじじぃ言うならお前も灘浜の製鉄所の高炉の還元剤にしたろか?」
神戸製鋼―いまはコベルコスティーラーズなんて名前になったが―が不機嫌そうにそんなことを言う。こいつは本当にじじぃ扱いされるのを過剰に嫌う。
「僕は花園以外で死ぬ気はあらへんので」
「お前のその花園への執着心がよぉわからん」
「執着心に理由なんか要りませんよ、花園は親から貰った一番の宝ですからね」
「……そうかい」
・レッドスパークス+ブルース
「相変わらずどんたくは賑やかやねえ」
「福岡1のオマツリですかラ!」
彼はどんたく広場の賑やかさの中を縫うように歩く。
よくもまあこの人込みをやすやすと歩けるものだといっそ感心すらしてしまう。
「そういや、キューデン兄さんば居らんと?」
「アー……たぶんどっかにはいまス!」
「この混み方やけんもやう(集まる)んはやおいかん(難しい)かもなあ……」
「たぶんそうデスね」
「キューデン兄さんに会えんならしょんなか、帰るかいな」
「えっ」
「……嘘ばい、お前の踊りぐらいは見とくばってんちゃんとやれちゃ」
「もちろんデス!」
・イーグルス+ブラックラムズ
けたたましく鳴り響く携帯電話を布団の隙間から掴むと、その電話の主ににやりと口角をあげた。
『キヤノンの鷹よ、問うが汝が我の通信器具の鐘の音を替えたか』
電話越しに聞えるのは明らかに怒りに満ちた、愛すべき好敵手の声だ。ああ愉快。
「ああはい、そうですけど」
『汝にかのような幼稚な趣味があったとは見下げた話だ』
「単純に面白そうだったんですよね、あの中二病全開の携帯電話からやぎさん郵便流れるの」
『……帰ったら貴様の肉を捌いて煮込んで見せよう』
「というか今菅平で合宿中じゃ?」
『貴様に心配りされる謂れなぞ無いわ!あとブラックラムは黒山羊ではなく黒い子羊だ!』
そのまま携帯の電源を切られた。
……今度会ったら着メロをメリーさんの羊にしてやろう。