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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

ダービーマッチって奴は!

雨の秩父宮でほかほかと湯気を立てるカフェモカが冷えた指先を心地よく温めてくれる。
誰もがレインコートやポンチョを被ってわざわざ仕事あがりにここまで来てくれる人を眺めるのは、スポーツチームそのものである僕らのみの特権だ。
「散々煽った甲斐があったな、イーグルス」
「確かに思ったよりかは来てくれてますね」
「​​​​​​​……カフェモカも好いが、こうも寒いとお湯割りが飲みたいな」
「お湯割りなら自分でコンビニまで行ってくださいね」
テントを張り終えてすぐにカフェモカが飲みたいと言って外苑前駅前のドトールまで買いに行かせたのはどこのどいつだ、という気分で少し意地悪を口にする。
「お湯割りは嫌いか?」
「今日はノンアルコールの気分です、なんせ今日は事務機ダービーですからね」
「……言うようになったな」
​​​​​​​呆れのようにも愛おしさのようにも聞こえる言葉が彼の口から洩れる。
出会った時は同業他社のラグビーチームでありながら全く違う立場にいた僕らは、10年近い歳月を経てこうして堂々と事務機ダービーを名乗れるほどの戦友となった。
僕にとってはあまりにも特別なそのダービーマッチを楽しむのにアルコールは要らない。
「今日勝ったらパブでビール奢ってください」
「良かろう、負けたら汝の奢りで一杯やるとしよう」
遠かった僕らが手の届く場所に来たことをこの秩父宮に響かせるキックオフのホーンは、もうすぐ鳴り響く。


イーグルスとブラックラムズのお話。雨の事務機ダービーのお話。
ぴくぶら掲載作品。

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ノーサイドなお時間

久しぶりの小ネタです



・それ記載する理由あるのか
レッドドルフィンズ「そっちのメンバー表見てて思ったんですけど、」
ヴェルブリッツ「うん」
レッドドルフィンズ「選手の社内での所属先書く必要あります?」
ヴェルブリッツ「これもまあ趣味だから」
---
現状謎

・コーラ飲みてえ
レッドスパークス「秩父宮行くたびに思うですケド、なんで売店のソフトトドリンクにうちの製品無いんですカ?」
サンゴリアス「それは運営に聞いてくれとしか……」
レッドスパークス「ペ〇シ置いてたらぶちくらす勢いですヨ?!」
サンゴリアス「そこまで?!」
レッドスパークス「その癖お酒のレパートリーが多いですシ?!」
サンゴリアス「焼酎お湯割りをファンが持ち込む世界だからなあ」
レッドスパークス「ギブミーコーク!」
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これもだいぶ謎

・実録ネタ1
ブレイブルーパス「次節以降配布予定のタオルのサンプル貼っとくね、でも今回はタオル配布無いから気を付けてね~。あ、うちわもあるよ!顔が隠れる特大サイズ!応援に使って!」
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だいたいこんな感じ

・個人的な印象
スティーラーズ「うちの手持ち旗とうちわ自由に持ち帰ってなー」
ワイルドナイツ「えっ(旗有料)」
サンゴリアス「えっ(旗無い)」
ブルーズ―マーズ「むしろ旗は配るもんじゃろ……」
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旗一つとっても違う

・実録ネタ2(私代理:シーウェイブス)
シーウェイブス「東京メトロとのコラボスタンプラリー、銀座線を往復するだけで半分埋められるのおかしくないか……?その癖残り半分は中途半端な駅ばかりだし……」

・レッドジョーク
ブレイブルーパス「レッドドルフィンズの初陣Tシャツいいよね、新撰組モチーフで」
レッドドルフィンズ「ありがとうございます」
ブレイブルーパス「でもなんで新選組なの?」
レッドドルフィンズ「挑戦と新選をひっかけて新選組モチーフなんですよ、まあ嘘ですけど」
ブレイブルーパス「嘘なんかい!」
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※ほんとは日野市が土方歳三の出身地だからです

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特別な夜のために

朝一番に着いた東京は薄ら肌寒く感じられ、ばさりと薄いジャケットを被って外に出た。
「どうも、」
「お迎えおおきにな」
待ち合わせ場所ではサンゴリアスがひらりと手を振ってきた。
「こんな朝早くから東京来て良いんですか?」
「俺今季のリーグ戦でこっち来れるの今日だけやからなあ、それにどうも落ち着かへんねん」
「ああ……そういや今日が移籍後初試合ですもんね、ダン・カーター」
「せやろ?お陰でチケットの売れ行きは好調やったし」
今季初先発となった彼のお陰でこの試合は指定席完売という売れ行きの好調さを見せており、公共放送の中継カメラも入る上に東京メトロとのコラボスタンプラリーの期間も重なったりで今季特に賑やかなことになる試合になるのは間違いなかった。
「まあ、ちょっと天気は不安ですけどね」
「台風直撃ならまだしも小雨がぱらつくぐらいならええやろ」
「雨降ると客足落ちるんですよ、まあ今日は特別なんでガクンと落ちることは無いでしょうけど」
「せやなあ。ま、試合見に行くついでの東京観光も満喫しとこかな」
「はいはいお供しますよ、どこ行きます?」
「スカイツリーでも行こかな、俺タワーってポートタワーしか上ったことあらへんねん」




