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コーギーとお昼寝

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鹿島臨海鉄道、遠き日の夢2

僕に名前がついてしばらくの事。
「お前の面倒が見れなくなった。」
「え、」
貧乏による身売り宣言だった。

鹿島臨海鉄道、遠き日の夢

国鉄さんは僕に名前をつけた頃から貧乏になり始めていた。
それは黒字になりにくい地方路線の多さ、鉄道公団さんとの軋轢が起因だった。
(でも本当に身売りするなんて)
「北鹿島、とりあえずしばらく水戸の家に滞在してくれ」
「・・・・・・分かりました」
その命令を素直に受け取ると、一路水戸へと出向いた。

*           *

「良く来たな」
「しばらくよろしくお願いします」
「とりあえずうちの2階に空き部屋があっからそこにしばらく住んでてもらえるか」
「はい」
そして少しだけ不安定な日々が始まった。







                  つづく





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鹿島臨海鉄道、遠き日の夢。1

もう忘れてもおかしくない様な思い出話だ。
・・・・・・いや、僕は僕の生まれた日を捨てることが出来ない。
僕の血肉となった改正鉄道敷設法、僕は彼女によって生み出された。

鹿島臨海鉄道、遠き日の夢

「改正鉄道敷設法別表32号」
それが僕に与えられた呼び名だった。
僕も認識しきれないほどに僕の兄弟は多く、全国に散らばっていた。
この雑多にいる兄弟のなかで僕が唯一仲良くしていたのは39-2だけだった。
名も無い僕らは号数で呼び合い、生きていた。戦争のさなかであっても僕らは生き延びろと言われ続けた。
否、生き延びさせられた。
人間ではなかったから普通に呼吸さえしていれば生きていることが出来た。名前のないまま、僕は100年ほど生きていた。

*          *

「32号、やっとお前に新しい名前がつけられることになった。」
国鉄さんの兄弟である鉄道公団さんに一言、名前を与えられた。
「はい」
「お前の弟に因んできた鹿島線という名前にした、おそろいの名前だ。」どうだ?と僕に問う。
「悪い名前ではないと思います。」
「私もそう思う、国鉄にしてはベターだ」
そして僕は北鹿島線として踏み出した。





補足事項・改正鉄道敷設法(大正11年法)鹿島線や日立電鉄の生みの親。(明治25年法はお母さん)現在の地方路線の産みの親だと思えば良いんじゃないかな←
・鉄道公団さん国鉄さんの弟でJRさんの叔父。鹿島弟の育てのお父さんみたいな人。何だかんだ言いながらもつい最近まで元気に生きていた。
やっと鹿島臨海兄弟のお話です。「遠き日の夢」は弟目線で進むので兄の方の生い立ちは別で書きます。(というか兄の方の資料が出てこない)。

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火炎の子供たち・3

*史実ベースのお話です。

*結城と小山が険悪です。

*BL風味は薄いです、と言うか無いです。


門が閉められた。
「後戻りは出来ないよ」
後ろからふいに声がかけられた。
声の主は見ずとも分かる、古河だ。
「・・・・・分かっています。ただ、あの子が心配です。」
「自分の手を突っぱねてまで自分の居場所を守ろうとした小山が?」
ため息をついたのはどっちもだった。
「お人よしと思うでしょうけど」
「別にいいんじゃない?」
その言葉に少しほっとした。

火炎の子供たち

篭城の間は評定と空を見ることばかりに時が費やされた。
「退屈ですよ」
「確かに」
外で篭城する自分で睨みつけているであろう小山を捜しながら呟く。
「本当に好きなんだね」
「ええ」
「霞立つ春の長日を恋ひ暮らし 夜も更けゆくに妹も逢はぬかも」
古河の言葉の意味が分からずに聞いて見ても秘密とだけ返された。

*           *

長い長い消耗戦だった。
ただひたすらにこの戦の終わりを待つ事に時と精神が費やされた。
「結城」
「何でしょう」
「もう終わりのようだから介錯してくれるか」
自分の忠誠の為に命を投げ出すとその人は言った。
「・・・・・・はい」
1440年7月の終わり、この長い争いは終わった。
原因となった遺児はみな美濃国で殺された。
「終わってしまったのですね」
「うん」
あの子供たちはまるで炎の様な目をして、まだこの街を見ているはずだ。








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火炎の子供たち2

*史実ベースのお話です。

*結城と小山が険悪です。

*BL風味は薄いです、と言うか無いです。






きっかけは桃井の小山城攻めだった。
「結城殿、これでもう戻れませぬぞ。」
「これを見せるために私を無理やり連れてきたのですか?」
「あなたは小山殿の顔をちゃんと知ってるはずだ。」
走って逃げる童がいる。
・・・・・・小山だった。

火炎の子供たち

(小山・・・・・)
あのとき結城方の人間である事よりも、小山を保護する事を思わず優先した。
とっさに駆け出して、名を呼んだ。
「小山!」
「・・・・・来るな」
「え?」
「いまあなたは僕の敵だ。いくら親戚であったとしても白川結城家につき、幕府方についた以上は幕府方の人間であり続ける。」
頭の一部が血で覆われている、明らかに無事じゃない。
「結城ではなく私個人の命令です、ついて来なさい。」
本当はむこうが本家筋だけれどもそんな事は気にするか。
「嫌です」
「・・・・・・これだから若武者は」
「これは僕のあり方の問題です、貴方には関係無い。」
そういうのは若造の台詞だ。
「もって行きなさい」
「要りません」
「持って行けと言っているでしょう」
少し悩んでから何も言わずに去って行った。
「さっきのが小山ですね」
「そうです。」
敵宣言をされたなら、此方とて本気でやろうではないか。
「面白い」

*           *

「結城」
「はい?」
「篭城準備をせよ」
分かりました、と頷けば走りだした。

(1年分の食事に武具や人手、とにかく用意せねば・・・・)

合戦は始まっていた。













                    つづく

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火炎の子供たち1

*史実ベースのお話です。

*結城と小山が険悪です。

*BL風味は薄いです、と言うか無いです。







「結城殿」
街中を歩いてるときに、ふいに声がかかった
「・・・・・足利の次男坊」
1438年の夏の終わりのことだった。
このとき足利持氏・義久親子は永安寺にて自害、子供たちはほうぼうに逃げていると聞いていた。
「道行さまから手紙は頂いたはずです。」
「一応」
「結城殿、道案内を頼めませぬか?」
それがこの戦乱の物語の始まり。


火炎の子供たち

「氏朝さま、足利の子らを連れてまいりました。」
「そうか、先ほど説き伏せ終わった。」
茶をすすった相手に言った言葉は一つ。
「呆れました・・・・・・恩義があるのは分かっていますが、あの子らは幕府に追われる身。私や殿とて無事ではすまないでしょう」
「その通りだ、だからさっき古河と関宿に連絡を送った。」
ああこれでは先が不安だなぁ、と少しだけ思ったが仕方あるまい。
「お前ならやってくれるはずだ」
「・・・・・・・むしろやらざる得ないでしょうね。」
ため息をついたのは2度目だった。

*               *

「結城、ほんとうに君のところの氏朝はやる気なんだね?」
「そうでしょうね」
古河の質問はまっとうだった。
相手は京の都にいる幕府なのだ、いくら足利の残党がいたとしても明らかに不利だろう。
「結城殿、知らせることが」
「内容は」
「この合戦には小山一族は幕府側に立つそうです」
「・・・・・・・・は?」
小山の上司はうちの上司の親戚筋だ、その親戚筋が敵方につく?
ありえない。
「この状況で嘘をつくな」
「ついてなどいません!」
「結城、それは本当みたいだよ。白川結城家も幕府側だって」
古河も言うのなら事実なんだろう。
「・・・・・・呪う」
「え?」
「あの二人呪う、こうなったら呪う」
「憂鬱な気分なのは分かるけど、南総の里見も陸奥の足利満直も来るみたいだしね。
負け戦なんかにしちゃいけないよ。Яも君もプライドがかかってるんだから」
「・・・・・・・・そうか」















                   つづく

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