サンゴリアスとスティーラーズ。今回リアル観戦予定なので楽しみです。

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ラグビーボールはベリー味

「練習試合の後、時間は空いてるか」
ダイナボアーズさんがふと思い出したようにそう問いかけてきた。
それは練習試合前の軽い打ち合わせを終え、さあユニフォームに着替えようという矢先のことだ。
「空いてますけどどうしてですか?」
「父が昼間ケーキを買って来たんだが一人では食べ切れそうにない」
「ああ……でも珍しいですね、ダイナボアーズさんがお父さんの事言うの」
「父は忙しい人だからな、試合も見てくれることも稀なくらいだ」
「単純に顔を合わせる頻度が低いってだけでしたか」
「国防を支える身である以上多忙はやむなしだろう」
諦めを含みつつも父親への憧れと誇りを強く滲ませた声色は少しだけ気持ちが分かる。
僕だってキヤノンという会社を愛している。そしてその化身たるあの人の事も。
「せっかくですし、夕飯一緒に食べましょうか。ピザが良いです」
「ピザか」
「お嫌いでしたか?」
「いや、構わない」

****

練習試合後、僕は彼の私室に招かれ大きなピザとサラダを二人で分け合って食べながら練習試合の反省会をした。
「トップリーグとして今回の結果はちょっと不甲斐ないものがありますね……」
「こちらとしては楽しかったがな。そろそろケーキに行くか?」
「はい、ついでにコーヒーも頂けますか?」
「ボトル入りの物で良ければ」
ボトル入りのコーヒーをなみなみとマグカップに注ぎ、冷蔵庫から出て来た白い箱がどんと食卓の真ん中に置かれる。
そうしてゆっくりをふたを開ければ、白いクリームに青と淡い緑の入ったトップリーグ公式球と同じデザインの立体的なケーキがお出まししてくる。
「……実物大ですね」
「ああ」
これを丸々一個は甘党でもない限り一人で食べるにはいささか大きすぎる。
僕も特別甘いものが好きな訳ではないし、目の前の相手の反応を見るに同感なのだろう。
「父が言っていたが、今日はラグビーの日らしいな」
「ええ、今日がイギリスでラグビーの原型となったスポーツの生まれた日だと言われてますね。前にラグビー発祥の学校行ってませんでしたっけ?」
「ラグビー校には行ったがさすがに日付までは覚えてない」
「まあそうですよね」
フォークを借りて隅の方を一口食べると生クリームの甘さとスポンジのふわふわ感が広がり、間に挟まれた苺やブルーベリーの酸味がクリームの甘さを引き締めてくれている。
「あ、美味しいですねこれ」
「本当だな」
ケーキを食べながらラグビーにまつわるトリビアを語り、それをダイナボアーズさんは静かに聞いている。
(まあ、これもシーズン前だからできる息抜きですよねえ)
今シーズンのトップリーグは短期決戦だから気を抜ける瞬間は例年よりも少ないだろう、ましてトップチャレンジリーグは降格組が2チームあって去年より多い。
ワールドカップ前の厳しいシーズンを生き抜く前に、ケーキで英気を養うぐらいきっと許される。




ラグビーの日のイーグルスとダイナボアーズ。

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きょうは35度を超えてない

「あつい」
ぽつりとそんな台詞が口から洩れる。
一時期の連日40度に迫ろうかというような酷暑に比べれば落ち着いたとはいえまだ8月の下旬、暑いもんは暑い。
ましてやここは酷暑で名高い埼玉・熊谷、東京から流れ込む熱風とフェーン現象により余計に暑い。
「……なら熊谷に来なけりゃいいのに」
出迎えたのは浅黒い肌にオレンジと紺のグラデーションの髪をした勝気な雰囲気の女性・アルカス熊谷だ。
女子ラグビーの強豪として名高いが同じ熊谷に縁のある者同士なにかと顔を合わせることはあった。
「これも仕事の一環だから、ちょっと涼ませて」
アルカス熊谷は呆れたようにクーラーの効いた部屋へと誘導し、そのまま冷風のよく当たるソファーに寝ころんだ。
「そうだ、ガリガリ君いる?」
「いる……」
「ソーダ、コーラ、梨、グレープフルーツ、どれがいい?」
「普通にソーダでいいよ」
冷凍庫の前から放り投げるように渡されたのはグレープフルーツだった。なら何故聞いた?と言いたくもなるがまずはこの身体に溜まった熱を冷ます方が優先だ。
ガリっと齧ればグレープフルーツの酸味とシャリシャリ食感が心地よく、身体のほてりを冷ましてくれる。
「というか、オーストラリアにいたんじゃ?」
「昨日戻ったよ」
「へえ、帰国翌日仕事なんて大変そう」
「企業チームはそんなもんだよ」
しゃりしゃりと氷菓子をかみ砕き、冷たい風を浴びながらようやくひと心地着いた気分になれる。
「まあ、うちもお金が無いから一長一短なのかなあ」
「……クラブチームってそんなに貧乏なの?」
「野球やサッカーだと大きい会社がスポンサーついてくれたりするけどラグビーはね。あ、今度クラウドファンディングやるから投資してよ、50万」
「もっと安いコースなら検討しとく」
ちえっと呟いてアルカスは俺から視線を外す。
不機嫌な妹分(としかこの関係性を言いようがない)は面倒なようなそうでもないような、よく分からない感じだ。
(まあ、うちは兄弟分みんないなくなったしなあ)
一応大阪の方にいなくはないけど、あれは松下の子だ。三洋の子じゃない。
今はもういない兄弟と特別縁が深かった訳じゃないし、兄弟という感覚はいまいち掴みかねるところがあった。
「チラシぐらいなら貰っておこうか、うちのイベントに置いとくぐらいならできるし」
「むしろTwitterで拡散してよ」
「SNS繋がってないし無理じゃない?」
「無理って……ガリガリ君代取るよ」
「100円置いとけばいい?」
不愉快ではないこの距離感を案外俺は楽しんでいる。




野武士とアルカスさん。

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